2018年06月22日

感情表出のパターン

心理学の用語で「Display Rules」というのがあります。
感情の表し方について文化的に共有されているルールのことです。

日本の心理学では「表示規則」とかと訳されるようですが、
直観的にイメージしやすい訳ではなさそうに感じます。

「感情表出ルール」ぐらいに捉えると良いんじゃないでしょうか。


心理学の分野でも、感情表出のパターンが
文化によって異なるということを認めているわけです。

とはいえ、大雑把に「西洋と東洋では違う」といった感じですが。

もしかすると個別の詳細な研究として、同じ西洋文化圏や
東洋文化圏の中でも違いを見ている研究もあるかもしれません。

それでも心理学の中心はアメリカといえるでしょうから
アメリカ人から見た観点に寄ってしまうのは仕方がないんでしょう。

日本人からすると、日本と韓国と中国は全く別物に思えたとしても
西洋の人からすると区別がつかないことが多いらしいです。

フランス人もそう言っていました。
日本に来る前は区別がつかなかった、と。
見慣れてきたら見た目で判別できるようになったとのことです。

さらにアジアには東南アジア、南アジアなど多くの国が含まれます。
そちらにもやはり違いはあるでしょう。

もちろん「西洋」という範囲でも、違いはあるはずです。

アメリカとイギリスを同じ範疇に入れるのは僕には違和感がありますし、
ヨーロッパの中でも地中海系の暖かい地域と
東欧寄りの寒い地域でも、コミュニケーションのパターンには
大きな違いが見てとれるように思います。

アメリカの大学が中心となって論文を発表している状況では
東洋、西洋の内側にある細かな違いまでは
それほど重視されなくなってしまうのかもしれません。

ざっくり言ってしまえば、
 アメリカ人からすると、高頻度で出会う東アジア系の人たちは
 感情の表し方が、アメリカのものとは違って見える
という話です。


具体的には、その違いを一言で表すなら
「アジア人は感情を抑えてコントロールする傾向がある」
といった感じです。

アメリカ人のほうが抑え込まずに、ストレートに表現する、と。

表現するといえば聞こえが良いですが、
コントロールせずに「そのまま出てしまう」
とも言い換えられそうです。

僕は日本以外のアジア文化を詳しく知らないので、
街中で見かける中国人観光客や日本在住のアジア人しか
判断材料となるものがありません。

その範囲からすると、中国人は日本人よりもずっと
感情が大きく表れたコミュニケーションをしているように見えます。
声のトーンにも、表情にも、しぐさにも、大きく感情が反映されます。

が、心理学の知見として言われている「Display Rules」は
文化的に決まっている感情表現のルールのことなので、
ポイントは「どんな状況で、どのように表すべきか」になります。

なので「感情が出たときに大きく表れるかどうか」よりも
「いつ、どこで、感情を出してもいいのか」
「どういう場面では感情を出さないようにコントロールするのか」
が重視されると考えられます。

その意味で観察すると、確かに街中の移動中や買い物の最中に
家族や友人と感情を大きく表しながら過ごしている中国人も、
コンビニの店員をやっているときは無表情に近くは見えます。

僕の目からすると声のトーンや動作、些細な表情の変化に
面倒臭そうな気持ちや、楽しくない感情が見てとれますが、
それらの表し方は決してストレートではありません。

一応、職業人として我慢してコントロールしようとはしています。

あくまで日本人よりも非言語メッセージに感情が出やすいだけで
出ないように心がけている様子そのものはあるといえます。

まぁ、心理学で感情を捉えるときには、
微妙な非言語メッセージの「変化量」ではなく、
大きく変わった典型的な特徴をもとにしていますから、
日本人店員よりもヤル気がなさそうに見える中国人店員も
心理学の範疇ではあまり区別しないのかもしれません。

とにかく感情を「大きく」出さないように心掛けること、
そのコントロールがなされるかどうかが重要な違いだ、ということです。

日本人が感情をコントロールする場面と
他のアジア各国の人たちがコントロールする場面では、
おそらく文化的に違いがあるんでしょう。

そのため日本文化しか知らない僕からすると
「(日本では)こういう場面では感情をコントロールするのが標準」
と判断する状況でも、他のアジア人は
感情をコントロールしているように見えないんだと思われます。

裏を返すと、僕が気づいていない状況で
感情をコントロールしている場面がある可能性もある、と。

「いつ、どこで、どのぐらいコントロールすべき」とされているかは
各文化によって決まった『ルール』だと言えるでしょうが、
アジア圏にはそれぞれのルールで「コントロールすべき状況」が
かなり多く見てとれる、という話なんでしょう。

その点、西洋文化のほうが、東洋文化にありがちな
「皆と同じように感情を抑えるべき場面」というルールが少ない。

ゼロではないはずですが、西洋には少ない。
東洋よりも少ない。

そんな結論なんだろうと思います。


感情表出のルールがハッキリしない場面は
日本文化の中でもあると考えられます。

例えば、家族の中。
あるいは恋愛関係。
赤の他人でも揉め事が起こったとき。

こういうときは感情が強く生まれがちです。

感情を駆り立てられる出来事があったとき、
それをどうやって扱うかが人それぞれ違います。

大声で怒りを出す人もいれば、
泣いて場を収めようとする人も、
すねながら相手を攻撃する人も、
グッと我慢して耐える人も、
八つ当たりして不満を撒き散らす人もいます。

言い換えると、ハッキリしたルールがないわけです。

逆に、例えばデパートの店員だったりすると(日本では)
理不尽なクレームを言われたとしても
冷静で丁寧な対応をする必要があります。

内心ではハラワタが煮えくり返っていたり、
クレーマーに対して軽蔑心が生まれていたり、
恐怖心に激しく取り乱していたりしたとしても、
表面上は冷静を繕って、丁寧な対応をすることが求められる。

こういう場面はルールがハッキリしているといえます。

電車の中で隣の人のイヤホンの音が気になっても、
ガムをかむ音が気になっても、匂いが嫌だったとしても、
あまり思いっきり不満を表現することはないでしょう。

我慢するほうが基本で、精一杯の抵抗として
不満を少し態度に表すぐらいなものだと思われます。

公共の場でもやはり、感情を抑えるルールがあるわけです。

感情表出についてのルールも、
暗黙のルールとして共有されている以上は
自覚されやすい、気づきやすいものです。

一方、ルールがない場面のほうでは
ルールが存在していないことには気づきにくい。

自分の文化ではルールがない状況に遭遇したとき、
ルールを意識しようとする発想そのものが出てきにくいんです。

だから知らないルールがあったとしても見つけることが難しい。

外国からの観光客が日本のルールに気づけないとしても
それはある程度、当然のことだと言えるのかもしれません。
本人たちの文化ではルールが存在しない状況だったとしたら
ルールを探そうとさえできないわけですから。

同じことは僕にも起きている可能性があります。

外国で知らないうちにやってはいけないことをしているかも…。

知らないルールを教えてもらえれば手っ取り早いですが、
そうでないとしたら
「今、何かルールは存在していないだろうか?
 あるとしたら、どんなルールだろうか?」
と気をつけるぐらいしかできないような気がします。

他者を尊重するのだとしたら、その人の文化のルールを
知らないうちに踏みにじらないように心掛けたいものだと感じています。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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