2015年09月20日

英語の情報量

以前、少しだけ翻訳の仕事をしたことがあります。
英語から日本語です。

英語の文字数や単語数をカウントしても当然
日本語の文字数とは一致しませんが、
一般的な行間とフォントサイズで訳を進めていくと
日本語のほうがページ数が多くなるものでした。

だいたい1.5倍ぐらいだったかと思います。

そのうえ、英語で使われている代名詞を
意味が分かるように日本語へ置き換えて訳すと
さらに少し量が増えます。

実際、洋書を翻訳した日本語版の本は分厚いものですが、
洋書で購入すると、いわゆるペーパーバックで、随分とコンパクトです。

紙質や書式もあるんでしょうが、厚さにすると
翻訳した日本語版は2倍ぐらいの感じがします。

言い換えれば、英語のほうがコンパクトに情報を伝達できるということです。


さらに話すスピードにも差があります。
やはり英語のほうが速い。

音節の数が少ないからです。

日本語は子音と母音を1つずつ組み合わせて単語にしますが、
英語では子音を並べられるので、単語辺りの音節数が少ないんです。

しかも冠詞や前置詞などの弱く発音する音については
本来は一音節なのに、文章全体の拍数には含まれなくなったりもします。

このあたりは、ディズニー映画「アナと雪の女王」で有名な
「 Let it go 」の歌詞を見ると明らかです。

メロディーに乗せながら日本語に変換するためには
音節の数を工夫する必要があります。

かなり意訳をして「 Let it go. 」を「ありのままの」としたようですが、
「 Let it go. 」が3音節なのに対して、「ありのままの」は6音節。
結果、サビの部分では「 Let it go 」を2回続けるところを両方使って
「ありのー、ままのー」としているわけです。

冒頭部分では
「 The snow glows white on the mountain tonight 」が
「降り始めた雪は」に対応しています。

直訳すれば「今夜、雪が山の上で白く輝く」ですから
音の数としては、とても追いつきません。

歌詞を訳したホームページなんかも見つかるので見ていただければ
日本語版の歌詞が大きく意味を減らしているのが実感できるはずです。

細かいニュアンスを削って、だいたいの流れだけにした感じ。
翻訳というよりも、要約に近いぐらいに情報量が減ります。

つまり
それだけ英語のほうが同じ音数に多くの情報を込められる
ということでしょう。


英語を日本語に翻訳するとページ数が1.5倍から2倍になるぐらい
英文のほうが情報量が多くて、
かつ
それを少ない音数で発話してしまうわけです。

日常的な会話では、あまり意味のない音がたくさん入りますから
それほどの情報量で話していないこともあります。

しかし論理的な内容のスピーチとなると
かなり短時間で多くの情報を込めていることになります。

当然、頭の中で流れる言葉も、英語のほうが展開が早いわけなので
思考のスピードについても英語のほうが速いだろうと考えられます。

論理を飛躍させずに、きちんと説明する考え方にしても話し方にしても
英語そのものの特徴があるから、やりやすいのかもしれません。

逆いえば、日本人は文化として論理的に説明することに慣れていないだけでなく
日本語という言語の特徴からしても、論理には不向きな可能性がある、と。

その一方で日本語には擬音語や擬態語が豊富にあって
内面のイメージをそのまま音にして伝えるような手段が発達しています。

モーダルオペレーターと呼ばれる助詞の微妙な調整で
ニュアンスを細かく文字に表すことも可能です。

論理的な情報量が少なくなっている代わりに
心情を表現するための情報量が多くなっている
ともいえそうです。

英語のほうが論理的な整合性を元に意見を調整して結論を出しやすく、
日本語のほうがお互いの心情を理解し合うことで意見をまとめやすい
といった違いがあるんじゃないか、と。

コミュニケーションのスタイルの違いが
言語の特徴とも結びついている印象を受けます。


そして、この特徴の違いが日本人の英語学習のハードルにもなると思われます。

スピードについていけない。

音の進みが速いからだけでなく、時間当たりの情報量が多すぎるのもまた
理解のスピードとして負担が大きいでしょう。

ですから、何を言っているかを一字一句書き起こせるぐらいに
リスニング力があったとしても、
思考のスピードとして話を理解しきれないケースも充分にありえるはずです。

これについては頭の中での言語のスピードを上げる必要があるでしょうから、
自分の頭の中で、早口な内部対話を聞くようにするのが良さそうに思えます。

とにかく早口で考える。

それから英語でも意味が分かりながら発話できる文章を
これも早口で声に出す練習をしたり、
速度を上げて頭の中で再生したりすると
良いトレーニングになるのではないでしょうか。

最終的には慣れで乗り越える壁ということだとは思いますが
スピードの影響を克服するトレーニングは
英語学習の初期段階からやっておいたほうが効果的なように感じます。

フレーズを覚えるタイプの言語学習ではトレーニングしにくい部分でしょう。

世界中で主流になっている言語学習の方法論は
言語の構造が似ている場合にはスムーズだろうという気がします。

日本人が韓国語を覚える場合には、その特徴の共通点から
一般的な言語学習スタイルが通用しそうですが、
性質が大きく違う言語を学習するには、色々な工夫があると良さそうです。

言語ごとの特徴をもとに、高いハードルになりそうな部分を見極める。
それから適切なトレーニングを作って、実践する。

「○○語を話す人向けの、△△語トレーニング」
といったカスタマイズがあっても良いと思うんです。

cozyharada at 23:39│Comments(0)TrackBack(0)clip!心理学 | NLP

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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