2018年12月27日

フェルメール見てきました

先日、フェルメール展を見に行ってきました。

すごい混雑ぶり。
ピークを外した平日の午後のつもりでしたが甘かったです。

入場時間帯が分けられていても
各時間帯の初めは行列になるとのことで、
少しズラしたタイミングで入場したんですが…。

作品の点数も決して多くなく、
開催の美術館そのものも上野の中では小さいもの。

その割には、一般的な相場を大きく超える価格設定で
フェルメールを8点も集めたら、それだけで
相当な金額を所蔵元の美術館に支払っているのがうかがえます。

通常は数百円支払うことになっている音声ガイドも
無料で全員に配布していて(音声ガイド込みの入場料ともいえますが)、
しかもその音声に石原さとみを起用しているあたりも
なんとかして入場者を集め、元を取ろうという様子が感じられました。


僕は美術館では音声ガイドは使いません。
絵を見に行っているのであって、
絵画の歴史を知りに行っているわけではありませんから。

NLPの観点で、強調されたサブモダリティを見つけ
画家の視点と視線の方向、焦点距離と視野の広さを捉えて、
それで画家が見ていたのと同じ見方を模倣します。

すると絵の中に描こうとしていたものが感じ取れてきます。

一般にはフェルメールの光の描き方が解説されたりしますけれど、
そういう見方をするとフェルメールの絵には
本来は制止した紙の上の絵には表れないはずの
『時空』を描こうとしていた雰囲気が感じられます。

そういう見方をするためには、絵を見る角度と距離が大事になります。
混雑した美術館では、なかなか厳しいものです。


おそらく今回のフェルメール展は、
かなり特殊な展示の仕方になっているのでしょう。

通常よりも作品数が全体的に少なく、
それでも物足りなく見せないためには
美術館のスペースは狭いほうが良い、と。

それでいて経費の元を取るには入場者数は稼がないといけません。
身動きが取れない状況は避けながらも数を入れる。
それには回転は速い方がいいはずです。

日本人は勉強好きが多いのか、美術館で見かける大部分の人は
絵を見るよりも、文字情報に関心が向くようです。

なので音声ガイドで解説を聞きますし、
絵の横に貼られた作品解説を読みます。

この時間が結構かかるんです。
大体、絵の横に貼られた解説の字は小さいですから。

回転をよくするためには、その字を全員に読まれては困る。
だからでしょう。
このフェルメール展には、絵の横に解説が貼られていません。

代わりに展示作品全ての解説が書かれたパンフレットが
無料で全員に配られていました。

とはいえ、決して詳しい解説ではなく
通常は絵の横に貼られている程度の簡易なもの。

絵の横に文字情報を置いてしまうと、
一人ひとりが読むための時間で全体の回転が落ちる。
それを防ぐための工夫だろうと思われます。

音声ガイドは聞いていないので内容は定かではありませんが
ほとんどの人はガイドの解説が終わった瞬間に
次の絵に移動すると想像できます。

全員に音声ガイドを配るのも、全員の動きを均一化して
一定のペースで大勢が回転するのを狙ったものではないでしょうか。


ですが僕は、フェルメールの絵を見に行ったので
そういう全体の流れとは無縁です。

美術館に入るなり、入り口付近の解説文章に
それを読むための人だかりができていましたが、
当然それは無視して通り過ぎます。

しかし一点目、二点目あたりの作品近くから、もう大渋滞。

絵が見えるとか見えないとかのレベルではありませんでした。
通勤ラッシュかと思うほど。

その人ごみから滲み出てくるイライラと不満…、
にもかかわらず、たとえ絵が見えくても音声ガイドは聞く人たち。

その集団に巻き込まれると身体にストレスが起きてくるので
とにかく人ごみを避けるために、奥へと進んでいきました。

最悪の想定として、もう全てが混雑しているのだとしたら
何も見ないで帰ってくるぐらいのつもりで。
それぐらいの混雑ぶりだったんです。

そして出口近くまで一気に進むと、人の数が激減しました。

不思議なことに、そのゾーンにフェルメールが集まっていたのに。

つまり、美術館のルートの最後のあたりに
目玉のフェルメールが集結している構成だったんです。

ですが大部分の人は、入り口付近の絵のところに長く滞在して
丁寧に音声ガイドを全部聞いて渋滞を作り出し、
目玉ではないフェルメール以外の作品近くでラッシュを体験する。

そして先に進むにつれて、人ごみと立ちっぱなしと
見えもしない絵に対する不満と、解説に対しての飽きが出てくるのか…、
徐々に移動スピードを上げていったようです。

絵もチラッと見るだけ。
音声ガイドも全部は聞かずに先へ進む。
だんだんと疲れてきて長く居座るのも嫌になってくる。

そうして最後の目玉、フェルメールの作品が集まった区画に着くころには
もう絵を見る気力も、解説を聞く意欲も失われ始めている、と。

おまけに今回、一番有名だろうと思われる
『牛乳を注ぐ女』のすぐ先には、出口の案内表示と
出口に繋がる光が見えているんです。

薄暗く、狭く、人がひしめき合ったところを通ってきて、
ようやく有名な作品が出口近くにあって、
出口の先には明るい外の世界が予感される状態になっています。

それは早く出たくもなるでしょう。
最後の絵はサラッと見て、もう美術館を出てしまいたい。
解放されたい。
そんな心境の人が多かったのではないでしょうか。

ですからフェルメールの作品が集まった最後の部屋は
意外と人が少なく、流れも良く、強制的に一列に並ばされるムードもなく
割りと普通の美術館と同程度には絵を見ることができました。

なんとも皮肉な話です。

大行列の入場者は「有名なフェルメールだから」と来場したはずなのに
入り口近くの絵でもない文字情報の理解に力を注ぎ、
前半のフェルメールではない絵のところに時間をかけ、
ようやくお目当てのフェルメールに着くころには
絵を見る気力なんてなくなってサッサと出て行ってしまう。

まぁ、そのおかげで、僕はフェルメールの絵のところに直行して
比較的人が少ないゾーンだけに滞在しながら
ちゃんとフェルメールの視点にペーシングしつつ絵を堪能できました。

フェルメール以外は何一つ見てもいませんが、それもいいでしょう。


それにしても本当にすごい人数でした。

美術館は海外が良いなあと痛感します。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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