2016年02月11日

呼吸というプロセスを感じる

催眠、瞑想、ヨガ、座禅、気功…など、さまざまな方法の中で
『呼吸』が大事にされます。

決められた呼吸法があったり、呼吸に意識を向けたり、呼吸を数えたり。

いずれにしても、呼吸に意識が向くことは共通するはずです。

特に催眠や瞑想、座禅などの場合、呼吸を意識することで
「心を無にして」、思考から離れようとする場合があるようです。

確かに、普段はあまり意識していない呼吸を意識に上げることで
普段の意識状態とは違った状態、つまりトランス状態になりますから、
思考中心の普段の意識から離れる目的において
「呼吸を意識する」という方法は効果的だと考えられます。


ただし一口に「呼吸を意識する」といっても
実際には「どのように意識するか」に違いがあるんです。

1つは「呼吸していることを意識する」やり方。
もう1つは「呼吸活動を意識に上げる」やり方。

「呼吸を意識する」といったときは前者が多いように見受けられます。


「呼吸を意識してください」と言われたとき、一般的にやりがちなのは
 自分が息を吸ったり吐いたりしていることを意識する
とか
 決められた長さや回数で、息を吸ったり吐いたりする
という方法でしょう。

このように呼吸の長さを数えたり、呼吸の回数を数えたりすると
意識の状態としては、『呼吸』という現象を客観的に観察するモードになります。

さらには呼吸の仕方をコントロールしようとしたりすれば
呼吸を制御する機能に意識が向いて、呼吸はコントロールの対象という
さらに客観的で、切り離された状態になります。

日常生活で自分の行動を意図的にコントロールしようとしたり
体の外の出来事を客観的に分析したりする状態と近いんです。

もちろん普段とは違う意識状態だとはいえますし、
言語的な思考ではなく、シンプルに観測するだけの状態には近づけますが、
「心を無にして呼吸だけを意識する」ことを目指すにしては
かなり積極的、意図的に意識を”使っている”状態だということです。


しかも呼吸を数えたり、呼吸の長さを意識したりする場合、
呼吸の活動として注意が向く場所も限られてきます。

多くの人は、鼻や口を空気が通るときの感じや、呼吸音、
胸やお腹が膨らんだり、しぼんだりするのを意識するようです。

単純に「呼吸を意識してください」と言われたときの意識の仕方は
 その人が普段、呼吸をどのように感じとっているか
の影響を受けやすいからでしょう。

普段から腹式呼吸の傾向がある人は
『呼吸』と言われたときにお腹にも注意が向くでしょうが、
胸や肩を大きく動かして呼吸する傾向の人は、そちらに注意が向きそうです。

走って息切れしているときには、喉や気管を通る息の感覚も自覚しますから
普段からランニングをしている人は、そのあたりも意識するかもしれません。

一方、日頃から自分の呼吸も気にせずに話すことへ一生懸命な人であれば
「吸って、吐いて…」ぐらいの認識だけになる可能性もあります。

いずれにしても呼吸を意識するときには
馴染みのある呼吸の感じ方が土台になるという話です。

そしてこの馴染みのある呼吸の認識が、頭に近い部位で起きやすいんです。

鼻や口、呼吸音などは頭で意識されます。
気管や胸、肩でも、まあ頭に近い場所です。

多くの人にとって思考をベースにした意識活動は
その意識の中心を頭に置きやすいものです。

考えるときの内部対話は頭の中や、頭の周りの空間で聞こえますし、
イメージを思い浮かべるとしても、顔の周りの空間が使われます。
独り言をつぶやくようにして考えごとをするときも、口や喉に注意が向きます。

呼吸を意識したときに注意が向くところが頭に近いと、
身体への注意の向け方というレベルでも
普段の意識状態に近いものになってしまうわけです。

すると呼吸に意識を向けていたはずが、ふとしたときに
別の何かの考えに移ってしまいやすかったり。

身体意識として起こる場所が近くにあると
両方が意識に上がりやすくなって、その間を意識が移ろいやすいんです。

例えば、呼吸の数を内部対話として意識していたら、
沸いてくる別の内部対話(つまり雑念)に意識が移りやすい、と。

一般的な傾向としては呼吸を頭に近い場所で意識しやすいため
単純に「呼吸を意識してください」と指示された場合には
普段の思考を中心とした意識の仕方に戻りやすいということです。


つまり、とりたてて工夫せずに「呼吸を意識する」ことをしようとすると
 ・『呼吸』という現象に対して客観的になりやすい
 ・呼吸に注意が向く体の部位が頭に近い
という2つのポイントから、
意識が普段の状態に戻りやすく、思考から離れるのが難しい。

ただ呼吸を意識すると言われると
頭の近くで「呼吸していることを意識する」やり方になって、
目指すものに辿りつくのが簡単ではないんです。

仮に頭から離れた部位を狙って、腹式呼吸を心がけたとしても
「お腹がふくらんだ…、へこんだ…」と客観的に出来事を認識してしまえば、
これもまた「呼吸していることを意識する」状態になってしまいます。

抽象度の高い概念として呼吸を認識するから
「吸う、吐く」、「お腹がふくらむ、へこむ」といった簡略化された情報が意識され
言語的に意識しやすくなるともいえます。

実際に「息を吸う」という活動が起きるためには、
身体のレベルでは物凄く複雑なプロセスが進行しています。
さまざまな筋肉の動きがあるんです。

筋肉が動けば、それを意識に上げることが可能です。

単純化された「吸う、吐く」、「ふくらむ、へこむ」ではなく、
感覚体験として「どの場所に、どのように力が入り、どう動くか?」と
細分化して意識に上げるようにする。

そうすると一回息を吸うだけで、それはもう膨大な感覚体験が意識されます。
とても言語化できるレベルではありません。

結果として客観的な分析の活動は意識に上がりにくくなり、
呼吸という活動を生み出す身体の働きを感覚的に意識できるようになります。

普段の意識状態とは大きく違っていますし、
分析的で客観的な思考中心の意識からも離れやすくなる。

これが「呼吸活動を意識に上げる」やり方です。


実際、呼吸の可能にしている全身の筋肉の動きに注目すると
その範囲は非常に幅広いものです。

肋骨の間が広がる感じ、背中側に回るような広がり、
腰や骨盤、肩や肘、首の付け根、腿のあたりでも
呼吸にともった運動が感じられるはずです。

息を吸ったり吐いたりするのは結果なんです。
それを生み出す元となる全身の筋肉の運動に注目する。
そしてその感覚体験を意識に上げる。

広がった部位を一度に意識しますから
思考活動に意識が集中してしまうことも減ります。

全身に広がった呼吸の意識は、頭から離れた場所にありますから
普段のような頭に中心を置いた意識でもなくなります。

呼吸活動のプロセスの全てを細分化して同時に意識する方法ともいえます。


呼吸を意識することで何を意図しているのかにもよるのでしょうが、
「心を無にして」思考から離れることを目的とするのであれば
『呼吸活動を意識に上げる』やり方のほうが効果的ではないかと感じます。

呼吸していることを意識しているのか、
呼吸活動を意識に上げているのか?

この違いは相当に大きいものではないでしょうか。

cozyharada at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)clip!心理学 | NLP

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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