2015年10月19日

コミュニケーションが顔に出る

近所で中国人と思われる3人家族を見かけました。
息子は小学校高学年から中学生ぐらいの感じ。

中国語で会話をしていました。

ですが店員に話しかけるのは息子の役目。
その少年の日本語は自然で、ネイティブの雰囲気でした。
一人でいたら日本人だと思われたことでしょう。

言葉だけでなく、声のトーンや姿勢、動作のスピードやジェスチャーも
いたって自然な日本人の雰囲気で、おそらく
中国語と日本語のネイティブ・バイリンガルだとうかがえます。

一方、両親は中国語しか話していませんでしたし
動作のスピードやジェスチャー、表情のパターンなども
中国人観光客によく見受けられるものでした。

両親と子供のコミュニケーションスタイルの違い、
そして子供だけが日本語をネイティブとして話す様子などから、
3人は中国からの観光客などではなく、両親が中国から日本に移住して
子供は日本で育ったのではないかと想像しました。

同時に、その少年が二人の子供だろうということも確かそうでした。

顔も似ているし、お箸の持ち方や食べるときの口の動かし方、
歩き方などの形がソックリだったんです。


興味深かったのは、少年の話し方。

中国語で両親と話すときと、店員に日本語で話すときとでは、
非言語メッセージが大きく変わります。

声のトーンは言語ごとに特徴がありますから
ネイティブ・バイリンガルであれば違うのも当然でしょう。

中国語のイントネーションや音の強さと関係があるのか
ジェスチャーのスピードも中国語を話すときのほうが速い。
キビキビした感じになります。

そのキビキビ感と連動するように背筋の伸び方も変わります。

もしかすると中国語の発話のほうが喉の筋肉を強く使うのかもしれません。
特に首の置き方が違うんです。

中国語のときは少し首を前に上げるように出した感じで、
頭と首が固定されたような雰囲気。
肩から顔を遠ざけたような位置になります。

日本語のときは頭の位置が下がって、首の力が抜けます。
頭が重さで下がろうとするのを首の後ろ側の筋力で支えるような位置関係。
頭が下がる分だけ、顔が肩に近づきます。

それぞれ中国人、日本人によく見られる姿勢。

試しに両肩を横に向けたまま、なで肩になるように押し下げて、さらに
少しだけアゴをあげながら頭を前方上側に突き出すようにすると、
首が固定される感じが体験できるかと思います。

日本人に多い「巻き肩・ねこ背」の姿勢と比べると、
首が動かしにくくて、うなずきをしずらいような感じもしてきます。

逆に言えば、日本人らしい姿勢は喉のあたりの力が抜けて抑え込まれているため、
口先だけでの発声は問題はなくても、
中国語のように抑揚が強くてハリのある発音はしにくそうだともいえます。

その少年は、中国語を話すときと日本語を話すときで、自然と首の位置を変えて
言語だけでなく、ジェスチャーや動作まで文化に合ったものに変えているようです。

両親と中国語で話すときには首をあまり動かさず
うなずきもしないで言葉だけを飛びかわすように会話するのに、
店員と日本語で話すときは頻繁にうなずき、声もソフトなトーンになって
遠慮がちに腰の低そうな対応をしていました。

どうやら中国のコミュニケーションスタイルは、
姿勢(とくに首の位置)と大きく関わっているようです。

その少年が両親と話すときと日本人店員と話すときとでは
言葉が変わるだけでなく、まるで文化背景ごと一気に変わるような印象がありました。

大袈裟にいえば、中国人と日本人を行ったり来たりする感じです。


僕がこういう雰囲気の変化を示す人を見たことがあるのは
英会話スクールで何度か話した日本人(日系人?)講師だけです。

その人は両親が日本人で、名前も顔も日本人そのもの。
ただし生まれ育ちがアメリカだったので英語がネイティブ。

両親とは家で日本語だけで生活をして、
学校に行くと英語だけで生活をする。
そんな使い分けがあったそうです。

そのため英語を話している限り、非言語メッセージもテンションもアメリカ人そのもの。
よくいるアジア系のアメリカ人にしか見えません。

ですが日本語を話し始めるとネイティブの日本語ですし
顔も日本人ですから、周りから見ると日本人になってしまいます。

ちょうどその中国人(国籍は分かりませんが)の少年も同じ感じなんでしょう。
両親とは中国語だけで会話をして、学校は日本の環境という。


とはいえ正直なところ、僕は最初、少し混乱したんです。

その少年は日本人に見えたからです。
中国語の想像しなかった。

ところが両サイドにいる両親を見ると、これはパッと見で中国人に見える。

その中で食事をする姿は確かに中国文化のスタイルだし
「じゃあ、この少年も中国人だろう」と思っていたら
少年がネイティブの日本語で店員に話しかけたわけです。

「あれ、意外と日本人家族なのか?」と疑問に思いました。
それもつかの間、3人はすぐに中国語で話し始めたので、
「やっぱり中国人か。少年だけ日本育ちなんだろう。」
という結論に落ち着いたんです。

なぜ少年が日本人にしか見えなかったかといえば、
それは表情筋の発達のしかたです。

顔のつくりはアジア人ですから似たようなものです。
僕の着眼点はむしろ、どういう表情筋の発達をしているか。
目の動かし方や、瞼の開け方にも特徴があります。

平たく言うと、発している雰囲気が日本人っぽかったということです。

この影響は日常的に接する人たちから受けたものでしょう。

学校で長い時間を一緒に過ごす日本人の友達と日本語で会話をするうちに、
自然と日本文化として共有されている表情の示し方、感情表現の仕方を身につけ
結果として日本人らしい表情が定着していったと思われます。

実際、僕が会ったアメリカ育ちの日本人英会話教師も
どんなに自然な日本語で日本人らしいコミュニケーションをしていても
表情筋の中にどこか日本育ちでない様子が見えていました。

このあたりは、どの文化圏で過ごす時間が長いかが重要なんでしょう。

長い間その文化のコミュニケーションスタイルを経験するほど、
自然とそのスタイルに合った表情筋が発達していく。

姿勢や声のトーン、ジェスチャーや動作のスピードなどは
その場で変えられる筋肉の使い方の話です。

しかし繰り返し使って鍛えられた筋肉は見た目に影響します。
より多く使った筋肉の特徴が顔に残る。

単純に量の問題なんだろうと考えられます。

僕からすると「○○人」という分類は、国籍や顔かたちではなく、
 どの文化圏で育った表情筋の発達をしているか
を意味しているようです。


言語を変えるときに瞬間的に切り替わる部分と、
筋肉として残って変わらない部分と、両方がある。

学校という環境の影響力がいかに大きいかを痛感しました。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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