2009年11月05日

本物よりもリアル

『フォトリアリズム』あるいは『スーパーリアリズム』と呼ばれる画風があります。
非常に精密な風景画や静物画なんですが、写真をベースに絵を描くのが特徴だそうです。

とにかくリアルに描くことが重視されているようで、
まさに写真のような仕上がり。
こちらのサイトや、ここで数点を見ることができます。)

それを芸術とは評価しない人もいるそうですが、
ただ、「スゴイ!」という感じがあるのは間違いないように思います。


ここで面白いのが、この絵は写真よりも、実物よりもリアルに感じられるということ。
多くの人が、その絵の光の加減などを実際よりもリアルに感じるのは、
光の具合を絵で表現するときに、その特徴を強調して描くからだと考えられます。

最近の画像編集ソフトなどを使うと
簡単な作業で質感を表現することが可能なようですが、
同じ絵を金属的に感じさせたり、プラスチックっぽく感じさせたり、
ガラスっぽく感じさせたりできるのも同じような方法なんだろうと思います。

人が光の反射具合から生み出されるエッジを捉えていることが
絵の表現方法からも実感できるようです。

無意識のうちに映像の特徴をパターン化して認識しているからこそ、
リアルな質感を感じられる典型的な特徴を感じ取れるんでしょう。

金属っぽい光の見え方や、ガラスっぽい光の見え方のパターンが
経験を通して頭の中に作られている。
その典型的な特徴を大袈裟にしながら絵を描いてやると
実物よりもリアルな感じで金属っぽく、ガラスっぽく受け取られる。

NLPの言葉でいえば、サブモダリティとして
質感を感じさせる光の反射の特徴が区別されているということになります。


同様なことは広告写真やテレビCMなどでも活用されています。
この場合、絵ではなく写真画像ではありますが、
光の表現を利用して商品のイメージを強調する例は色々とあるはずです。

ビールのCMのグラスに水滴をつけるとか、
鍋のCMの湯気を大袈裟に表現するとか、
ガラス細工や宝石には光を強く反射させて輝きを強調するとか。

いわゆる「シズル感」を出すやり方は、経験によって生み出された技法でしょうが、
人が質感やリアリティを感じる特徴をパターンとして巧みに抽出していると言えます。

実物よりも本物っぽいものを表現するための特徴を
視覚以外の要素でも色々と見つけることができたら、
バーチャルな体験が更にリアルになっていくような気がします。

これまでの方法では、そうした特徴に敏感な一部の達人的な職人が
経験の中から工夫の仕方を見つけてきたことでしょう。

そこでNLPの視点を利用して、内面で体験される内容から
典型的な特徴を共通点としてピックアップしていく調査をすれば、
もっと短時間に中心的な要素が見出せるかもしれません。

これまでのNLPの研究の方向性はセラピー効果のほうに行っていたようですが、
認知心理学的な方向で調査をしていくのにも大きな可能性がありそうに思います。


ちなみに「シズル感」の「シズル」というのは英語の「sizzle」だそうです。
ファミリーレストランの「Sizzler」も同じ「シズル」の意味から来ているんだとか。

より美味しそうに見えるような光の強調方法を工夫できたら
店舗にとっては役に立つかもしれません。

cozyharada at 23:01│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 全般

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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