2015年07月02日

「〜にならない」という目標

目標設定するときには「肯定文」で表現する
というルールが教えられることがあります。

これは「到達点」の話です。
手に入れたいもの、「こういう状況にいたい」という結果のことです。

セルフイメージや性格、思考・感情・行動のパターンについて
「変えたい」という気持ちがある場合、必ずしも
「こういう風になりたい」と肯定文にする必要はないと考えられます。

ここの区別をつけないまま「目標は肯定文で」という教えになりやすいのは
そもそも区別をすること自体が簡単ではないからかもしれません。

区別をする上でのポイントは
 特定の一場面、一瞬の出来事として目指すものなのか
それとも
 様々な場面を通じて繰り返される自分の振る舞いパターンを変えたいのか
ということです。

特定の一場面、一瞬の出来事とは、達成の瞬間が限定されているものです。
分かりやすいところでいうと、スポーツの大会で優勝したいとか
何かのテストに合格したいとか、収入をいくらにしたいとか、
1000人の前で講演をしたいとか、海外に学校を作りたいとか。

自分の体の周りに起きている出来事、自分以外の状況を含めて
自分の望むものが「ある」ということです。

1つの結果であり、『成果』なんです。
どこかに向かって進んでいって、そこに辿りつくようなイメージです。

一方、様々な場面で繰り返される自分の振る舞いのパターンを変える、とは
「この瞬間に達成」という明確な場面がないものです。
何度も繰り返される自分自身の体験の中で、
望ましい行動を『繰り返せている』ことに気づいたとき
「あぁ、やっと目指していた自分になれたなぁ」と実感される。

例えば、人前で落ち着いて話せるようになるのを目指していたとしたら、
典型的な場面として、会議のプレゼンでリラックスしながら話している瞬間を
変化の象徴としてイメージすることは可能です。

しかし、その会議のプレゼンの場面は限定されていません。
一回だけだったら偶然と判断する人もいるかもしれませんし、
一気に劇的な変化を体験して満足するというよりも
徐々にできるようになっていって、振りかえって変化の量を実感する
という形が一般的ではないでしょうか。

「ああ、随分と変わったなぁ」、「こんなにできるようになったなぁ」と
『成長』の形で自覚されるといえます。

特定の一場面に達成される『成果』を目指すのは
いわば、目的地を決めた旅に出て、目的地に到着しようとするようなもの。
ゴールは文字通り、目的地に着いた瞬間なんです。

逆に、繰り返される振る舞いのパターンを変えて、
セルフイメージや性格、行動や考え方などを望ましくするのは、
同様の喩えでいうと、とにかく旅に出て、歩いてきた道のりを振り返り
「随分と遠くまでやってきたなぁ」と違いを振り返るようなものでしょう。
ある瞬間にゴール地点に辿り着くのではなく、旅そのものが目的といえます。

振る舞いのパターンを変えるほうは
「今の自分を変えて、望ましい自分に変わる」
という趣旨です。

旅の喩えでいえば、それで目的地を設定しておいても構わないんです。

例えば「人前で落ち着いて話せる」ようになりたいとして、
「どれぐらいの声の大きさで、どういう風に目線を配って、どんな姿勢で、
 どんな体の状態で、何を心がけながら、どんな対応ができる状態か?」
と設定してもいい。

ただ、実際には最初にイメージしていたのとは違うけれど
「だいぶ落ち着いて話せるようになったなぁ」と
感じられるときはくる可能性があります。

むしろ最初に設定していたイメージ通りの行動を体験した瞬間に
「できるようになった」と実感することのほうが少ないかもしれません。

取り組み始める前に想像できる範囲のことは
実際にやってみたら現実的ではない絵空事という可能性もありますし、
誰か見本になる人を思い浮かべて憧れていただけで
もっと自分らしい形の望ましいやり方が見つかる可能性もありますから。

目標を立てた時点では理想をイメージしていたけれど、実際には
そこまで辿りつかなくても充分に満足できた、という場合もありえます。

到達地点そのものがゴールとなる目標設定もあれば、
前に進めた体験が望ましい体験となる場合もあるわけです。

自分を変えたいというのは繰り返されるパターンや傾向の話ですから、
前に進める体験のほうが重要になるケースです。

必ずしも行き先が明確に定まっている必要はないんです。

とりあえず一歩を踏み出す理由づけとして
仮の目的地を決めておくのは有効な方法の1つです。

そこへ向けて進むためのアクションを考えて、それを実行すれば
とにかく今の自分のパターンから抜け出すことにはなります。

同時に、「とにかく今のままでは嫌だ」と抜け出したい気持ちが強いのであれば
無理に仮の目的地を設定しなくても、一歩を踏み出すことは充分にできます。

そして今の自分のパターンから変わるための行動も
目的地が決まっていない分、自由に沢山のアイデアを出すこともできます。

変わるための方法が沢山あるんです。
現状から変わりたい気持ちさえ強ければ、
思いつく方法を片っ端から取り組んでみる方法も使えます。

ゴールを設定しなくても望ましい自分にはなれるんです。

この場合なら、ゴールを肯定文で「〜になりたい」と表現する必要性もありません。

目標設定の方法1つとっても、
その目標の種類や、本人の現状によって
「これが正しい」というものを決めるのは難しいと思うんです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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