2016年03月29日

反省のしかた

先日の一日講座の受講生で
ものすごく真摯に反省できる方がいらしていました。

何をもって「反省」と呼ぶかには個人差があるところでしょうが
誰も反省の仕方を教えてもらったことはないでしょうから
ある意味では誰もが我流の反省をしていて、個人差があるはずです。


先日、僕が飲食店で見かけたケースでは、
アルバイトの店員が失敗して店長に怒られていたとき
その店員は見るからに「落ち込んだ」様子になっていました。

明らかに元気がなくなって、悲しそうで、気まずそうな感じ。
かといって失敗をしなくなるかというと、そうではありませんでした。

むしろ冷静さを失っているから余計にミスが増えたりもしているようでしたし、
以前から頻繁に怒られる傾向のある人だったんです。

何度注意されてもミスが治らない。
それは指導の仕方も関係するでしょうが、1つには
 怒られたときに「落ち込む」だけで「反省」はしていない
こともあると考えられます。

つまり、「今回の問題はここにあったから、次はこのように対応しよう」といった
問題の洗い出しと次回のシミュレーションが含まれていないようなんです。


他にも「反省」しているように見えて
実は、上手くできなかった自分を「悔しがっている」だけという場合もあります。

「悔しい」ときには「落ち込み」ほど元気が失われることはなく、
むしろ「次こそは!」、「今度は見返してやる!」とヤル気を高めます。

だからといって、頭の中で改善策のシミュレーションをしているかといえば
そうではないこともあるんです。

また人によっては、上手くできなかったことを指摘されて
自分の価値が否定されたような印象を受け、「傷つく」こともあります。

「落ち込み」とは違い、傷つけられた相手に対しての不満が含まれる。

傷つきに加えて、問題点を指摘された相手に対して注意が向くときは
「自分がこんなに傷ついているのは、アイツのせいだ!」のように
「恨み」が沸く場合もあるようです。

逆に、問題を指摘された相手に注意が向かない場合には
その非がすべて自分にあるかのように捉えて「自己嫌悪」になることも。


いずれにしても感情的な動きが大きくて、内面が不安定になるのが特徴です。

問題を指摘されたことから心が乱れる。
感情が沸き上がって冷静でいられなくなる感じです。

もちろん、これらの状態にもメリットがあります。

周りからすると「問題意識があるように見える」ことです。
少なくとも問題に気づき、ショックを受けているらしい、と。

落ち込みでも、傷つきでも、恨みでも、自己嫌悪でも、
とにかく一大事として受け止めている様子には見えます。
何事もなかったかのようにサラッと受け流してはいないわけです。

一般的に、そういった感情的なショックの反応を見せられると
人はその後で更に追い打ちをかけるようなことはしません。

「どうやら”反省している”らしい」と勝手に解釈して
そこで話は一段落しやすいんです。
「まあ、まあ、これぐらいにしておきましょう」と。

しかしながら
 実際に、問題点を自ら振り返って
 改善点として次回のシミュレーションをする
といった次に活かす考え方をしているかは分かりません。

むしろ次に活かすための分析やシミュレーションは
感情が強く沸き上がって冷静さを失っているときには
逆にやりにくくもあるものです。

周りからすると”反省している”ように見える
落ち込みや傷つきといったショックの反応は、現実的には
次に活かす考え方をするのに不向きだと考えられます。


では、
 まったくショックを受けることなく淡々と
 改善点だけを取り上げてシミュレーションさえできれば良いか?
…というと、必ずしもそうではありません。

周りから反省しているように見えないだけでなく、
全く感情が動かない場合にも、今度は記憶として定着しにくいんです。

痛みを伴うから記憶が定着しやすい。
二度と同じことを繰り返さないようにするには
痛みを避けようとする学習の働きを利用するのが効果的だということです。

その意味では、「反省」には
・冷静に問題を分析して、次回以降の行動を変えるために工夫すること
・心の痛みとしてのショックを受けること
の両立が必要だと考えられます。

ショックを受け過ぎて冷静さを失えば、学びが活かせません。
ショックが無さ過ぎれば、学びが定着しにくくなります。

適度なショックが必要だ、と。

そのためのポイントになるショックの受け方は、
 『自分の基準に沿わないことをした』と自分で自分を傷つける
やり方です。

もちろん強く自分を傷つけるわけではありません。
自分を責める感じ。
自分で自分を注意する。

誰かから問題を指摘されたとしても、自ら問題に気づいたときでも、
他の人がどうこうではなく、問題に真正面から向き合うんです。

とくに自分の価値観と照らし合わせるのが重要なようです。

「自分は気づかないうちに、自分の価値観と沿わないことをしていた。
 自分では大切だと思っていたはずなのに、
 全然大切になんてできていなかったじゃないか!
 一体これまで自分は何をやっていたんだ!」

そんな感じのショックの受け方です。

大切なこと(=価値観)を大切にできなかった申し訳なさがあり、
同時に、そのことに気づけていなった自分への不甲斐なさがあります。

そして今まで気づかずに続けていた問題点の意味の大きさを振り返り
「もう絶対にこんなことをしてはいけない!」と意欲を固めます。

自分にとって受け入れ難い過ちだと捉えるからこそ、
それを避けようとするエネルギーが強力になるんです。

そして「意地でも同じことは繰り返したくない!」と意志を固める。

その過程では、自動的に過去の行動すべてから問題点がチェックされます。

問題が指摘されたり、問題に気づくタイミングは一瞬です。
ある1つの出来事の最中に「反省」のときが訪れます。

しかし一度「反省」が始まり、それを真摯に正面から受け止めたときには
同じような問題さえも許せなくなって過去を一通り振り返ってしまうんです。
「ひょっとして前にもこんなことをやっていたのではないか?」、
「いつからこんなことを続けてしまっていたんだ?」と。

だからこそ一気に問題点に気づくことができますし、
「したくないことをしてしまっていた」という受け入れ難さも
その過去の経験の回数分だけ積み重なるので、不甲斐なさも大きくなります。

そのうえで「二度とこんなことを繰り返したくない」という想いの強さが
注意の方向を未来に向けさせます。

落ち込みのときのように「あー、やってしまったぁ…」と過去に向かない。

感情としてはショックを受けながら、思考は未来を向いている。

その結果として、問題を繰り返さないための工夫や修正が
記憶に嫌というほどハッキリと定着するわけです。


このように
「自分は、自分がやりたくないはずのことを
 気づかないうちにやってしまっていた。
 こんなことは絶対に繰り返してはいけない!」
と、問題に直面するための真剣で、前向きな姿勢が
効果的な「反省」のやり方だと思われます。

僕が講座で出会ったその方は、
まさに真正面から自分の行動を見つめ、
そこに妥協のない問題点を探していました。

そして心の中にショックを受けながら
苦しみを感じるからこそ前に進もうとする強さも見せていました。

一切の言い訳を挟まないだけの強さと真摯さがあり、
大きな心の痛みを受け止めようとするだけの想いの強さがあるようでした。

それはともすると自分に厳し過ぎるように見えることもあるかもしれませんが、
本当に自分の大切なものを大切にするために
自分自身で変わっていこうとするスタンスは、
自分を大事にしようという「自分への優しさ」の表れでもあるはずです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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