2015年10月13日

繰り返される1日

NHKのEテレ(元・教育テレビ)で、不定期に
「哲子の部屋」という番組が放送されているようです。

先日、見る機会があって、ある回で紹介されていた映画と
そこに表れる人間の特徴がなんとも興味深かったんです。

で、僕も映画のDVDを見てみました。

「恋はデジャ・ブ」という1993年のコメディ映画で、
主人公はなぜかGroundhog Day というアメリカの伝統行事が行われる
2月2日だけを何度も繰り返すという設定です。

何をしても目が覚めると2月2日の6時ちょうど。

どんな悪事を働いても、ビルから飛び降りても、
必ず2月2日の6時に目が覚めて、同じ展開で出来事が進んでいきます。

ただ主人公だけが記憶をリセットされないので
全て何が起こるかは知っているし、知識だけがどんどん増えていく。

おそらく何年分もの時間、同じ日を繰り返して
その経験を通じて変化していく主人公の様子が見どころなのかもしれません。

素直に楽しめる映画だと思います。


NHKの「哲子の部屋」では哲学的な視点から
 人間はほとんど考えずに行動している
ということを、この映画の1シーンを引き合いに説明していました。

何が起きるかを知っているはずでも、主人公は同じ失敗を繰り返します。

1日という膨大な経験の全てを記憶しているのは大変なので
同じ日が繰り返されても見落としてしまって覚えられないことが
沢山あるんだということを、ここから見て取ることができます。

そして行動はパターン化されたものを自動的に使うだけで
気をつけて変えようとしない限りは、何度同じ場面を繰り返しても
同じように自動化された行動が出てしまう
…というのも指摘されていました。

ただしその一方で、自分の行動を変え始めた主人公は
自分の振る舞いをコントロールすることにも上手くなっていきます。

自動的なままだと同じパターンを繰り返すけれど
変えようと頑張りはじめると変わりやすくなってくる。
このあたりも人間の性質をうまく描いている印象を受けました。


ただ、それ以上に僕が気になったのは
主人公以外の人たちです。

主人公の目からすれば、人ですが、同時に出来事でもあります。
ただの出来事なので同じように毎日繰り返される。

2月2日朝の時点の記憶で1日を過ごして
また同じ日の朝に戻ったら同じように1日を繰り返します。

ある意味では2月2日を繰り返しているのは主人公だけではないんです。

厳密に繰り返しているのは、むしろ主人公以外の人たちでしょう。

主人公だけが2月2日が繰り返されているのを知っていて
主人公の記憶だけが更新されていくため、
朝起きた時点で、別の2月2日になってしまっているともいえそうです。

これでもし、主人公の記憶もリセットされて
本当に全てが同じ2月2日を繰り返しているとしたら
誰一人として繰り返されていることは気づきません。

画面の外で見ている我々だけが、ビデオを再生するように
同じことが起きているのを知っている状態になると思われます。

極論をすれば…、
 僕の今日の体験は、記憶が連続していて、昨日までの記憶が残っていて
 今日が今までのどの人も違う1日として起きているからこそ
 新しい1日として意識されているだけかもしれない
という風にも考えられてしまいます。

記憶がリセットされて、もう一度同じ日を体験し始めたとしたら
当然、その日の記憶の始まりは、前日までの記憶になります。

そこまでの記憶を頼りに、昨日とは違う1日の始まりを感じるでしょう。

そして1日分の記憶を蓄積して眠りにつく。
ところが朝起きると、その日1日分の記憶がリセットされて
また同じ出来事の1日が始まる。

これから起きることの記憶がないから
昨日までとは違う1日を体験しているように感じるけれども、
客観的には同じ日を繰り返しているだけかもしれない。

ちょうど映画の中の主人公以外の人たちのように。

つまり、僕が今日だと思っている1日は
もしかすると一回っきりではなく、何度も起きているのかもしれない
ということです。

ただ記憶がリセットされて目覚めるため
同じ日が起きていることにさえ気づかない。

「そんなことはない、昨日は○○をしていた」という記憶は
今朝に至るまでの経験の記憶です。

その時点に記憶が戻っているとしたら
きっと何の違和感もなく「今日」の印象を再体験できることでしょう。

本当に同じ日が繰り返されていたら
誰も気づくことができないのではないでしょうか?

時間を戻すことができないというのは、実のところ
記憶を戻すことができないだけのことで、
もしかすると時間は戻ることができるのかもしれません。

ただし、記憶ごと時間を戻ってしまうため
戻ったことに気づかないだけで、その日を新しい「今日」として再体験する。

時間が戻ったことにすら気づかないままで。

時間なんて記憶の連続性の中にしか存在しないような気がしてしまいます。

なんだか色々と考えさせられる映画でした。

cozyharada at 23:18│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 心理学

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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