2019年08月01日

放っておけない人

誰かに対して、何かをしてあげずにはいられない
 とか
誰かのことを放っておけない
 とか、
そういうときには、非常に高確率で
『その人本人が過去に負った心の傷』が関係しているようです。

特に多いのは「別れに伴う後悔や罪悪感」など。

「もっとこうしていれば…」
「何もしてあげられなかった」
「こんなことなら、あのときに〇〇していたのに…」
といった気持ちをもったまま別れを迎えると、
突然の別れに伴う『ショック』と
大切な存在が戻ってこない『寂しさ』とが重なって
強い感情を抱えることになります。

この強い感情が記憶の定着を促す。
結果的に、そのときに浮かんだ後悔や罪悪感にまつわる思考が
パターン化された経験則として保存されることになります。

これを『ビリーフ』と呼んでも構いません。
とにかく「何もしないと、いずれ後悔する」という経験則が
ワンパターンの凝り固まった考え方として残ってしまうわけです。


そしてその後、同様な形で別れに繋がりそうな場面に出くわすと
過去の記憶が自動的に蘇ります。

多くの場合は、本人にとって記憶の内容までは無自覚ですが、
心の中には複雑に混ざり合った気持ちが起きてくるわけです。

混ざるものとしては…
・そのときに体験したショックと寂しさの感情
・自分の過去の行動に対する後悔や罪悪感の感情
・後悔や罪悪感に基づく「二度とこんなことは繰り返さない」という思考
・「また同じような別れになるかも」という思考と、それゆえの恐れの感情
・後悔を繰り返さないため、恐れている結果を防ぐための行動
・その行動を力づくで成し遂げようとするときに生まれる怒りの感情
あたりでしょう。

こうした複雑な状態が一気に引き出される。
自分でも良くわからない、取り乱した感じになるといえます。

ですから、その状態で浮かんでくる考えとか
相手を説得しようとして言う内容などは
思い付きのものに近く、深く吟味されたものではないほうが自然です。
というよりも、注意深く考えることができない状態になるんです。


もちろん、前提には、目の前の相手に対しての特別な想いがあります。
どうでもいい他人ではない、大事な存在として認識するからこそ
「この人まで失いたくない」という気持ちが生まれるのでしょう。

なので、本人の自覚としては「心配」という表現になりがちです。

しかし実態として内面で体験されている内容は、
目の前の相手に対して生まれた気持ちや感情ではなく、
むしろ過去の別れの体験の際に残った心の痛みのほうなんです。

目の前の相手との別れを想像させる出来事があったときに、
似たような過去の別れの体験にまつわる記憶が蘇ってきて
過去に味わった複雑な心の痛みが、今そこで再体験されてしまう、と。

つまり実際には、目の前の相手に対しての気持ちよりも
過去の心の傷にまつわる気持ちのほうが強く出てしまっているわけです。

言い換えると、
 目の前に相手がいるのに、その相手に対する気持ちではなく
 過去に別れを経験した相手のほうに意識の大部分が引っ張られている
ということです。

皮肉な話です。
本人は目の前の相手を思っているつもりでしょうけれど、
実際に起こっている心の動きは、過去の別れに対しての思いなんですから。

目の前の人は、本人が過去に体験した別れに伴う心の傷を
思い出すためのキッカケになっている、といえます。

そうなると意識の大部分は過去のほうを向いてしまって、
大切なはずの目の前の人から目を背けてしまうことにもなりかねません。


ポイントは「二度と同じことを繰り返さないように」という発想から
「同じような結末を防ごうとする」行動を取りたくなるところ。

ここで「別れ」という出来事そのものを防ごうと躍起になりがちです。

しかし現実的には、どうにもコントロールできないことがあります。
自分の外で起こる出来事は、自分のコントロールの範囲外です。

にもかかわらず、なんとかコントロールしようとする。

一方で、「二度と同じことを繰り返さない」ようにするのは
シンプルに言えば、「後悔しない」ようにするという話です。

後悔は「あのときに、こうしていれば」といった形の発想ですから
「自分が最善を尽くした」と思えるようにするのが原則でしょう。

出来事のレベルで結果を変えようとするのではなく、
自分の行動として「後悔の無いように、できる限りの関りをする」。
これなら自分にコントロールできる範囲です。

結果に関しては、いずれ受け入れざるを得なくなるものなんです。
「自分にコントロールできないことだった、仕方なかった」と思えてくる。
現実の不条理さは、時間が経てば受け入れやすいんです。

しかし、自分にコントロールできたはずのこと、
つまり「もっとこうしておけばよかった」というレベルの
自分の行動に関しては、「仕方なかった」とは思いにくい傾向があります。

自分にコントロールできたはずだからこそ、
そこに後悔が残りやすいんです。

だからこそ、自分には受け入れ難い結果を変えようとして躍起になるよりも、
自分にコントロールできる範囲の自分の行動として
悔いのない精一杯の関わりをしておくことのほうが、
のちのちに大きな意義を持ってくるわけです。


我が家で飼っていた犬は、二回とも骨肉腫にかかりました。
晩年は、それで体調を崩していたものです。

直接の死因は別の呼び名だったと思いますが、
寿命を短くしたのは骨肉腫だったと言ってもいいと思います。

間接のところに腫瘍ができて、大きく膨れてくるんです。
その重さで歩きにくそうにも見えました。

当然、心配になります。
動物病院に連れて行きます。

「腫瘍ができていますね。
 悪性か良性かは、生検をしないと分かりません。
 念のため調べてみますか?」
という話になって、腫瘍を一部切り取って検査をしました。

悪性でした。

じゃあ、手術をするか?

そのときの犬の年齢を考えると、手術に耐える体力があるかも疑問。
手術代も高額です。
手術が上手くいっても、老い先は決して長くはない時期でした。
手術をしなくても、それなりには生きるだろうという見立ても。

結局、我が家では手術はしないほうを選びました。

しかし、腫瘍を切り取った傷口がなかなか塞がらず
傷口はいつも血でにじんでいる状態が続きました。

そして9歳で命を終えました。

果たして、手術をするべきだったのか?
手術をしてれば、もっと長く生きられたかもしれない。

どうせ手術をしないなら、検査もしないほうが良かったんじゃないか?
それだったら血だらけで痛い思いをせずに晩年を過ごせたのでは?

そんな考えにはキリがありません。
結果をコントロールしようとすれば、別の選択肢を知っているからこそ
「あっちを選んでいれば、もっと良かったかもしれない」
という発想を持ってしまいがちです。

そして後悔する。

仮に手術をしていたとしても、上手くいったかは分からないのに。
手術をしたほうが寿命を縮めてしまった可能性もあります。

もしそうだったら
「手術なんてしないで、そのまま生かせてあげればよかった」
という後悔をしていたはずです。

手術が上手くいったケースでさえ、
「やっぱり手術なんかせずに、自然にしてあげたほうがよかった。
 あんなに苦しい思いをさせてまで、1,2年長生きしても意味がない。」
なんて形の後悔をしていた可能性だってあるんです。

結局、何を選んだって、後悔するんです。
「別の選択肢を選んでいたら、もっと良かったかもしれない」
という発想を持ってしまう限り。

出来事としての結果、つまり自分の身体の外に起きることを
コントロールしようとして何かをしたとしても、
それはコントロールの範囲外だからこそ
常に「もっと良かったかもしれない」可能性が浮かんでしまうんです。

考えても仕方ないことなんです。

それよりは、
「犬と一緒にいた限られた時間、
 自分が犬のためにしてあげたいことを全部やったか?」

そういう話です。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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