2009年01月17日

広告のイメージ

最近、電車の1つの車両の中に、同じ商品の広告が並んでいるのを良く目にします。

以前はもっとバラバラだった気がしますが、力を入れている広告は
1つの車両の中で何ヵ所にも宣伝がされているみたいです。

極端なものだと、電車の外側から内側まで、
全部がその商品の列車になったものも見かけます。

近いところだとSONYのVAIOとか、マクドナルドとかが
多くの広告を載せているようです。

どんな広告が消費者の購買意欲を掻き立てるかは難しいところですが、
最近よく見かけるVAIOのtypePの広告は一目で特長が分かるようになっています。
ポケットに入るサイズのパソコンが、実際にポケットに入っている画像ですから。

ジーンズに押し込まれたパソコンすらもオシャレに見えるような
モデルさんを使った写真が、パソコンに対して実用性以外のアピールを
消費者に訴えかけているように受け取れます。

他の部分の特徴に目をやれば、物凄く差別化できているわけでもなさそうですし、
現実的にポケット入れて持ち運ぶ人もいないでしょうから、
売れるかどうかの決め手の1つはオシャレさということになるように思えます。

その意味で、テレビCMも車内広告も目的は果たしているのかもしれません。


また、マクドナルドのクォーターパウンダーという商品の広告も
かなり目を引くものになっている気がします。

いわゆるマクドナルドの配色とロゴ、そしてハンバーガーの写真で
何の広告か分かりやすくなっていて、何よりも黒地に赤という配色がインパクト大。

ハンバーガーの写真が下から少し見上げるような視点で撮られていることもあって
肉の部分に目線が集まるような写りにもなっています。
しかも、その肉の部分がパンの部分よりもハミ出ている。

「肉」を強調したイメージと、赤と黒のコントラストが強い配色によって、
決して上品な美味しさや高級感とは違う、「強烈さ」や「重厚感」が感じられます。

それは「美味しそうだな」という印象よりもむしろ
「なんだか凄そうだな」という「今までのマクドナルドと違う」印象を与え、
「一度くらい食べてみたい」気持ちにさせる効果はあるのではないでしょうか。

低価格な飲食店においてはボリュームを売りにする部分もあったようで、
同じマクドナルドのメガマックはその路線だったと考えられます。

ただ、メガマックは通常路線の延長に位置づけられていたのに対して、
クォーターパウンダーという商品は個別のホームページが作られたり、
「今までと違う」イメージを強調している要素は強いように思えます。

売り出し方と広告のイメージがマッチしている印象を受けました。

食品の場合であれば、味という重要な要素がありますから
とにかく一度食べてもらってリピーターにするという方針もあるように思います。

食べてみたい気にさせるための手段が様々に講じられているようです。


ちなみに、僕が最近もっとも気になる電車の中の広告は
アサヒの缶コーヒー、「ワンダ モーニングショット」です。

こちらはコーヒーの味や香りを連想させる広告にはなっていません。
(最近の缶コーヒーのCMには、そういうタイプが多いようにも思えますが)

むしろ、印象深いメッセージを発して、記憶に残らせるような意図を感じます。
コンビニや自動販売機で缶を見かけたときに、CMを思い出して
その缶を手に取ってもらうような方法でしょうか。

モーニングショットの場合には「モーニング」という単語と、
朝の通勤と関連付けた広告で、「朝のコーヒー」に適したイメージが
植えつけられるような狙いがあるように考えられます。

「味が好きだから」という理由よりも、
「朝にはモーニングショット」という印象を理由にして
なんとなく商品を買う人を増やそうということだろう、と。

商品を印象やイメージと結びつける。
NLPで言えば、アンカーを作っているということです。

まぁ、僕の場合は、味が気に入らなかったら絶対に2回買うことはありませんから、
イメージを植え付けるタイプの広告は僕のような人間には効果がないわけです。

で、僕が気になるのは電車の中に貼られている数パターンの広告のうち、
「朝、チャックを開けたまま出勤したことのあるビジネスマン 37.2%」
というようなメッセージの書かれたものです。

正確な文章は覚えていませんが、そんな感じの内容。
パッと見たところ、随分と気になる内容です。

他のパターンも抽象的なメッセージですが、
どれも朝の通勤と関連付けることを狙っているものでしょう。

そんな中で僕がこのパターンを取り上げたのは、
小さな文字で書かれているサブメッセージが気になるからです。

「朝、チャックを開けたまま…」という文章の下に小さ目の文字で
「この電車の3人に1人以上」というような内容。
多そうな印象を表現しているように受け取れるんです。

ですが、僕の印象は思ったより少ないということ。
もっといるかと思っていました。

逆に言えば、3人のうち2人の人は、自分のチャックが開いていないかを常に確認して
一度たりとも開けたまま出勤してしまうようなミスはしない人だという意味です。

一度でもチャックを開けたまま出勤してしまったことのある人であれば
もっと沢山いそうな気がするんですが…。

それでも、この広告の最大のメリットは、これを読んだ人が
「今、自分のチャックは開いていないだろうか?」と意識できるところでしょう。

それを気にさせてくれるのは感謝の対象ですらあります。

そして、その部分に意識が向き過ぎてしまう以上、
コーヒーとの関連づけの効果は大幅に下がってしまうはずです。

朝のイメージと缶コーヒーという結びつけよりも、
面白い広告と商品名の結びつけが強まってしまう。

場合によっては広告の内容だけが印象に残ることさえあるでしょう。
「あの面白い広告って何のやつだっけ?」という会話がなされれば、
それは面白い広告であって、役に立つ広告ではないのかもしれません。

僕にとっては、面白い広告が話のネタになるので大歓迎なんですが。

cozyharada at 01:49│Comments(2)TrackBack(0)clip!NLP | 全般

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この記事へのコメント

1. Posted by ダンボみみウサギ   2009年01月20日 00:08
朝コーヒー私も見ました。
チャックを開けたまま出勤する人が、朝コーヒーを飲んだら余計
トイレに行きたくなって、チャックを開けるひとが倍増しそうですね(笑)

だから、トイレを心配してコーヒーを飲まない人の方が倍増しそう(本末転倒?)

広告屋の私としては、あの広告は本来の意味の広告ではないな。と判断しています。

特定の人に向けた、10人中3〜4人のためだけのお知らせ。
あなたの為のダイレクトメール。


電車という前提があるので、テレビなどではできないコピーの使い方ですよね〜。

でも、あのキャッチからコーヒーを連想できないのはかなり問題ありです(笑)

私は、20〜30秒くらい意味が分かりませんでした…。しばらくして、
あっコーヒーなのねって…。。。。

広告屋だから気になるのかな〜って思っていたのですが、
原田さんも気になるのなら、一般の人も気になりますね(きっと)


あの広告で唯一素晴らしいのは
赤色をベースにしたところです。(笑)

時代が黒から赤に変わっているので
広告もそのような色が多くなっています。

と、いう見方も一説にあります。
パソコンも赤のパネルとか多くなってきましたね〜


やっぱりモノの見方で、色々見え方が違いますね〜
楽しいです。

原田さんのモノの見方は色々で、いつも参考にしつつ楽しんでおりますです〜。


2. Posted by 原田幸治   2009年01月21日 23:59
なるほど。
専門家でも意味がなく思えるんですね。

時代が赤色に流れているというのは初耳ですが、
僕にはあの配色がコカコーラに見えます。

逆に言えばコカコーラ社がイメージカラーを定着させたという点で
広告の業績を残してきたということかもしれません。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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