2015年05月10日

期待を上回り過ぎない

どうも僕の知り合いには、高い技術を持ちながら
それに見合うだけの活躍の場に恵まれていない人が多い気がします。

もちろん、それぞれの場所では、飛び抜けた技能も活かし
その場で期待される以上の力を発揮しているでしょう。

ただ、その環境が表面的に期待する範囲では評価できない種類の質なのか、
その環境の人たちには理解できないほどのクオリティになっているのか…、
活躍の度合いが技能と合っていない印象を受けるんです。

一般的に見たら充分な活躍のようでも
もっと分かりやすい成果が出てもおかしくない。

逆にいうと、
目立つ成果をあげている人達と比較したとき
技能の面では遥かに効果的なことができるにもかかわらず、
目立つ人達とは活躍の仕方が大きく異なっている
ということです。

社会的に目立つ活躍をしている人たちは
「社会的に目立つ」ための努力を沢山しているのかもしれません。

専門性や技術を追求するほうに労力をかければ、自然と
目立つための作業に労力を注ぐことは難しくなるとも考えられます。

何より、社会的に目立つための作業や
それを効果的にするための技術を磨くことに
気持ちが向かないような人のように感じられることもあります。

そういう作業が好きではなかったり、楽しめなかったり。


しかし、それ以上に活躍の場と強く結びついていると思われるのが
『期待をどれぐらい上回るか?』という部分です。

コミュニケーション用語を使えば「ペーシング」です。
社会的に活躍とみなされる環境にいる人たちが期待していることに
ただ「ペーシング」をするだけ。

「期待にペーシング」するということです。

もう少し正確に表現すると
「期待を丁度よく上回る」
といったところでしょうか。

期待を下回っては見向きもされません。
サービスとして価値がないと判断されてしまいます。

ピッタリ期待通りであれば、満足は得られるでしょうし、
順調にリピートも望めるのかもしれませんが、
活躍の仕方としては平均的なところに落ち着きそうです。

多くの場合、様々な業界には先駆者たちがいますから
期待通りの範囲では、大勢の中の一人として埋もれてしまう。
同じような期待への応え方だとしたら、すでに馴染みのある先駆者たちが
優先して活躍の機会を与えられることになると考えられます。

期待通りでは、業界の中で大活躍する立場を
取って代わるまではいきにくいだろう、と。

そして期待を上回ったとき、驚きや感動を提供できます。
平均よりも大きな成果が評判を生み、
他と一線を画す形で、大きな活躍の場に進むようです。

ところが、期待を大きく上回り過ぎると、それはもう
理解の範疇を超えてしまうんです。

あるいは、
もはや、その業界の一部としては見なしてもらえなくなることもある。

そこまで求めていない。
そこまでやるつもりはない。
どういうことか想像もつかない。
説明されてもピンとこない。
…というように、関心を持ってももらえないわけです。

世間的に大活躍と捉えられるような成果を出している人は
この「ちょうどよく期待を上回る」ことができていると考えられます。

例えば、キュビズムで描かれた晩年のピカソの絵は
写真のように正確な肖像画を期待している人には受け入れられないはずです。

しかし世の中がピカソの芸術を受け入れ始めたとき、
ピカソの絵は期待をちょうどよく上回るものとなったのでしょう。

そして一度キュビズムというジャンルが確立してからは、多くの人から
受け入れられる範囲の芸術として期待してもらえるようになった、と思われます。

その分野、その業界で期待されている範囲というのがあるんです。
そこをちょうどよく上回る人が活躍の機会を得る。
どうもそういう傾向があるみたいに見えます。

大活躍とみなされる人たちは…、
 意図的に期待を少し上回る程度に調節しているのか、
 それとも無自覚にちょうどいい程度の技能になっているのか、
どちらかは分かりませんが…、とにかく
ちょうどいい範囲で活動しているようなんです。


よく言われる
「出る杭は打たれる」
というのは、
期待とピッタリ合った範囲から少し出て
現状維持を崩そうとしたときに起きるといえます。

期待と合ったものがバランスよく供給されていて順調に進んでいる。
そこで全体のバランスを崩してでも飛びぬけようとすると
現状を維持しようとするシステムの力に阻害される。
そんなことなんでしょう。

また、「出る杭は打たれる」を元にして
「出過ぎた杭は打たれない」などと言われることもあります。

これはまさに、「ちょうどよく期待を上回った」状態と考えられます。

その分野から理解可能な範囲で、良い意味で予測を裏切る。
「あぁ、そうきたか!」
「そういうのがあったか!」
「そんなことができたとは!」
といった驚きがある場合でしょう。

気持ちが大きく動かされます。
スゴイものとして認識するんです。

その流れでいうなら
「もっと出過ぎた杭は、杭として認識されない」
なんてこともあるはずです。

「柱に見えてしまう」とか「その土地から抜け出てしまう」とか。

キョトンとされる。
ポカンとされる。
サラッと流される。
目に留まらない。
関心の範囲に入らない。
…そんな具合に、理解可能な範囲ではなくなってしまう場合です。

期待を上回り過ぎるために、逆に活躍の機会に恵まれない
ということがあるのではないか、という話です。

期待を少し上回るぐらいにペースを合わせられれば
高い技術を持った人が活躍するのも増えるような気がします。

あるいは期待値を上げるように働きかけるか。

世間からの期待が技能に追いついてくれるときを待つのも1つかもしれませんが…。

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード