2009年01月21日

おすすめでス

東京駅構内の地下に色々な店があります。
飲食物が中心で、お土産に喜ばれそうなものが沢山。

ケーキ類もあれば、お弁当のようなものもあるみたいです。

先日、東京駅を通るとき、その地下の「GRANSTA」というゾーンで
デザート用のお酢を売っている店を見かけました。

その名も「飲む酢 エキスプレ・ス・東京」

酢ムリエ













様々な原料から作られたお酢が売られています。
フルーツビネガーが多いですが、料理用のお酢と違って
甘さが強く残っているのでデザート用ということみたいです。

気になったので飲んでみました。
5倍ぐらいに薄めたものをテイクアウトで飲めるんです。

これは美味しかったです。

僕が飲んだのは「苺の酢」を「牛乳割り(ラテ)」にしたもの。
フルーツヨーグルトみたいになりますが、それよりもスッキリした感じ。

炭酸割りなどもできるようです。

なんでも果物を発酵させて酢にしているそうなので、
よくあるジュースと比べると甘さも控え目、酸味も強くないので
さっぱりとした美味しさがありました。

ちなみに、牛乳割りにすると、まるで「飲むヨーグルト」のように
少しトロリとした飲み口になりますが、これは酢酸によってpHが下がって
牛乳の中のカゼインを中心にしたタンパク質が変性、凝固したからだろうと思われます。


ワインを置いておくと酸っぱくなってお酢になってしまうことがあるそうですが、
こうしたフルーツビネガーの作り方は、ワインがお酢になるのとは違うはずです。

より自然界で酢ができる状況に近いと思われます。

お酒がお酢に変わるのは、エタノールが酸化して酢酸になるからですが、
お酢を醸造するときの発酵プロセスは全く別物なんです。

お酢は酢酸菌と呼ばれる種類の微生物が糖分を元に生み出します。
糖分を酢酸に変えるときに、菌の活動エネルギーを作り出す仕組みなんです。

その仕組みでエネルギーを生み出すのは決して効率が良くはないんですが、
その分、糖分を酢に変換するスピードが速いんです。以前の記憶によると。

エネルギーを生み出す効率が悪いということは、
あまり生育が良くないということでもあります。
増えるのが遅いんです。

それでは環境中で生き残っていくのが大変です。

酢酸菌は果物などの糖分が沢山ある環境で生きていく微生物ですが、
当分は多くの微生物にとって好まれる食べ物なので、ライバルも多いんです。

その中で、生物は生き残るために様々な戦略を持っています。

例えば、大腸菌は非常に細胞分裂が速いタイプの微生物です。
増えるのが速いんです。(酢酸菌と生育環境は違いますが)
それによって他の微生物よりも勢力を拡大して、他の連中を追いやるわけです。

また、納豆菌は防御力が高いんです。
普通の細菌だったら死んでしまうような高温、乾燥などの過酷な条件でも生き延びます。
納豆作りでは大豆が熱いうちに納豆菌をふりかけますが、それによって
熱に弱い他の菌が殺菌され、納豆菌だけが大豆の周りで生きられる仕組みです。

で、酢酸菌はというと…。
全く違う戦略で生き残りを目指したんでしょう。
お酢を作るわけです。

酢酸を作るとpHが下がります。酸性になるんです。
多くの微生物は酸性では生きられないので、酢酸菌は糖分を速やかに酢に変え、
他の微生物が生きられないように環境を変えてしまう手段を取っているわけです。

大腸菌のように他よりも勢力拡大のスピードを上げて勝負するのではなく、
納豆菌のように防御力によって様々な環境で生き延びられるようにするのでもなく、
自分自身が環境を変えていくことで他をやっつける戦略だと言えそうです。

そして、酢酸菌はお酢を作り過ぎると、その酢の影響で
自分自身も活動が鈍ってきてしまうんです。
やり過ぎ注意、というわけにはいかないんですね。

個性を発揮して生き延びる。
その個性は、自分以外の存在から求められることもある。

微生物も人間も、似たようなところを感じます。


なお、デザート用のお酢は多分、果物の糖分が全て酢に変わる前の段階で
発酵を中断させているんだろうと考えられます。

そのため、糖分は元々の果物よりも少なくなって甘さ控え目、
酢酸の量も増え過ぎないうちなので酸っぱさも控え目、
ということなんじゃないかと思います。

そこには完全なお酢にも、元々の果物にもない別の美味しさがあるようです。

cozyharada at 23:45│Comments(1)TrackBack(0)clip!全般 | NLP

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この記事へのコメント

1. Posted by atsuco   2009年01月24日 09:37
示唆に富んだお話しでとても共感いたしました。大腸菌・納豆菌・酢酸菌… 環境を変えながら生き延びる酢酸菌の戦略、好きですね(笑)

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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