2017年08月31日

マイケル・ヤプコの本

この本を読みました。



初のKindle読書だったので「本を読んだ」という言葉に
まだ若干の違和感がありますが。

Kindleで読むことに関してはスムーズでしたし、
ときどき知らない英単語が出てきても
その場で単語を選択すれば辞書が表れるのも便利でした。

思いのほか好印象です。


本の内容についても好印象です。
すごく大事なことが書いてあります。

おそらくこれを心がけるだけで、(特に人間関係については)
悩み全般が解決してしまう人も大勢いると思います。

それぐらい本質的な内容です。

ポイントは「ちゃんと区別をつける」ということ。

・どこからどこまでが自分にコントロールできる範囲なのか?
・どこまでが自分の責任として反省するのか?
・どれぐらいリスクを踏まえ、行動するか・止めるかを決めるのか?
・どれぐらい自分の感情に従って行動するのか?
・自分に起きたことのうち、どれぐらいが自分の問題か、環境要因か?
・どれぐらいの期待は現実的だといえるのか?
・どこまでが「自分を大事にする」で、どこから「自分勝手」なのか?
・解決努力をすべきなのか、現実を受け入れるべきなのか?
・思ったことをどれぐらい言えばいいのか?…など

そのあたりを
 ・区別がついていない人が言いそうなこと
 ・区別がついているかどうかを自省してもらうための質問
 ・区別をつけるときのポイント
などを解説しながら書かれています。

タイトルは「Discriminating Therapist」ですから
心理療法家向けの内容として書かれているスタイルですが、
実際には自分の人間関係やコミュニケーション、悩みを見直すのに
役に立つ内容なのではないかと感じました。


セラピーやカウンセリングを想定している側からすると
もう少し具体的な事例があったら嬉しかったです。

僕もやりがちな傾向なので感情移入してしまいやすいんですが、
本質的なところを考えていくうちにシンプルになっていって
具体的で現実的なニーズから離れてしまうのかもしれません。

おそらく著者の中では、
「人の問題の大部分は、認識が歪んでいて
 ちゃんと区別しないで判断をしていることで起きる。
 そこを区別できたら、ほぼ解決。」
といったようなシンプルで本質的な原則があるんでしょう。

長い経験の中で辿り着いたところなんだろうと思います。

それを本にまとめるにあたって、少し分類して項目に分けた。
そんなところじゃないかと想像しています。

元々、本人の中で厳密に分類しているわけではなく
「妥当な区別がついているか?」
という本質的なポイントになっているからこそ、
分類している解説に重なる部分や似た印象のものが入ってくるのでは…?
というのが僕の推測です。

日本で出版される本は、完全に専門家向けでないかぎり
著者の頭の中で整理されている通りに本が構成されるとは限らず、
むしろ専門家ではない人たちが興味を引かれやすい構成が好まれるようです。

その点、アメリカの本は結構、自由に著者が書いている印象というか、
読者を想定していないような書き方に見えるものもあります。

この本も日本人向けのマーケットで想定されていたら
ありがちな悩みのパターンごとに章立てがなされて、
それぞれに「区別のポイント」が補足される構成が好まれそうな気がします。

まぁ、そうなっていたらセラピスト向けの本ではなくなって
一般向けの心理読み物になってしまいますから
著者の趣旨とは違ってきてしまうんでしょうけれど。


…こういう感想が僕の中に湧いてきたということは
本の内容として心理療法の専門家向けというよりも、むしろ
多くの人が知っておいた方がいい本質的なものだと感じたからでしょう。

なぜなら世の中の教えの多くは一方向に偏っているからです。
それを信じて頑張り始めると、逆方向に偏って、また厄介なことになる。

簡単にいえば、バランスが求められる、と。
この本では、そのバランスを取るためのポイントと基準を解説している。
そういう風にも解釈できます。

例えば、僕自身もそうでしたが
 遠慮がちで自分の要望を表現せずに我慢する
という傾向の人がいます。

で、我慢してばかりだと不満が溜まってきて、苦しくなって勉強を始め、
「自分を押し殺すのではなく、自分を大切にしましょう」
なんてことを教わる。

すると今度は「我慢しない」方向に振れ過ぎてしまって
他人と上手く噛み合わなくなってきたりします。

一方向的な教えだと極端なほうに偏ってしまうケースがあるわけです。

だからこそ、ちょうどいいバランスを判断できるように
「ちゃんと区別しましょう」というところに落ち着く。

いたって当たり前の話ですが、見過ごされがちな気がします。

何より、こういう妥当すぎる話はウケが悪い。
当たり前に感じられてしまって新鮮さがなく、
結局自分で気をつけなければならないから面倒くさい。

一方向に偏っているほうが簡単で分かりやすく見えるし、
常識と反対な側面を強調すると斬新さも出てきます。
世間にウケます。

しかし実際問題として、教わったことに忠実なほど
偏った行動をして空回りしてしまう人も少なくないように見えます。

結局、白か黒かでハッキリさせるのではなく
程度のバランスを調整するのが大事になるんでしょう。

そういう意味で、すごく大事なことが書かれている本だと思います。
「ちゃんと区別して判断しましょう」というテーマですから。


ただ残念ながら、日本語訳は出版されていません。

あいにく洋書のKindle版だけしか入手しずらかったので
ハードルは少し高いかもしれません。

この2017年11月11日〜14日の期間で、
著者が来日してワークショップを開催する模様です。
『エリクソン催眠〜臨床ヒプノと戦略的セラピーの統合的トレーニング〜』
http://acca-japan.com/yapko/


前半部分は催眠療法の内容みたいですが、
後半はこの本の内容がテーマになるような紹介がされています。

ご都合が合えば、こちらに参加してみるのも良さそうです。



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【ご案内】

『心を調える実践ワークショップ』
9月10日(日)or 9月24日(日)

 いろいろと修行します。

 詳細はこちら>>

cozyharada at 23:49│clip!コミュニケーション | NLP
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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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