2007年04月30日

信じること

やろうと思っても、なかなか出来ない時。
目標が達成出来ない時。

ダイエットとか、
禁煙とか、
お酒を控えるとか、
ギャンブルをやめるとか、
部屋の整理をするとか・・・。

やろうとは思っているのに、どうしても出来ないことってありますよね?


NLPは家族療法のヴァージニア・サティアも源流に持っていますから
システム論的な考え方を大切にしています。

家族は一つのシステム(系)として成り立っていて、
それぞれの要素(個人)の関係は家族という全体性を満たしているということです。

子供が乱暴になることで両親の夫婦仲が良くなっている、
というように家族というシステムを維持するための肯定的意図があるという考え方です。

個人でもそれは同じで、人の何かの行動や考えには必ず肯定的な意図があって
その人というシステムを全体として守っている、と考えるわけです。

これは非常に重要な考え方だと思います。
「全体性を考える」という表現でも良いかもしれません。


ミルトン・エリクソンであれば無意識を徹底的に信用しきっていますから
無意識が引き起こすことが最も重要で、それが素晴らしいことだ、という考えでしょうか。


意識的にはこうしたい、でも、できない。
・・・葛藤です。

この場合には「できない」というよりも、
無意識的に「しない」ことを選択している可能性が高いんです。

「できない」ことの肯定的意図に気づくこと。
そしてそれを大切なこととして受け止めること。
それが葛藤を解消する大事なステップになると考えられます。


そして、その肯定的意図を満たす別な方法を見つけ出すことが
意識的な「したい」という願望を満たす重要な方法だと思うんです。


何かが変化するとき、それは必ず他の何かに影響を与えます。
その影響には良いものも、悪いものもある。

だから、悪い影響を避けるために、無意識的に「しない」選択をしていることを予測しておく。

これを「エコロジーチェック」と言いますが、
NLPの中でコーチングを行う場合には、必ずエコロジーチェックをします。
そして、その目標が達成してよい目標だと確信することを重視しているんです。

さらに目標達成を妨げている可能性も事前に予測しておきます。

この辺は非常にシステム論的な影響が強い部分だと思います。


・・・まぁ、僕自身の個人的な考えを言わせていただければ、
エコロジーチェックをするだけではなくて、もう少し無意識的なアプローチを使って
「しない」ことの肯定的意図を探る過程を入れたほうがパワフルだと思っていますが。



で、コーチングは行動にフォーカスした手法だと言えるでしょうから
目標達成に向けた具体的な行動を重視するように感じられます。

 「したい」けど「できない」というような葛藤があった時にどうするんだろう?

それが僕の疑問でした。
やっちゃっていいのかな?と迷うときもありました。

一般的に普及しているコーチングのセッションでは
「したい」にフォーカスして行動を決定しますから、
「できない」ことの肯定的意図については触れないのが普通でしょう。


人の変容には色々なアプローチが考えられますが、
意識的に最も行いやすいのが行動を変えていくアプローチです。

ですから、コーチングは目標達成に向けて非常にパワフルな手法だと思います。

無意識的にはしたくないことでも
意識的に行動を変えていくことで、できてしまうんです。

例えば、禁煙をしたい、という目標があったとします。
禁煙がなかなかできないとしたら、禁煙しないことには肯定的意図があるわけです。
ここでは分かりやすく、仮に「ストレス発散」としておきましょう。

そしてコーチングで行動を変えて、禁煙ができるようになったとします。

でも無意識は「ストレス発散」を必要としているのです。
それが本人にとって大切なことだと無意識は知っていて、守ってくれているんです。

すると。
「ストレス発散」を満たすための何か別の行動が始まるようになります。
例えば、間食が増える、とか。

これは一般的で、非常によく起こることです。


何かの代替行動が自然に起きてくるんです。
すると次の悩みが起こります。
・・・「間食をやめたいんです」なんて。

病理的に言えば「転移」ということになります。


僕は、この部分をコーチングに対して疑問視していたんです。


ところが、今日、その疑問は氷解しました。
コーチングの勉強に行って、そのコーチの考えを聞いたんです。

それは一言でいうと「信頼」でした。

クライアントの可能性を信頼する。
徹底的に信頼する。

ただ単に、目標は必ず達成する、という風に信じるのではありませんでした。


 一時的な目標を達成したことで、新たな悩みが生まれてきても構わない。
 そうしたら、その次の目標達成をサポートする。
 それで、また別の悩みが出ても構わない。

 きっと、いつか必ず、本当に大切なことに気づいてくれるだろうから。


と、そこまで信じると。


ある意味、ドライかもしれません。

コーチとしては、どうなるかが予測できていながら放っておくわけですから。
次の悩みを抱えることを放っておくわけですから。

 でも、長い人生で見たら、それすらも必ず学びになるだろう。
 そして、きっとその課題は乗り越えていくだろう。
 いつになっても構わない。
 いつか必ずできるから。

そこまでの信頼を持って、その人の人生に対して徹底的に関わっていくのだそうです。


それには相当な覚悟と強さが必要だろうと感じました。

クライアントが苦しむ場面すら、必要なこととして受け止める心の強さが必要でしょう。
大変な覚悟だろうと思いました。

そこまでの責任感と信頼を持って関わってもらえれば、
クライアントはそれだけで安心して目標に向かえるだろうと思いました。


そこまで可能性を信じることができれば
コーチングも絶対に上手くいく手法だろうと確信できたんです。


心から信じられるように努力したいものです。

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード