2007年10月24日

法則

僕は理系でずっとやってきましたし、論理的な考え方や
「科学」ということにたいする理解を深めてきたつもりですが、
そうすると勘違いされやすいんですね。

数字のデータや法則とか分類とかが好きなんじゃないか、と。

むしろ全く逆です。

論理的だとか理屈っぽいとかいうことと科学的なことは別物です。
論理的なのは、むしろ国語力なんです。

確かに数学は論理的です。
それは数学という記述方式、つまり、ある種の言語のようなルールの中で
ルールを守って説明を論証していくから論理的なわけです。

日本語でも論理的な記述の仕方があって、そのルールに従っているから
論理的な話し方だと言われるだけのことなんですね。

それは矛盾を含まないとか、因果関係に飛躍を入れないとか、
そういった実証の正確さに裏づけされているということです。


理屈っぽいということとデータ重視は意味が違います。
まして法則に対しては慎重な対応を取ることになります。

一言でいうと、僕は「物事をあまり信じない」という信念を持っているんです。
世の中のほとんどは仮説だと信じているんです。
変な言い方ですが「世の中のほとんどは信じられない」と信じているんです。

「信じる」というのは根拠を考えることなく
「そういうもんだ」と思うことを意味しますから、
僕がほとんどの事を信じていないというのは、逆に
仮説に対する裏づけを自分の中で一致させているということになります。

だからこそ、巷に蔓延する科学っぽい説明に疑問が沸いてしまうわけです。
論理的じゃないと思ってしまうんですね。


特に法則に関しては、僕には受け入れがたいものを感じる傾向があります。
過度な一般化の雰囲気を感じてしまうんですね。

数字的なデータを含んだ法則は特に違和感を感じます。

僕が「好きそう」って誤解されやすい一番の部分です。

例えば有名な『メラビアンの法則』というのがありますね。
コミュニケーションにおいて
 言葉の内容が7%
 声のトーンが38%
 ボディランゲージが55%
というヤツです。

直感的に違和感を覚えます。

確かに『世界ウルルン滞在記』で言葉の通じない村に芸能人が訪れても
ある程度のコミュニケーションは取れているようです。

でも93%も誤解なく理解できていると言えるでしょうか?

逆に考えたらどうでしょう?
僕は韓流ドラマを日本語吹き替えも字幕も無しで93%理解できるとは思えません。
むしろ50%も内容は分からないと思います。

つまりデータの取り方と意味の解釈の間にギャップが大きすぎるということです。

アルバート・メラビアンは簡単な実験をしてデータを取った。
それをどうやって解釈して意味づけするか。
その部分に論理的な飛躍があるんです。

まぁ、一説によるとメラビアン自身は、言語・視覚・聴覚の情報に矛盾があるとき
どういった影響があるかを調べようとしただけだということですが・・・。

仮にメラビアンの意図した通りの主張が有名になっていたとしても、
本当にコミュニケーションにおける言葉の影響が7%だったとしても、
そのデータ取得がある条件の下で行われている以上
必ず考えなければならないことがあります。

それは背景です。

その実験条件になっている背景です。
状況や前後の脈絡、コンテクストと言ってもいいかもしれません。
背景が変わったときに適用可能なデータなのか。
どこまで拡大して大丈夫なのか。


巷にありふれた法則の多くは、ある実例を元に導き出された経験則です。

経験則なら、それはそれでいいんです。
そこに論理的に飛躍したデータで根拠を出そうとするから違和感があるんです。
「理由は分かんないけど効果ありそうだよ」って言われたら納得するんですけどね。

事例から一般化されて導き出された法則は、例外を示されると破綻してしまいます。

一方、数学の法則はルールの下で証明されたものです。
現代の科学の中にあっては正しいことなんです。

科学自体も仮説ですから、数学的な法則が正しいとは言い切れませんが、
現代の文明社会を矛盾なく支えているという点で説得力が高い仮説だとは思います。

その意味において、純粋に論理的記述だけで導かれた法則と
事例の一般化によって導かれた法則では全く意味が違うんです。

確率論は科学です。
ただし、確率は条件を明確にするという前提があります。
ある背景の中で確率が生まれてくるわけですから、一般化とは違うと思うんです。


僕はむしろ法則が好きじゃありません。

法則や分類を考慮したとき、目の前の事実を見ようとしなくなるからです。
目の前の事実を法則や分類に当てはめようとしてしまうからです。

世の中に同じ物事は2つとしてありません。
必ず何かが違います。

特に人では大事だと思うんです。
目の前の人は必ず全員別人です。

同じ人でも、昨日と今日とでも違うと思います。

違うところに発見があるんです。
違っているから面白いんです。



ちなみに、こんな法則もあるそうです。
名前は知りません。

感情や物事の良し悪しを判断するときに、人が五感をどのくらい使うか、という法則。

 視覚 87%
 聴覚 7%
 触覚 3%
 嗅覚 2%
 味覚 1%

これがどんな実験から取ったデータかは知りませんが、
これを元に料理で重要なのは見た目だ、と主張する人達がいます。

食べ物を食べるとき、味は1%なんですって。
見た目が9割って言われて信じられますか?

視覚と聴覚で94%だったら、テレビで美味しそうな料理を見たら
実際に食べたときと、ほとんど同じってことになっちゃいます。

どうも僕には信じられません。

グロテスクでもスッポン鍋は美味しいです。
目隠しをしてもカレーは分かる自信があります。


何を信じるかは人それぞれですが、
自分の経験も大切にしたと思います。

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この記事へのコメント

1. Posted by 野島 雅   2007年10月25日 12:21
3  私は分析化学を専門とする科学者です。分析化学の魅力は、今まで可視化できなかった対象を可視化(数値化)できたときの喜びです。

 新しい分析技術は、大変切れ味が鋭く、あらゆるものを可視化・数値化できるように期待してしまう。実はそこに落とし穴があるようです。

 或る有名な触媒化学の大御所がこんなことを言っていました。

『触媒はロマンチックである。ひと昔前の技術を使って触媒を見た時は、ほとんど触媒を理解できていたと思っていた。そしてまた、現在のような先端計測技術を用いて触媒機能を理解できたと我々は思っている。それを繰り返す。』

 数値化技術から出てきた数字は既に干からびているのでしょうね。
2. Posted by 原田幸治   2007年10月25日 15:47
野島さん

心に響くメッセージをありがとうございます。

可視化技術というのは本当に重要なものだと感じます。
データは科学を支える柱なのでしょうね。

その見たモノが何を意味するのか。
それによって何が分かったのか。
分かったことと分かっていないことの区別が進展を産むように感じました。

人が目で見ているものも同じかもしれませんね。
見ていることを全て認識しているわけではなく、
まして理解しているわけではない。
むしろ分からないところにこそ面白さがあるような気がします。

科学も人のコミュニケーションも同じような方向性の課題を持っているようですね。
3. Posted by 螢一   2007年10月25日 21:26
韓流ドラマの話は気付かされました。
その発想は今までありませんでした。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
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