2016年12月22日

パートは「教える」のか?

ずっと気になっていたことがあって、原典を調べてみようとしています。

NLPでいうところの「パートの肯定的意図」についてです。

パートについて、肯定的意図については
書籍「心を読み解く技術」で詳しく解説していますが、
日本で見かけるNLPのテキストの類には
少し気になるところがあるんです。


パートとは端的にいうと、心を構成するプログラムを擬人化したもの。
プログラムの担当者のようなイメージです。

プログラムが作られるのは大体の場合、幼少期ですから
その場をしのぐために、あまり効果的ではない方法が選択されがちです。

ベストとは言い難いやり方で問題の状況を乗り切ってしまう。
とりあえず何とか期待する結果が出たわけなので、
その後もその方法を使い続けることになります。

そして繰り返すうちに、その方法が定着して
ワンパターンの対応が自動的に起こるようになります。

自動化された頃になると、最初に期待していたような内容は
すっかり意識に上がらなくなっていく。

こうして、元々は期待していたことが無自覚になって
理由も分からないままに繰り返していることが多いんです。

で、
・この元々期待していたものは何か?
そして
・期待した通りになったときに自分のどんな価値観が満たされると思っていたのか?
…という部分が『肯定的意図』となります。

その方法(=プログラム)を使う目的はそもそも何だったのか?という話です。


ポイントになるのは、こうした意図・目的の部分が
意識にあがりにくくなってきているということ。
すっかり忘れ去られてしまっているところです。

そのため普段とは違った方法で自分の内面を探ります。
いつもとは違うルートで記憶を探索するわけです。

記憶にあがる際の原則は、思い出すキッカケがあること。
それによって連想されたことが意識化されます。

普段の考え方だと、普段通りの連想のルートでしか記憶の探索が起きません。
出てくる発想も普段通りのものに落ち着いてしまう。

だからこそ、普段とは違った連想で記憶を探れるように
思い出すキッカケとして少し変わった問いかけをするんです。

それが「パート」という形で自分の内面を擬人化して、
そのパートに自ら質問を投げかける、という方法。

普段は「なぜこんなことをしてしまうんだろう?」と原因分析をしがちなところ、
「なんのために、これをしてくれているの?」と目的や意図の観点で、
しかも質問を投げかける形をとるようにします。

誰かに質問されるて新しい考えが浮かんでくる
といった経験は、多くの人に共通でしょう。
質問されると自動的に答えを探し始める動きが始まります。

だから自ら答えを考えるのではなく、質問されたときの状態を作り出す。
それで勝手に答えが出てくるのを期待するわけです。

ということで、パートという担当者を想定して
自分がそのパートに目的や意図を尋ねる質問を投げかける
という方法が有効なんです。

普段とは違った発想が出やすく、
無自覚になってしまっていた記憶の中から
プログラムの肯定的意図が引き出されやすくなります。


その意味で、どんな質問を投げかけるかが重要です。
質問のフレーズによって効果が変わりかねないんです。

調べてみると、英語では最もスタンダードなフレーズが
「What do you want for me?」
という形。

僕はこれを
「私のために何をしようとしてくれていたの?」
と訳していますが、
人によっては「しようとしてくれていた」の部分が
言語的に情報過多になる場合があります。

その場合「本当は何をしてくれていたの?」ぐらいにすることもありますが、
肯定的意図は期待していたこと、つまり「良かれと思って」の部分なので
必ずしも期待通りの結果が出ているとは限らないのが注意点。

同様に「何が得られますか?」という質問も
”得られている”想定で受け取られることがあって誤解を招く場合があります。

「何を得ようとしていたの?」も良いかもしれませんが、
口頭で「えようとしていた」というフレーズを聞いたとき
「得る」という意味がすぐに浮かばないこともあるみたいです。

かといって「何を手に入れようとしていたの?」だと
「手に入れる=get」のニュアンスが高まってしまいます。
これだと本人の内面ではなく、外から何かを入手する意味が出がちです。

肯定的意図は最終的に、内面の状態を深める方向になりますから
「手に入れる」というフレーズも避けたいところでしょう。

もしかしたら直訳に近く
「私のために何を求めていたの?」
「私のために何を願っていたの?」
ぐらいでも良いのかもしれません。

”求める”もやはり口語的ではないですが
”得る”よりは捉えやすい気がします。

”願う”は少し意味が弱いですが肯定的な雰囲気は伝わりやすそうです。

以上のように、日本語に訳すときにも
肯定的意図が浮かびやすい形の質問として工夫するのは重要なはずです。

そもそもの英語のフレーズが注意深く設定されていそうなのも
僕にその辺りを慎重にさせる要因の1つでしょう。


ところが、です。

僕が見てきた日本のNLPのテキストには
「パートは何を教えてくれていますか?」
という質問が見受けられるんです。

この出所が分からない。
英語で探しても、まだ元になりそうな質問が見つかっていません。

確かに会話的にパートとコミュニケーションしたとき
擬人化されたパートが語りかけてくるような体験も多々あります。
そうするとパートの返答がアドバイス的になることもあります。
「もっとこうしたほうが良いよ」みたいな感じ。

その前提でいくと「何を教えてくれていますか?」も悪くはないんでしょう。

一方で、「何を教えてくれていますか?」という質問は
パートに対する問いかけの形には受け取られないことが多いようなんです。

さらに「教える」という単語が知的な活動を活性化しがちです。

結果として、この質問に対しては普段通りの発想が引き出され、
「パートは何を教えてくれているんだろう?」と分析するケースが見られるんです。

パートの肯定的意図を探る質問のポイントは
いかに普段とは違ったルートで記憶を探索するかにあります。
できるだけ普段の発想は抑えたほうが上手くいきやすいようです。

最初から会話的にパートのメッセージが頭に浮かぶ人なら
「何を教えてくれていますか?」でも問題ないでしょうが、
そういう人は「何をしようとしてくれているの?」でも同じ答えが出てきます。

個人的には「教えてくれていますか?」の質問には
メリットよりもデメリットのほうが多い印象があるぐらいです。


もしかしたら「教える」が「 teach 」ではなく「 tell 」だったのではないか?と
英語でも調べてみてはいるんですが、今のところ何も見つかっていません。

「 tell 」ぐらいのつもりで
「パートは何を伝えてくれていますか?」だったら、まあ無難でしょう。

パートとコミュニケーションするだけであれば
この質問でも成立するとは思います。

とはいえ、肯定的なニュアンス、意図・目的を尋ねるニュアンスは
いずれも含まれていないので、手順に入れる質問としては
それほどオススメする形ではないと思いますが。

「パートは何を教えてくれていますか?」という質問が
いったいどこから出てきたのか?
そこが気になります。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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