2018年09月03日

「Can you celebrate?」

近頃、テレビをつけているとCMで流れてきたり
コンビニの店頭に広告が置かれていたり、
SNSで買った人の報告を読んだりして、
安室奈美恵のDVDについてを目にすることが多い印象です。

特にCMだと楽曲も一緒に流れますから、余計に印象が強いんでしょう。

なかにはCDが一番売れていた時代の曲も含まれていて
懐かしい気持ちも出てきます。


そんな中の一曲、大ヒットした歌ですが
「Can you celebrate?」という曲の歌詞がずっと気になっています。

どういう内容の歌なのか、どういう設定の歌なのかが分からないんです。

ここに歌詞を全部載せることはしませんが、
(とりあえずリンクだけ貼っておきます https://www.uta-net.com/song/9574/
改めて読み直してみても解釈が難しいと感じます。

いくらポップスの歌詞が、誰でも感情移入しやすいように
様々な解釈の可能性が出る形で書かれているとしても、
その中でも特に、僕には話が見えないんです。

その理由は英語が混ざっているから。

英語部分を完全に無視して、日本語の部分だけを読んでいったら
曲調もプロモーション動画も、後半に入るコーラスの感じとかも含めて
なんとなく「結婚式」っぽい雰囲気なんでしょう。

実際、結婚式でよく使われる曲らしいですし。

その観点でいうと、新婦から新郎に向けたメッセージにも読めそうです。


が、英語を踏まえると、内容が一変します。

「Can you celebrate?」っていう疑問文が
文脈なしでは解釈しにくいんです。


そもそも「celebrate」の意味ですが、オンライン辞書「英辞郎」によると
 【自動】
 1. 式典を挙行する
 2. 祝杯を挙げる、浮かれ騒ぐ
 【他動】
 1. 〔誕生日・特別な出来事などを〕祝う、祝賀する、記念する
 2. 〔祭典・結婚式・パーティーなどを〕挙行する、執り行う
 3. 称賛する、褒めたたえる
となっています。

念のため「Cambridge Dictionary」を見ると
 1. [ I or T ] to take part in special enjoyable activities
  in order to show that a particular occasion is important:
 2. [ T ] to express admiration and approval for something or someone: 《formal》
 3. [ T ] to lead a religious ceremony:
とあります。

念のため、[ I ] は自動詞、[ T ]は他動詞です。

日本語と英語を見比べると、主な意味は
「(祝杯を)挙げる、(祝典を)行う、〜をパーティで祝う」
といったところでしょう。

いずれにしても、「お祝いのイベントをする」意味合いだといえます。

念のため、英語のほうの二番目の意味として
「何かや誰かに対して敬意や承認を表現する」とありますが、
例文を色々と見ていくと、基本的には
 ・誰かの性格や行動を称賛する
 ・誰かの業績や、「〇周年」などの記念を称える
 ・人間を超えた大いなる何かに敬意を示す
といったことのようです。

しかもフォーマルな場面での英語だとありますから
書き言葉が中心で、会話で問いかけるようなものではないでしょう。

英語のほうの3番目は「宗教的な儀式を執り行う」となって、
日本語のほうの自動詞の一番目「式典を挙行する」に少し近そうです。
(※その式典が宗教色を帯びていれば、ですが)


それを踏まえて「Can you celebrate?」を考えると
文章の形式としては目的語がないですから
自動詞として使われているのが分かります。

自動詞の場合の選択肢は
 1. 式典を挙行する
 2. 祝杯を挙げる、浮かれ騒ぐ
のいずれか。

1.のほうは、式典のリーダーのような立ち位置、
2.のほうは、パーティの参加者の一人の立ち位置でしょうか。

随分と差があります。

また、日常会話では他動詞の目的語を省略してしまうことも
ないとは言い切れません。

文脈的に「何を」という目的語がハッキリわかる場合、
他動詞でありながら目的語を言わずに
「Can you celebrate (it)?」と発話するのも可能なようです。

ただしこれは日常会話限定なので、フォーマルな意味合いの
「何かや誰かに対して敬意や承認を表現する」はあり得ません。

すると他動詞として解釈可能な意味は
 1. 〔誕生日・特別な出来事などを〕祝う、祝賀する、記念する
 2. 〔祭典・結婚式・パーティーなどを〕挙行する、執り行う
です。

1つ目のほうは英語辞書の
「to take part in special enjoyable activities
 in order to show that a particular occasion is important:」
にあたります。
「ある機会が重要だということを示すために特別な楽しい活動に参加する」
が直訳ですから。

例えば、
「仕事が上手くいったから、お祝いのパーティをしよう」
「念願の優勝だ、祝賀会をしよう」
「ついにアイツが夢をかなえたからパーッと祝ってやろう」
みたいな感じでしょう。

何か特別なイベントを開催して、そこに参加して
楽しい雰囲気の中で浮かれた気分で「イエーイ!」ってやる、と。

2つ目のほうは、英語だと
「to lead a religious ceremony:」
にあたるはずです。

やはり自動詞で捉えた場合と同じように
一方は、式典のリーダーのような立ち位置、
もう一方は、パーティの参加者の一人の立ち位置になります。


以上を踏まえて、「Can you celebrate?」を考えると…。

まず、英語としてあり得ない解釈は、
「Can you celebrate (me)?」のように
「me」か「us」が省略されていて
「私のことを祝ってくれる?」といった意味になることです。

日本語で「祝う」というと、七五三のお祝いとか出産祝いなどのように
静かに「おめでとう」の気持ちを示すニュアンスを感じそうです。

もし「celebrate」を「祝う」という文字情報だけで理解していたら
日本文化的な「おめでとう」の気持ちの表し方を想像しそうですが、
それは「celebrate」ではないんです。

むしろ「congratulate」か「bless」のほうが近い。

辞書としては「congratulate」は「祝う」、
「bless」は「祝福する」となります。

どちらも目的語に人物を取れますから、形として
「I congratulate you」や「I bless you」が可能です。

congratulate の「祝う」は、日本語の一般的な「祝う」のニュアンスに近く
「結婚祝い」「出産祝い」「合格祝い」など、個人的な気持ちとして
「良かったね。おめでとう。」といった表現です。

「あなたに対して、”おめでとう”という気持ちです」だと。

bless の「祝福する」は、「おめでとう」の気持ちに加えて
その相手の幸せを願う気持ちが加わるニュアンスです。
日本語でも「祝福する」にはそんな意味が入るかもしれません。

英語で調べると、
「〜のために、神や神聖な存在へ助け・保護を頼む」
と出てきます。

つまり、bless の「祝福」は
「神のご加護がありますように」
といった気持ちの表現になっている、と。

ですから内面的には、相手の幸せや健康への祈りが含まれるわけです。

そして、celebrate に話を戻すと、これは
congratulate や bless のような祝い、祝福の話ではないということです。

もっと明るく楽しく、騒ぎながら、祝賀パーティをやる感じです。

あるいは宗教色のある式典を司るか。


ということは「Can you celebrate?」という歌の場合…。

一応、曲調やコーラスの感じ、プロモーションビデオの映像から
結婚にまつわるストーリーだと仮定しましょう。

「Can you celebrate?」は文脈からして結婚祝いの話となって
「結婚パーティーで大騒ぎしてくれる?」
といった質問になります。

「〜してくれる?」という語尾にしたのは
「Can you〜?」の疑問文が親しい関係での言い回しだから。
敬語のニュアンスが含まれません。

また「Will you〜?」だと「そのつもりがあるか?」という
「やりたいかどうか」の意志を尋ねる質問になりますが、
「Can you〜?」はもうちょっと気軽というか
「大変じゃなければ」「無理じゃなければ」のような
気配りを感じさせる表現です。

意欲ではなく、「不可能でないか」を尋ねているわけです。

そういう意味での
「結婚パーティーで大騒ぎしてくれる?」
ですから
大騒ぎするのが無理じゃないかを気にして尋ねている感じでしょう。

もしくは、もう一方の意味「celebrate = 式典を執り行う」だとしたら
結婚式の話ですから、「教会での式を神父として進める」話かもしれない。

神父・牧師に向かって
「教会で結婚式を挙げさせてくれない?」
と尋ねている。


いずれにしても気軽に「〜くれない?」と聞ける関係性です。

親しい間柄でしょう。

友人に対して尋ねていると想像できます。
神父のケースだとしても、神父をやっている友達がいるんでしょうね。

ですがどちらの場合だとしても、
新婦が新郎に対して尋ねる内容ではないと思われます。

そこにあの神妙な雰囲気が加わります。
気軽な言葉で話せるプライベートな関係だけれど
非言語的には特別感があるような曲調です。

親しい間柄なんだけど、かしこまって、
相手にとって特別な意味を持つ結婚について
少し聞きにくい質問を投げかけているように聞こえます。

そこで想像力を働かせると…。

新婦が元カレに質問しているんじゃないか、と思えてきます。

それもかなり絆の深い間柄。
政略結婚とか、何らかの事情で、新婦となる女性は
別の男性と結婚することを決めた。

その結婚式が直前に迫っているような場面かもしれません。

もしかしたら
 婚約までしていたのに直前で破棄になった…、でも
 まだ気持ちは続いている
とか、
 腐れ縁のようにずっと続いていてきた深い関係で
 結婚が決まった今でも、まだお互いに気持ちが残っている
とか。

そんな深い間柄の相手男性に対して、
「Can you celebrate?」って質問しているんじゃないでしょうか。

その男性が、たまたま神父か牧師をしていて、
新婦としては別に全く無関係の教会で式を挙げても構わないけれど
やっぱり特別な想いがあるから、この男性に執り行ってもらいたい。

抵抗はあるかもしれないし、素直にやれないかもしれない…でも
「教会で結婚式を挙げさせてくれない?」と。

無理じゃないか、嫌じゃないかを尋ねている
そういう「Can you celebrate?」の可能性が考えられます。

あるいは、別に神父や牧師ではないけれど、
その深い間柄の男性に、結婚式の二次会に来てもらいたい。

さすがに建て前上、教会や披露宴に呼ぶわけにはいかないけれど
二次会だったら来ていても不自然じゃないし、
誰も関係性についてなんか詮索しないだろうし。

素直に喜べないかもしれない。
それでも特別なことだから来てもらいたい。
はしゃいだり、騒いだりする気分じゃないかもしれない。
そんな余裕はないかもしれない。

それでも
「結婚パーティーで大騒ぎしてくれる?」
っていう
「Can you celebrate?」
なんじゃないでしょうか。


英語を踏まえると、解釈が複雑になってきます。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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