2016年07月01日

技術の妥協点

語学をやっていると様々な人に出会います。

そしてある程度、外国語を話せるようになってきた人の中に
慣れだけで細かいことを気にせずに話す人が見受けられます。

たしかに一般には
 「日本人は正しく話そうとし過ぎて会話ができない」
といった意見もありますから、
とにかく頑張って話してみるというスタンスは大事なんでしょう。

多少、文法的に、発音的に不自然であっても
口から音を出してみないことには学習が進みません。
黙っているよりは積極的に話してみるほうが良い。
そういう側面はあるんだと思います。

が、ずっとそのスタンスを続ける人と
修正するように努力を続ける人とに分かれるのも実情。

誰でも不自然な発話を無理にでも頑張る時期は必要だとはいえ
そのまま不自然なものをずっと修正せずに使い続けると、
文法や発音として標準から大きく離れたもので慣れてしまうことがあるようです。

通じれば問題がないというスタンスなのかもしれませんが、
周りの反応を見ていると、明らかに聞いている側が頑張って理解しようとします。

音として標準から離れているものを、自分の知っている標準に照らし合わせて
文法的に違和感のある単語の羅列からニュアンスを汲み取って
何を言いたいのかを理解するような負担がかかっている感じです。

そして、ある程度その状態で慣れてくると
コミュニケーションをとる上で現実的な支障が減ってくるのでしょう。
それ以上は、ネイティブにとって自然な言葉に直していこうとはしないみたいです。


これは日本人が英語をやる場合に限った話ではありません。

英語圏ではない人たちが英語でコミュニケーションをするときにも見受けられますし、
日本語を話す外国人にも言えることです。

店員として働く外国人の中には、当然日本在住の長いひとがいるはずですが、
いつまで経っても日本語がある程度から上達しない人も多い。

テレビに登場する外国人タレントだってそうです。

ある程度コミュニケーションが成立して、使用目的で不便をしなくなると
その習得段階で慣れていってしまうようです。

実際には、関わる相手に負担を強いているかもしれないけれど
そこを気にしていないのかもしれません。

困らないから…、
自分がそれ以上必要としないから…、
そういう理由で自ら修正しようという意欲がなくなっていく。

あるいは修正する以上に、自分にとって大事な別の目標があるのかも。

そのように修正をやめる”妥協ポイント”が、どれぐらいの時期で訪れるのか、
そこも本人の求めるものと、関わる相手への配慮の度合いとで変わりそうですが、
いつかは誰でも妥協点に到達するものなのでしょうか。

僕自身の実感としても英語学習への積極性は以前ほどではありません。
慣れで楽になってきているところはある一方で、
自分でミスに気づきながらも無視してしまうときもあります。

ましてボキャブラリーを増やそうとするような努力となると、完全にサボっています。


もっといえば語学に限ったことではないんでしょう。

どんな技術でも、
どこまで身につけようとするか、
どれぐらい自分の技術の不足点を客観的に修正できるか、
といったところは
自分が「これぐらいで大丈夫だろう」と妥協した瞬間に
そこで停滞し始めるのかもしれません。

慣れて熟練度は上がり、スムーズにはできるようになる。
とりあえずそれぐらいで大きく困らないから、と
その段階の技術を定着させるようになっていく。

実は相手に負担をかけたり、我慢をさせたりしているかもしれないけれど
それすらも気にかけないままで済ませてしまっているところもあるような気がします。

ずっと技術を追い求め、さらなる高みを目指していく必要はないとしても
自分の技術がどこで止まっているのかを客観的に知っておくのは
現状を適切に判断するうえで大事なことのように感じます。

でないと、次に修正が必要な場面に出くわしたとき
自分の技術を改善しようと反省することが難しそうですから。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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