2016年06月15日

目的もなく勉強する

フランス語の講座に通い始めて1年ちょっとになります。
そろそろ次のステップかと感じ始めてきたあたり。

英語やフランス語など人気のある語学は
比較的多くの大学で公開講座として扱われています。

いわゆる英会話スクールのような形よりも安価に受けられる印象です。

まぁ、大学の講座ですからマンツーマンではないものの、
マンツーマンが必要になるタイミングは
ある程度の基礎が身についてきてからかとも感じますから、特に学習初期は
10数人程度のグループで授業形式というのも効果的なものだと思います。

今、僕がとっている講座にも10人ちょっとの受講生がいますが
その幅の広さは他の環境では滅多に体験できないものじゃないでしょうか。

年齢層でいうと、上は80過ぎのマダムから下は女子高生まで。

職種としても仕事帰りにやってくる会社員もいますし、主婦もいます。
会社経営を退いて顧問程度に悠々とした生活をしている人や
会社を定年退職して都心から離れたところに住んでいる人もいれば、
70を過ぎても働いている会計士、大学の名誉教授なんかもいます。

日本語・英語の比較言語学の教授をしているアメリカ人も来ていますし、
インドの都市開発プロジェクトをやっている建築士(日本人)なんかもいて
なかなか国際色も豊かな感じ。

英語に興味を持つ人と比べるとフランス語をやる人は少ないせいか
学生時代にずっとフランス語をやっていたとか、フランスに住んでいたとか
フランス語圏のアフリカ諸国と行ったり来たりしている人とか、
国際経験としても初めて聴くようなエピソードが多く耳に入ってきます。

最年少の女子高生もベルギーからの帰国子女です(ベルギーはフランス語)。


そんなバリエーションが豊富な受講生ですが、
世間一般の人と同じような傾向が見て取れるところもあります。

受講理由の話題になったときです。
「なぜフランス語を勉強することにしたのですか?」という話。

日本の教育で「なぜ?」に対しての答え方を
『原因』と『目的』の2つに区別する発想は、習った記憶がありませんが
フランス語の先生はハッキリと分けて説明しています。

原因は「なぜなら、〜だったから」という形。
目的は「〜するために」という形。

公開講座のフランス語だと受講生の年齢層が幅広いため
受講理由として原因と目的の両方が表れます。

そして若い人ほど目的で説明しやすく、
高齢の人ほど原因で説明する傾向があるようです。

目的にはどうしても将来の想定が含まれますから
若い人のほうが目的意識が高いものなのかもしれません。

・アフリカでの仕事で使えるように(目的)、
・フランスに旅行に行ったときに会話ができるように(目的)、
・せっかくベルギーに住んでいて話せるようになったフランス語を
 もっと使いこなして将来に活かしたい(目的)
などは目的の例でしょう。

一方、原因に意識が向く人の多くは、端的にまとめてしまえば
「なんとなく興味があるから」
でしかありません。

あとは細かい話として、
「娘がここの大学に通っていて、家族には割引が適用されるから」
といった理由の人もいましたが、これだって
そもそも「なぜか関心があったから」という原因なしには受講に繋がらない内容です。

ある程度の割合の人は、「ただなんとなく勉強したい」という
純粋な興味・関心だけを出発点にしていて、
 「それが何の役に立つか?」
なんて気にしていないんです。

ところが若い世代には「〜のために」、「〜に役立つから」などと
フランス語の勉強を、目的達成の手段と捉える人が多いようなんです。

やはり無難な会話の入り口は「どうしてフランス語をやっているのか?」あたりですから
どうしたって僕もフランス語を勉強する理由について質問されることがあります。

僕の場合、とくに目的はありません。
なんとなく興味が沸いたから。

とくに勉強したいことがなくなってきて、
スペイン語の授業を英語で受けられる機会があったから
それだったら楽しめるかなぁと思って始めたタイミングが去年。

高校のときの第二外国語がフランス語だったので、どちらもラテン語系で似ているため
両方同時にやれば習得効率が良さそうだと考えてフランス語も再開しました。

結局、スペイン語は講師のラテンのノリについていけず中断して
今のところフランス語に集中しておいているという感じです。

ある程度の形になってきたあたりで先生を選びながらスペイン語をやってみるか、
ロシア語かドイツ語かオランダ語でもやってみるかもしれませんが、
いずれにしても何となく勉強を続けたいからというだけの理由でしかありません。

その関心が現時点ではフランス語に向いている、と。

このように「なんとなく何かを勉強したい」という動機が
なかなか理解してもらえないんです。
かなり不思議がられます。

仕事で使う必然性のある人からすると
 なぜわざわざ好きこのんでフランス語なんかを勉強するんだ?
という話なのでしょうか。

一方、高めの年齢層の人たちは、そのあたりのことについて質問しません。
自分がただの興味から趣味として勉強しているという自覚があるせいか、
単純にフランス語の勉強を楽しんでいる様子が見て取れます。

そして、そんな風に純粋な興味・関心から勉強を楽しんでいる人ほど
話題がフランス語そのものになるんです。

若い世代ほど仕事の話とか、何にフランス語を使いたいのかとか、
どういう経歴の人なのかとか、その人の生き方や目標に関心が向くようですが、
年齢層が上の人は、どうしたらフランス語が身につくかとか
どうやって単語を覚えているかとか、フランス語学習について話したがります。

言うまでもなく、フランス語の勉強を楽しんでいるのは
純粋な興味から勉強を続けている年齢が高めの世代。

必要に迫られてやっている若い世代と比べると予習・復習も入念です。
一生懸命さも違います。


どちらの習得が速いのかは分かりません。

必要に迫られる人のほうが使う機会が多かったりもするでしょうから
一概に比べることもできないでしょう。

ただ、僕が一緒に講座を受けていて気分が良いのは年齢が上の人たちです。
皆、本当に楽しそうな様子で時間を過ごしています。

講座の時間が夜だというのも、講座そのものに集中しやすい理由でしょうか。

昼間のカルチャースクールなんかだと、講座そのものに加えて
終わった後のティータイムのおしゃべりを楽しみにする人もいるようですから。

別に友達を作りに来ているのではなく、ただフランス語を勉強したい。
そういう動機の人と一緒に過ごすと、なんだか少しホッとします。

将来どうとかなんて考えずに、ただ今やりたい勉強をする人たちです。

ともすると「いくつになっても勉強できるなんて素晴らしい」と感じるかもしれませんが
年齢を重ねてきたからこそ、ただ勉強する楽しさを味わえるのかもしれません。

単純に勉強をしたいだけの僕からすると、そうした人たちと同じ場にいられる時間は、
ちょっとした気休めにもなっているような気がします。

一般に見受けられるような、必要に迫られて何かを身につけようとするスタンスは
切実さがあってモチベーションの強さが刺激的ではある反面、
何者かに駆り立てられるような慌ただしさも感じます。

その点、フランス語講座にいる高めの年齢層の人たちには
必死さも駆り立てられるような焦りもなく、落ち着いた雰囲気があります。

ただ勉強を楽しむ。
そういう環境も良いものだと感じます。

とくに急いで身につける必要もありませんから
これからも少しノンビリと勉強していこうと思います。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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