2010年06月

2010年06月08日

英語の音

最近買った英語の本。

最短・最速で英語耳!8000ヘルツ英語聴覚セラピー(CD付)
最短・最速で英語耳!8000ヘルツ英語聴覚セラピー(CD付)
クチコミを見る

著者は高周波の音を聞かせることでストレスケアをしているという医師。
特にモーツァルトを応用しているという話です。

モーツァルトの楽曲には倍音成分の調和が美しくなされていると言われますから、
その倍音からなる高音域部を意識的に聞くようにすると
音楽としても魅力が高まりそうな気はします。

そして何よりも、ここで言われる聴覚セラピーの中心は
日本語のパスバンドにあります。

日本語のパスバンドは1500Hz以下なので、
日本人が日本語を聞き取れるように聴覚を調節していると
低周波の音をメインで意識しやすくなるわけです。

なので騒音なども低周波領域のものを強く受け取ってしまう、と。
だから高周波に耳を調整してストレスケアをしましょうというがコンセプトのようです。

そのことの効果のほどは僕には分かりません。
実際、日本人の中にも電気機器が出している高周波の音を拾ってしまって
それが気になっている人もいるようですから。

ただ、少なくとも本人が意識を向けやすい音域はあるはずで、
その音域を聞き取りやすいように耳が調整されていることは考えられます。

一方、英語のパスバンドは2000Hz以上。
言語として発音を聞き分けるためには高周波成分を聞く必要があるということです。

日本人が日本語を使うときに利用していない音域を使って
言語コミュニケーションがなされるのですから、
当然、日本人には聞き取りが難しいことになります。

この本には、収録した英会話の音源を加工して
2000〜8000Hzぐらいまでを強調したものがCDとして添付されています。

それを聞いていると耳が自然と高音域に慣れてくるというコンセプト。

まぁ、実際に聞いてみると高音域が強調されるということは
摩擦音が強調されることに近いので、キーキー、シーシーと
相当なノイズが入った印象に聞こえます。

聴覚セラピーと言いながら、聞いていても全く心地良さはありません。
むしろ不快感ばかり。

逆にいえば、日本人が不快に感じるほど意識していない部分ということでしょうか。

面白いのは、母音でも高周波数で強調される音があるということ。
発声の際の口の中の形などで生み出される倍音成分があるのでしょう。

そこまで考えると、高周波数の音域へ聴覚の感度を高めていくこと自体は
なかなか役立つ作業ではないかと思います。


また、パスバンドが高いことは、声の高さとは無関係です。
どちらかというと、欧米人のほうが日本人よりも声が低いことが多いでしょう。
それは身長の差や、発声法の差によるものです。

英語のパスバンドが日本語よりも遥かに高いからといって
欧米の歌が日本の歌よりも高いわけではありません。

洋楽だって日本人に歌えますし、カーペンターズなどは
女性の割にキーが低い部類のはずです。

発声としての声の高さと、言語のパスバンドは違うんでしょう。
言語として認識するのに必要な音の要素が
日本語よりも英語のほうが、高音域に集まっているということ。

日本語は「子音+母音」で1つの音の単位を作っていますから
母音として発生される有声音が沢山含まれます。
その上、カ行やサ行、タ行なども、英語ほど強く発音されません。

日本語では「タ」と「ダ」の口の形は一緒ですが、
英語の場合には「t」と「d」は違います。
英語の「t」の音は、日本語のタ行よりも強い印象があります。

日本語で「ティータイム」というのと、英語で「 tea time 」というのでは
音の印象には随分と差があるように感じられるはずです。
極端にいえば「ツィーツァイム」ぐらい。

英語は子音の区別もハッキリしていて、摩擦音や破裂音が多い上に
音の単位が「子音+母音+子音」で作られていますから
子音が連続して出てくることもザラにある。
単語中でアクセントのない母音も、ほとんど発音されませんし。

英語において無声音が作る高周波数帯の音が増えるのも当然のことだと考えられます。

この「子音+母音」とか「子音+母音+子音」という単位は、シラブルと呼ばれます。

日本語と英語ではシラブルの構成も違う。
そこで音を拾う単位が変わってくるわけです。

このことに注目して説明されているのが、こちらの本。

機関銃英語が聴き取れる!-リスニングの鍵はシラブルとビート-
機関銃英語が聴き取れる!-リスニングの鍵はシラブルとビート-
クチコミを見る

この本では、もう1つ大切なことが書かれていて
それが発声の際のノドの使い方です。

日本語の音は口の中の響きを中心に作られますから
口先でボソボソ言っても話すことができます。

一方、英語はノドを開いて、ノドの響きで発声する言語です。
なので、ネイティブスピーカーの声は歌うような響きに近い。

小学生ぐらいでもノドを開いて発声するので
日本人からすると、かなり大人っぽい話し方に聞こえると思います。

で、このノドの使い方で声の響かせる位置を変えるのも英語の特徴だというんです。

日本人に難しい「L」と「R」の区別も、実際にはノドの響きで区別するもので
「L」の発音はノドの上のほうで、「R」の発音はノドの下のほうでする、と。

また、「 do 」と「 due 」の発音は実際の会話中だと非常に似たように聞こえますが
「 due 」のほうがノドの響きが高いように聞こえます。


音の成り立ちに意識を向けて学習するというのは
かなり細かい神経系統の学習ですから、運動のトレーニングに近いと思います。

まぁ、英語を勉強することの目的を何におくかによって
必要なトレーニング内容は変わってくるでしょうから、
単純に「英語の文章が読めれば良い」というのをゴールにするなら
僕が中学校から習ってきた英語の勉強法でも良かった気がします。

それが英語で会話をするという目的になると、
必要なトレーニング内容は、かなり違ったものになると考えられます。

そこには地道で英語とは無関係に思えるものも含まれそうです。

スポーツをやるときに、ランニングや筋トレをするようなイメージでしょうか。
ベースを作るためのトレーニングをしてからのほうが
全体的な技術の上達が早いことはあるものじゃないかと思うんです。

2010年06月05日

落語の時間

落語の面白さや上手さというのは、
見ている側が情景をどれくらい鮮明にイメージできるか
という部分に強く現れるような気がします。

ラポールという観点からすれば、催眠でトランスを共有したときに
同じようなイメージが浮かぶことは多々あるものですから、
客席と密なラポールが生まれたとき、頭の中に浮かぶ情景のイメージもまた
共有されていることもあるように思います。


そこには情景描写としての上手さというのも、もちろんあるでしょう。

登場人物の姿、場面の映像、空間的な配置…。
さまざまな要素が落語家の話し方と身振りによって表現されます。

だからといって、場面の景色を詳細に言葉で説明してしまっては
説明っぽくなって面白さが減ってしまう。

台詞や動作でもって様子が見えてくるようだと心地良いように感じます。

そのためには目線やしぐさ、動作、体の向きなどに統一感が必要なようです。
空間をどうやって描写するかの部分が、全身のメッセージに反映されていると言えます。

「上手い」と評価される落語家は、こうした細かい表現方法も見事なようで、
そこにはCDで聞いたのでは分からないものまで表れているのでしょう。

まるで、テレビカメラが登場人物を一人ずつアップで撮っているかのように
画面の中心が変わりながら、意識の方向が導かれる。

小さな座布団一枚の範囲から描き出される空間の広さの中に
多くの情報が詰まっているのが読み取れます。


独演会でないときには、前座からトリまで数人の落語家が登場します。
場合によっては、随分と腕の差を感じるときもありました。

描写が不明瞭なんです。
落語として語り継がれる話の内容は合っているのでしょうが、
どうにも場面が見えてこない。

酷いときには、その台詞を言っているのが誰なのかが分からなかったり。
声のトーンにバリエーションがないと大勢の演じ分けは難しいのかもしれません。

逆に、明らかに大勢が登場する予定のシーンは、
声のトーンのメリハリをつけられる演者にとっては見せ場にもなり得ます。

何人もの人が代わる代わる出てきて一言だけを発していくシーン。
例えば、長屋の二階で宴会がある、なんていう場面だと
大勢の人が「こんにちは」と言いながら二階へ上がっていくことになります。

ここでの「こんにちは」の声のトーンや、それぞれの姿勢など
そこの違いが色々と表現されていると、まさに畳み掛けるように展開する。

聴衆は一気に引き込まれ、全員の「こんにちは」が終わるころには
全部やり切ったという噺家の息の抜け方と同時に
会場から歓声と拍手が沸き起こったりもします。

難しい芸当だからこそ見所にもなる。
見に来ているほうも、そのことを分かっているから
単なる馬鹿笑いとは違った感嘆の気持ちもまた
楽しみの1つになっているのでしょう。


先日見たところでは、知人から評判も聞いていたのですが
柳家喬太郎が非常に面白かったです。

描写の凄さもさることながら、何よりも観客とのペーシングの見事さを感じました。
合わせるというよりは、どちらかというと巻き込む傾向でしょうか。

自分の視野が遠くの座布団の上の範囲だけに集中していくのが分かります。

リズムに引き込む感じなんでしょう。
客席の誰かに話しかけるというよりも、注意の向き方を感じ取って
話の展開やリズム、間の取り方を変えているような雰囲気に見えました。

なんというか、笑いの起こるタイミングが把握できているような印象。

それは見ていても楽しいし、巻き込まれているのも楽しいんです。
流れに身を任せていられるような心地良さも感じます。

色々なところに呼ばれて行くという話でしたから、
世代や客層にペースを合わせることもしているんだろうと思います。
小学校でやる場合と、老人ホームでやる場合では、違うほうが当然かもしれません。

もっとも、こうした雰囲気を感じ取るという発想そのものが
僕の場合、ペーシングのトレーニングをして、トレーナーとしてセミナーをして…
ということをやってきたから浮かぶようになったものではあります。

熟練した落語家、「上手い」と言われる人たちには
意識的にか無意識的にか、きっとそういう視点が備わっているはずです。

前座で出てきた人には、残念ながらその部分が無かったようです。
描写の技術だけでなく、観客とペースを合わせようとさえしないのが残念でした。

なんだか彼だけが勝手に話している感じなんです。
自分勝手に話しているのを見てもらうだけ。
あるいは、「見られている」という雰囲気の人さえいました。

練習してきたものを発表している様子。

話はスムーズで、笑いも起きるのですが、どうにも物足りない。
ペースが合っていないんです。

マクラの部分でペーシングをしていくことの重要性を感じました。

そこでペースを掴んでもらえるからこそ、
その後の内容のイメージが自然と浮かびやすくなるわけです。
トランスに巻き込んでもらえるんです。

大勢の前で話をするといっても、それはスピーチではなく、
場の雰囲気を感じ取るようなコミュニケーションも求められるようです。

落語は、ある意味では、トランス誘導だとも言えると思います。
実際には見えないはずの情景を描かせて、
その世界の中で気持ちを動かしていくのですから。

トランスにはラポールが不可欠なものです。
いかにペーシングが重要かということでしょう。

見る側もペーシング能力が高いほうが楽しめるはずです。
そこをトレーニングしてきて良かったと思いました。

先日などは、演目中の登場人物が弱って頭をかくシーンで、
同時に僕の頭もかゆくなって、同じタイミングで同じ場所をかいてしまったほど。

ペースを合わせながら見ると、時間の経つのもアッという間です。

映画の2時間は途中で集中が途切れるものの、
落語の3時間は集中が途切れません。

落語家の集中力にペーシングしているからだと考えられます。

そこがライブ特有の面白さじゃないでしょうか。

2010年06月03日

コーヒーの季節

livedoor のブログには「ファイル管理」という項目があって
自分がアップロードした画像ファイルなんかが一覧で見られたりします。

すると、大概の画像が、飲み物のペットボトルになっている。
ときどき書道の画像や変わり種お菓子が写っていたりしますが、ほとんどは飲み物。

いかに僕がブログに飲み物情報を載せているかが思い知らされます。
新製品は買いたくなりますから。

人によってはブログの記事の大半が、その日に食べた物だったりするようですが、
僕の場合は文字の比率が高く、画像は少ない傾向にあります。
その貴重な画像がペットボトル飲料ばかり…。

なので、たまには違った毛色の画像を載せてみることにしました。

喫茶店




















最寄駅の駅前にある老舗の喫茶店に貼られているものです。
外壁の貼り紙。(店の名前の部分はボカしました)
駅に向かう途中で必ずと言っていいほど視野に入ります。

喫茶店の中は古めかしく薄暗い雰囲気で、
「コーヒーショップ」というよりも「喫茶店」というのが正しい感じ。

スターバックスのように禁煙のコーヒーショップが増えてきている中、
そこの店は古くからの喫茶店らしくタバコの煙とセットになっている模様です。
ルノワールよりも、もっと「喫茶店」という雰囲気。

中を覗くと、ビジネスマンがパソコンをやっていたり、
本を読んでいる女性がいたり、商談をしている風の人たちがいたり、
静かに一人コーヒーを飲む老人がいたり。

落ち着いた雰囲気ではあるようです。

僕は脳の血管の関係で、医者から受動喫煙も含めてタバコを全て禁じられているため
タバコの煙が充満した店内には入ろうとしませんが、
何か気持ちを落ち着かせてくれそうな景色には見えます。

そして、この貼り紙です。

これが一年中、貼りっぱなし。
僕が今の住まいに引っ越してきたときから、ずっとそのままの貼り紙。

いつ見ても
「珈琲のおいしいころになりました」
ですから。

コーヒー豆の旬がいつか、なんて考えではないのでしょう。
いつの季節にもコーヒーの楽しみ方は色々ある。

そんなコーヒーの味と香りに気持ちを集中させるような時間そのものが
気持ちを落ち着かせて気分転換させてくれるのかもしれません。

もしかすると、面倒くさいから貼りっぱなしなのかもしれませんが…。

一年中「冷やし中華はじめました」では少し困る気もしますが、
店が前も含めた印象が、この適当なメッセージを受け入れやすくしているようです。

駅前の慌ただしい人の流れの中にあるチョットした異空間。
なかなか味わい深いものだと思います。

2010年06月01日

バオバブの木

先日、飲みました。
ペプシ・バオバブ。

バオバブ


























今までのペプシの変わり種フレーバーのシリーズでは
比較的オーソドックスというか、「こういう味の飲み物、ありそうだね」
と感じさせてくれるような飲みやすい味でした。

エスニックな風味なので、アジアンキッチンなどのアジア多国籍料理店などで
匂いを嗅いだことのある感じではあります。

ただ、「バオバブ」と書いてあっても、決してバオバブの味がするわけではなく
ましてバオバブの味がどんなものかも分からず、
『バオバブの木をイメージして』作ったという不思議な設定だそうで。

バオバブは大木なんだとか。

まぁ、バオバブを思い出すかといえばバオバブも見たことがないですから
そんなことは僕の中ではあり得ないんですが、
東南アジアの雰囲気を想像させるという意味では納得の風味ではありました。

別に「ペプシ・バオバブ」と名付けなくても
ある程度のスタンダードな商品として並べられるぐらいの味のまとまりを感じます。


味もさることながら、個人的には、「バオバブ」という名前の響きと
南国の夕焼けを思わせるパッケージデザインに興味がわきます。

そもそも「バオバブ」の味がするわけではない。
単なるイメージだと言うんですから、同様にして色々な味が作れそうではないか、と。

例えば、「マングローブ」とか「パームやし」とか。

イメージで良いんなら「地中海の砂浜」や「モンゴルの大草原」でも良いでしょう。
「北欧の森林」とか「アンデスの風」とか「アルプスの少女」とか。
「富士山頂の初日の出」や、「田園の実り」、「無人島の流木」だって作れそうです。

イメージをどんな味に置き換えるかはセンスの問題だと思いますが、
僕はこうやって文字に起こしていて映像から匂いや味が浮かんできます。

「無人島の流木」はチョット残念な感じもしますが、
なかなか大人の味じゃないでしょうか。

そもそもカクテルの名前なんて、そんなものなのかもしれません。
そうした発想で清涼飲料水を開発するのも面白そうな気がします。
シリーズ化したりすると、コレクター心理を誘いそうですし。

次あたりは「ペプシ・アマゾン」とかでしょうか。

香料の組み合わせだけで表現する世界。
それもまた人の持つイメージ力を活用したものと言えるでしょうし、
多くの人が共有できるイメージがあるということも興味深いものです。

そんな共通する印象こそが、共感力の1つの源なのかもしれません。

cozyharada at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!全般 | NLP
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード