2007年04月18日

ハズしてナンボ

コールドリーディング・グランプリに関してだけで、随分と続いてきていますね。もしかすると、もうチョット続くかもしれません。

さて。


セミナー終了後、会場で何人の方かに言われた言葉がありました。

それは「最初はハズしていたけど、後半ノッてきましたね」というものです。

僕の中での自己評価と随分違っていました。

僕にとっては最初のほうが頑張っていたんです。自己評価はずっと高い。なぜなら上手く取り繕っていたからです。


確かに後半はハズしていない印象だったと思います。
でも本当にそうだったんでしょうか?

僕がリーディングをしていた感想からすると、最初もそれほどハズしていないんです。

違いは相手の女性の心境です。「占いのようなことをして、色々とあなたのことについてお話させていただきますよ」と言われても、最初はもちろん抵抗があるわけです。特に前の記事でお伝えしたような、大勢の前で自分のことを暴かれる不安を含めて。

その意味で言うと、内面的な部分は誉め言葉でないと受け入れられにくかったのかもしれません。

僕は最初に「物事をテキパキとこなしますね?」というようなことを言いました。それには「Yes」が帰ってきました。
続いて「せっかちなところがありますね?」と言いました。それには「No」が帰ってきました。
ほとんど同じことじゃないですか?よく言えば「テキパキ」、悪く言えば「せっかち」という感じがします。

同じような意味のことを言っても、ネガティブな言葉は否定されていた気がしました。そうなった理由に意味があるのだと思います。

それは、まだ信頼関係が出来ていなかったということじゃないかと思うんです。

後半は逆に信頼関係が出来てきていたから、ある言葉に対して当たっているように解釈してくれていたのではないか、と。


ということは、です。
後半に向けて徐々に信頼関係を築いていった前半部分こそが重要だったと思うんです。

その中には、いかにして安心してもらえるかという工夫を沢山込めていたつもりです。

相手の方が800人のセミナー参加者に対して意識を向ける必要がないように、こちらが率先して気を遣っておくということです。

例えば、僕は今回、筆跡を使ってリーディングをするという体裁でしたから、最初にある程度の字を書いてもらうことをしたわけです。その時に、相手の女性の字を書くスピードが徐々に上がっていったのに気がつきました。それはきっと、会場に対する気遣いだろう、と思ったんです。自分が字を書いている時間、会場の人は退屈なのではないか?というような。

それを僕は言葉にして伝えました。それは直接的に「気にしなくていいんですよ」と言葉で言ったのとは違いますが、「こちらで気にしているから、あなたは会場のことは気にしなくて大丈夫ですよ」というメッセージのつもりでもあったんです。


また、その相手の方は左手の薬指に指輪をしていました。ご結婚されている方でした。僕は指輪に気付いて、そのことからリーディングを展開させたわけですが、その際にも会場の皆さんに向けて「遠くの方は見えないでしょうが、指輪をしています」というようなことを言いました。

それは「こんな小さな指輪、後ろの人に見えるかしら?」というような相手の方の気遣いを許すためのつもりだったんです。
・・・もちろん、その方がそんなことを考えていたかどうかは分かりません。

ですが、そうやって「会場に気を遣わなくても大丈夫ですよ。安心していいんですよ。」というメッセージを暗に込めていたんです。
もしかすると、そういう気持ちこそが大事なのかもしれません。自分に気持ちを向けてくれる人に対して、人は心を開いていくのでしょうか。


それが功を奏したかどうかは分かりませんが、結果的に後半は随分とスムーズに「Yes」の返事を出してくれました。


と同時に「ハズしていた」と評価する方の多かった前半部分で大事な要素があります。
それは「No」への対応です。

「No」の返事が来たときに、それを上手く取り繕うテクニックを駆使していたわけです。ありがちな具体例に落とし込んだり(コールドリーディングで言うズームイン)、拡大解釈をしたり(ズームアウト)。

コールドリーディングのテクニックとしては、そこを見てもらいたかったです。

筆跡には色々と現れていますから、本当に筆跡を使ってリーディングすれば、もっと「当たってる!」って思わせる自信はありますよ。
でも、コールドリーディング・グランプリっていうことだったので、何かしら競う意味では、ハズしたときの対処法も重要だろうと考えたんです。

上手くゴマかした時ほど、頑張っている時なんですね。


良くやるゴマかし方としては、カバンを持つ方なんかがあります。
「カバンはいつも右側ですよね?」
「いえ、左です」
「あぁ、ごめんなさい。こっちから見て」
というようなヤツです。

これはすぐに使えそうじゃないですか?


ちなみにリーディングをしている時というのは、事前に何かを言おうとして考えておくわけではありませんから、見た目の情報や声のトーンを参考にして、その場で判断することが沢山あります。そこから思いついたことを言ってみるわけです。

実はこれはカウンセリングやコーチング、セラピーの場面でも凄く重要な要素で、もちろん日常のコミュニケーションにおいても大事にすべきことだと思うんです。

それは思い込みを排除するということです。

会話をしていて思ったこと。相手の印象。態度。言い回し。・・・
色々なことが気になると思います。
そうすると何が起きるか?

推測です。

この推測がいけないんです。
推測すること自体は構いません。してしまったものは仕方ありません。

しかし、理解したつもりでも推測は入っています。推測は事実ではありません。推測は思い込みを生みます。思い込みは誤解を生みます。

推測を推測のままにしておくのがいけないんです。

だから確認を取るんです。

コールドリーディングであれば「あなたは〜ですよね?」と。
カウンセリングであれば「あなたの言っていることは〜ということですか?」と。
日常のコミュニケーションで、相手の質問がピンと来なかったら「どうしてそんなことを聞いたの?」と。
確認をとって、推測をやめるんです。

推測をしたら、確認を取る。
これは自分が相手のことを理解しているという思い込みを排除する上で、とても重要なことだと思うんです。


思い込みを排除するために確認を取る。
そのためであれば、いくら推測をハズしたって構わないような気がします。



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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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