2010年01月15日

上から理解する人

世の中には、ものすごく言葉の定義にコダワリを持つ人がいます。
辞書的な情報整理の仕方とでもいいましょうか。

僕の場合は違います。
言葉を思い浮かべると、それに付随する映像イメージや体の感覚がよみがえる。
それも具体的なものではなく、抽象的に整理された五感の情報として。

なので、抽象的な単語(勇気、成功、信頼…など)を想像すると
映像的にも抽象的なイメージがそのまま浮かんでくるので、
それを言葉で説明しようとすると難しいんです。

例えば、「動物」という概念を説明しようとした場合にも
抽象的なボヤーっとした動物の映像が浮かんできます。
犬や猫やゾウや牛のように特定の動物が浮かぶのではなく、
曖昧でヘンテコな、マンガで描かれたような動物のイメージが出るんです。

どちらかというと、「動物」と言われると、
特定の身近な存在が浮かぶ人が多いようです。
犬を飼っていれば、自分の飼い犬が浮かぶようなことでしょう。

僕の場合は、相手の話を聞くときに、このボヤーっとした曖昧なイメージが
鮮明で特定されたものになっていくように質問をするので
自分勝手な理解をしているかどうかをチェックしやすいようです。


僕がやっている言葉の理解の仕方は、
五感の情報の組み合わせで概念のネットワークができていて
それぞれの概念に対して言葉のラベルが貼られている感じです。

非常にNLP的というか、NLP的にはオーソドックスというか。
NLPをやったからそうなった、というよりも、元々そういう整理の仕方をしていたから
NLP的な理解の仕方がスムーズだったんだろうと思います。

そんな風に五感の情報だけで概念ネットワークを作っていると
抽象的な単語の1つ下のレベルの単語を探すというのが大変です。
(そのこと自体は一般的だとは思いますが)

例えば、「成功」という言葉は色々な場面で使われますから、
いわゆる成功法則で言われるような経済的に豊かな状態になることもそうですし、
お好み焼きを綺麗にひっくり返すように、難しいことが上手くいくのも「成功」です。
リスクの大きいギャンブルのような取り組み、
例えば野球の盗塁が「成功」というのもある。
リスクはなくても、初めて出来た経験も「成功」と言うでしょう。

まず、「成功」という言葉が使われる具体的な場面を想定して、
その中で捉えられている「成功」の概念を抽象的に取り出して、
それから、それを言葉で説明しようとする。
そんなステップを踏まないと「成功」のすぐ下のレベルの言葉は出てきにくい。

「成功」とは何か?と聞かれたときに、
「本人にとって難しいことができること」と定義を説明するのは
なかなか簡単な作業ではないということです。

辞書に書かれているのは、まさに、このレベルの説明。

で、世の中には、こういう辞書的な説明が得意な人がいるんです。
普通に、抽象的な言葉を、もう少しだけ詳しい抽象的な言葉で説明できる。

言葉のラベルだけでネットワークができているような印象を受けます。
ペーシングをしながら話を聞いていても、映像的なイメージが浮かびません。
僕からすると内容を把握するのが結構大変。

メインのグループ分けの特徴が言葉の定義なんでしょう。
言葉を別の定義で説明するネットワークができていて、それがメインになっている。

「石」とは「岩」の小さいもの。直径が〜cm程度。それより小さいと「砂」という。
…なんて具合に言葉を理解している感じでしょうか。
たぶん、「岩」や「砂」の説明をしても同様になると思いますが。

五感の情報をベースにすると、「石」は小さくて固い塊。灰色系統のことが多い、
…という具合でしょう。

科学では、同じレベルの言葉を使わずに説明する習慣がある気がします。
「石」を説明するときに「岩」や「砂」を使わない。
「無意識」を説明するのなら、「意識」や「心」を使わない。

科学的には「石」は、ケイ素と酸素からなる化合物に、金属類が混ざった固体。
純粋な酸化ケイ素は石英(水晶)となり、混ざる金属イオンによって色が変わる。
地中深い場所で高温高圧のマグマとして液体になっていたものが、
地表に表れて冷やされることで生まれる。
その冷やされ方の違いで結晶化の仕方が変わり、色や形、固さなどの違いが生まれる。
…そんな感じ。

多分、僕は科学をやっていた関係で、何かを説明するときには
別のレベルの情報を組み合わせて考える習慣がついているんだろうと思います。
「石」そのものを説明せずに、「石」にまつわる情報を説明する。

それを映像的なイメージを使いながらやっているんです。
上の「石」の説明は、僕の中で全て映像で浮かんできます。


ですから、「石」を「石」と同じか近いレベルの「岩」や「砂」を使って
説明する方法には慣れていないんでしょう。
辞書的な言葉の説明は、そこに映像イメージが浮かびにくいこともあります。

僕には、そのタイプが合わないといってしまえば、それまでですし、
一般的にコミュニケーションをする上では少数派だとも思います。

僕が職業的にクライアントとして関わるとすると、
そういう人に合わせた対応を考えるので、物凄く困るわけではありません。

ただ、僕の話を聞いてもらう相手がそのタイプだと
会話が噛み合いにくい印象が避けられません。

相手に合わせる方法もありますが、聞いてもらう相手に合わせて
自分の内面にあるものを語るというのは、えらく複雑な作業ですし。

1つの解決策は、おそらく、その言葉を一度上のレベルにチャンクアップして
上のレベルで比較して区別する方法だろうと思います。

「成功」を説明するために、僕は「成功」をチャンクダウンしてから理解しますが、
先にチャンクアップしてしまうということです。

「成功」の上のレベルとして、「結果」のようなものを想定する。
やってみた結果ということです。
それに対して、「成功」と「失敗」に分ける。

あるいは、成功法則で言われる「成功」であれば、
「すでに上手くいった段階」と考え、「まだ上手くいっていない段階」と区別する。
チャンクアップされた言葉は「過程」でしょうか。

そういう発想の取り入れていくことも、役に立つ可能性がある気がします。
好きではないんですが、できるに越したことはないでしょう。

NLPをやっている以上、苦手だったことは違うストラテジーを利用することで
できるようになっていくことを身をもって示したいところでもありますし。

ちょっとチャレンジですね。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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