2018年12月20日

伝える技術の重要性

12月23日の講座は、コミュニケーションのトレーニングにおいて
これまで見過ごされてきた部分を扱うことになります。

日本文化は、受け取り手の「汲み取る能力」を評価することが多く
「伝わらない」「分からない」ことがあった場合には、
受け取る側の理解力や「空気を読む」力が足りないと見なされがちです。

学校でもスポーツの世界でも、できないことを叱られたり
ミスをしたことで怒られたりするのを頻繁に耳にします。

学校で成績が悪かったら、生徒の勉強不足が問題だと非難されるんです。
分かるように教えられない先生の問題ではなく。

アメリカの大学だと教授に対しての評価をアンケートにとって
教え方や態度について生徒側から判断されるシステムがあります。

分かるように教えられない先生が問題として学校に扱われるわけです。

西洋文化では「伝える」側の責任が大きいんです。


その一方で、受け取る側が理解できなかったときには
遠慮なく分かるまで質問して聞き返す、という文化もあるようです。

分からないのは説明不足だ、という発想がある。
分かるように伝えられなかったら、分かるまで説明する責任があるため
質問に答えながら説明を工夫する、と。

そこには前提として
「相手の考えは分からない」
「言わなきゃ分からない」
「聞くことで分かり合いたい」
といった考えがあります。

個人をそれぞれ異なった存在として捉えていて
違いがあることを前提としているわけです。

そして違うからこそ、違いを埋めるために
丁寧に情報を言葉にして伝えることを重んじる。
そういう文化です。

逆に日本は、皆がある程度、共通したものを持っている前提です。
「ハイコンテクスト」なんて言われ方もしますが。

言わなくても共有されていることが多い。
輪の中で、いかに調和して、いかに全体に溶け込むか。
輪から弾き出されることが致命的だった背景があるのかもしれません。

全体に合わせるために、周りをよく見て
暗黙のルールに従って調和を崩さないようにする。
そこに「空気を読む」能力が如実に表れます。

全員が共通した土台を持って、常に異変を察知できるようにしておく。
そして言葉で伝えていなくても、配慮して対応しようとする。

一人だけトラブルがあったとき、それを声高に説明するのは
全体から外れてしまうことにもなりかねません。
迷惑をかけないように、と我慢する傾向とも繋がりそうです。

だからこそ、気持ちを汲み取り、配慮してサポートしてくれるのが
優しさとして捉えられやすいのでしょう。

西洋文化だったら自ら主張して、それを理解してもらう。
困ったときにカウンセリングに行くのが文化として定着しているのも
「説明して分かってもらう」という背景が関係するかもしれません。


ですから日本では
「相手に分かりやすく説明する」という技術が
あまりトレーニングされないようです。

むしろ国語のテスト問題なんて、
いかに著者の考えを汲み取るかのほうに重点が置かれます。

世間一般の人と同じような汲み取り方ができるように
行間を読む練習を、高校入試でもやっているといえます。

相手の考えを汲み取って対応できるのが重要だ、と。

当然、社会に出ても、OJTと称して、結局は
周りを見て、空気を読んで、求められていることをやる
という職場への適応の能力が必要になります。

これをやると怒られる。
これをやったらダメらしい。
こうするとスムーズに行く。

…そんなことを汲み取り続けて、
自分のやり方を見つけていくんです。

ですから優秀な社員というのは、
「言わなくてもやってくれる」人になりがちで、
自分で工夫して勝手に成長していく人が評価される。
そんな傾向が見受けられます。

伝える技術をトレーニングしていないから
育てる部分が上手くいきにくいのではないでしょうか。

その意味で、コーチングの技術は部下育成の観点から
組織内のコミュニケーションに取り入れられやすかったようです。

が、同時に聞こえてくる意見として
「コーチングの前にティーチングが必要な段階がある」
というものもあります。

何も知らなかったら、自分で判断することさえ困難です。

不可能ではありませんが、トライアル・アンド・エラーに
ものすごく長い時間を必要とします。

効率的に土台を身につけるなら、ティーチングのほうが望ましい。

では、ティーチングの技術があるのか?

ここにポイントがあるわけです。

小学校のときから教える側の責任が問われていなかった社会です。
教わる側が自ら理解する責任が求められていました。

教える、指導する、というのを
効果的にやっている人と出会う確率が物凄く低いんです。

なのでティーチングをしようとしたときにも、やはり
教え方の技術よりも、相手の理解力のほうに責任が向きやすい。
「物分かりの悪い奴だ」と。

ほとんどの人が「教える」という
伝える側のコミュニケーションを工夫してきていないからこそ
そこに技術として大きく改善できる余地があるわけです。

未開の地です。
フロンティアです。

やりがいのある部分だと思います。

そういう意味でも、有意義なターニングポイントになりそうです。

cozyharada at 23:23│clip!コミュニケーション | NLP
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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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