2007年04月14日

整理されるとき

電車に乗っているとスーツ姿の若者を目にします。どうも馴染んでいない様子を見ると、新入社員か就職活動中の学生なのかもしれません。初々しいですね。僕も自分が新入社員研修を受けていた時のことを思い出します。

そういえば、新入社員研修中が一番、自分が社会人であることを感じていたなぁ・・・。僕は入社後、本配属以来ずっと研究所にいましたから、スーツに身を包み、通勤ラッシュに揉まれながら出勤した経験というのは、最初の研修中が半分以上を占めている気がします。


それはさておき、先日、就職活動真っ最中の知人と会ってきました。NLPのセミナーを通じて知り合った大学生で、来年の就職に向けて色々な会社を回っているそうです。

自分のことを振り返ってみても、学生のときにNLPをやっていたら就職活動は全く違ったものになっていただろうと思います。自分と向き合うことをしてから就職活動をやれるのは素晴らしいことですね。一般的な自己分析では気づけないような深いレベルの価値観まで探ることができるでしょうから。


そういうわけで、彼も自分自身と良く向き合っています。誠実で謙虚な人柄も感じられる素敵な青年です。しっかりと信念を持っていれば、言葉の端々にその信念を反映したメッセージが現れてきますから、彼は面接が得意なようでした。質問されたことに対して正直に答えれば、彼の人柄と深い思い入れが伝わるのでしょうから、面接で評価が高いのは予想通りでした。

それでも彼と会ってきた理由は、やっぱり就職活動の部分だったんです。

彼はプレゼンに不安を持っていたようでした。学生ですからプレゼンに慣れていないというのもあったと思います。それ以上に大きかったのは、整理できていないことに対する不安だったように思うんです。

与えられたある課題に対して自分の考えをまとめる。時間内に。形にもとらわれてしまいやすいわけです。

でも話をしていると随分と明確な考えを持っているように聞こえました。

となると、僕のすることは質問。


彼が一番大切にしている部分から広げていったんです。

まぁ実際には一番最初に、彼が仕事に対して一番大切にしている価値観を聞いていくことからしたわけですが、その価値観が彼にとって人生全般の価値観とも通じている印象を受けたので、そこから具体的な話に展開することができたんですね。

例えば僕は、人が感動する場面を見るのが大好きなんです。だから仕事においても、目の前で人が感動する様子を見られる内容を選んだわけです。で、その人の感動を見るためには何が必要か、ということを考えていけば、具体的に何をするかに辿り着きやすいと思います。


仮に「世界が平和になるためにはどうしたらよいか?」という課題であれば、具体的な「『ありがとう』と言う」とかから考え始めるよりも、「世界が平和であるとはどういう状況か?」というところから考え始めた方が整理しやすいだろうということです。抽象的な考えを具体的に落としていく方が良いわけです。これをNLPではチャンクダウンと呼びます。

一部の本ではチャンクダウンを単純に細かく分割することのように解説していますが、僕はそうではないと思っています。スタートからゴールまでの一本道を分割するのはチャンクダウンではありません。スケジュールを立てただけです。チャンクダウンはゴールからスタートに向けて逆向きに辿っていって、ゴールにたどり着く全てのルートを列挙することだと考えます。樹の枝のように分岐していくはずなんです。


そして彼が考えを整理できたのは、このチャンクダウンだけのおかげではないでしょう。

それは言葉に出したからです。

紙の上で考えるのが好きな人もいます。ですが、紙の上で整理されないときは、言葉として声に出してみるのも有効なんです。なぜなら自分の声を自分で聞くことができるからです。自分の声を通じて話を聞いたとき、また別の考えが浮かんでくることはザラにあります。同時に、自分の声を聞いたとき、自分の意識は自分から少し離れていきます。自分自身を客観的に見られるポジションに立てるんです。自分を遠くから見られたら、整理しやすい気がしませんか?

そして彼は僕との話が終わった後、とてもスッキリとした顔をしていました。僕が取っていたメモを渡した時の彼の笑顔は凄く印象に残っています。つかえが取れたような穏やかでイキイキした表情でした。きっとプレゼンは上手くいくだろうと感じたものです。その表情を見れたので、その日の僕は大満足でした。

今は彼の就職活動の結果を聞くのが楽しみです。



ちなみに。
僕の場合は、パソコンに向かって文章を書いていると、色々な考えが沸いてきます。それは自分で書いた文章を読んでいる、もしくは頭の中で文章を黙読する声を聞いているせいかもしれません。それによって、自分でも良く分からないうちに文章が長くなってしまうんですね。ドンドン続きが出てくる場合があるんです。

だから最初に書こうと思っていた内容と全然違うことを書いてしまったりもします。

ええ、そうです。
今回がそうです。

最初に書こうとした内容と違うことになってしまいました。
最初は短い予定だったんですが・・・。


そんな風に色々な話が自分の中から出てくるのを味わうのも面白いものですね。
次回はきっと、今考えている内容とは違う話になるんでしょう。




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この記事へのコメント

1. Posted by 後輩より   2007年04月15日 12:25
週活中の彼は、
イマ、この時期に、
原田さんたちに会えたことで、
「何のための仕事か」
これを彼の潜在意識が探しに行っている
ような気がしました。


「整理されるとき」、そうですね。
私が2007年のテーマが「発信/伝える」ことなんですが、まさに「整理するため」に
選んだのです。

再確認できました。
ありがとうございました。

更新楽しみにしてます。
2. Posted by 原田幸治   2007年04月17日 14:17
「後輩より」さんは、もしかすると僕の個人的な知り合いの方かなぁ・・・なんて想像しています。
たぶんあの人じゃないかなぁって。

情報発信しようとすると、確かに整理されますね。潜在意識の中に蓄積しているものが意識に降りてくる感じがします。

これからも見に来てください。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
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