2010年01月31日
ドラゴンボールとドラゴンクエストの違い
言葉は、何かしらの概念に対して付けられたラベルだと考えることができます。
そして概念は体験によって作られる。
現実に『犬』そのものに対応する生き物は存在しなくて、
『犬』という概念に当てはまる個別の「〜犬」の「ナントカ」という名前のが存在する。
『犬』という概念は、その人が見たり聞いたり触ったりしてきた
具体的で個別の犬の経験を通して、「一般的に『犬』とは、こういうものだ」と
典型的なイメージを作り上げたものだということです。
その人の中にある典型的な『犬』のイメージに対して
「イヌ」という音で、【犬】という漢字で説明される『犬』の概念があって、
それが「犬」という言葉になっているという考え方です。
そうすると、体験してくる犬の種類によって、人それぞれ
典型的な『犬』のイメージは違っていることになります。
小型犬ばかり見てきた人の頭の中にある典型的な『犬』イメージは小さいものでしょう。
日本犬のイメージは耳が立っていて、
欧米では耳が寝ているイメージが一般的かもしれません。
忠犬ハチ公は日本でも海外版「HACHI」でも耳が立った犬種ですし、
スヌーピの耳は垂れ下がっています。
…あいにく、日本版「フランダースの犬」こと「スノープリンス」では
犬種まで秋田犬に変更されていましたが(時代背景的には当然かもしれません)。
同じように「川」というものに対しても、日本人がイメージしやすい清流の小川と、
アメリカ人がイメージしやすいハドソン「river」のように大きな川と、
南米の人がイメージしやすいアマゾン川と、中国の黄河とでは、
どれも典型的な「川」イメージとしては大きな違いがあるはずです。
元々は別の生活環境で生まれた概念に対応する言葉が
その地域によって特有のイメージを作っていたとしても、
共通する意味合いが理解できれば、お互いに翻訳することは可能です。
「川」というのは、水が綺麗であろうが濁っていようが、
流れの幅が広かろうが狭かろうが、流れが急だろうが穏やかだろうが、
「海にまで繋がる淡水の流れ」であれば「川」と呼べるわけです。
だから「川」は英語なら「river」に訳すことができる、と。
「犬」が「dog」なのも、「イノシシ」が「boar」なのも同じです。
「ネズミ」が「rat」と「mouse」に分けられるのは
英語文化では大きさによって呼び分ける習慣があるからであって、
それだけ英語文化圏ではネズミの存在が重要だった時期があったからかもしれません。
英語では「牛」が「cow」「ox」「cattle」「bull」「crummy」「bovine」などと
細かく呼び分けられますが、それも牛が重要だからだと考えられます。
日本でも「米」を「うるち米」と「もち米」に分類し、
さらに「うるち米」も品種別に呼び分けますが、
それも「米」が重要だったからでしょう。
このように、別の言語であっても、共通点を見出せるものに対しては
(細かく分けるかどうかは別にして)、
同じ概念として対応する単語を探し出して、翻訳することができるわけです。
「トラ」も「ウサギ」も「ヘビ」も「馬」も「羊」も「猿」も「鶏」も
同じ動物を見て、その概念を理解できれば、特定の呼び方で呼べるようになる。
言語が違っても、対応する呼び名を考えれば、翻訳できます。
ところが。
ここまで出してきた動物は全部、干支の動物ですが、
「竜(龍)」に関しては微妙な印象を受けます。
場合によっては「竜」と「龍」で使い分けるのかもしれませんが、
元々の中国の漢字としては書体の問題で同じものを意味するんだとか。
僕は日本の神話や伝承に対して詳しくありませんから、
日本において「龍」というイメージがどれだかあったのかは知りません。
ただ、僕の中のイメージとして言語化すると、
「龍」は「ドラゴンボール」の「神龍」のような、
マンガ日本昔話のオープニングに出てくるような、
細長くてウロコがあって、ヒゲが生えているヤツになります。
日本でも「龍神」が祀られることがあるような記憶がありますし、
水の中に龍が潜んでいるような話も耳にした気がします。
鯉と龍をなぞらえるケースもあったように思います。
ただ、水の底(地底)に潜んでいた龍が空に上がっていくという一連の流れは
易でも使われる考え方だそうですから、日本における「龍」のイメージは
中国から伝わってきたものかもしれません。
ちなみに、中国ではアロワナを龍になぞらえる文化もあるようですが、
日本の鯉とともに、ヒゲとウロコ繋がりなのでしょうか。
一方、「dragon」と言った場合、「ドラゴンクエスト」に出てきた
「ドラゴン」の姿が映像として浮かんできます。
四本足で首が長くて、尻尾があって…という形。
どちらかというと「恐竜」っぽいような「トカゲ」的なイメージでしょうか。
巨大なトカゲである「コモドオオトカゲ」は「コモドドラゴン」とも呼ばれたりしますし。
羽は生えていても、生えていなくても、どっちも「dragon」な印象があります。
まぁ、多分にマンガやゲームの影響を受けているでしょうが、
そもそも、そうしたマンガやゲームの登場キャラクターとしての「ドラゴン」は
欧米の神話をベースにしているはずですので、間違ってはいない気がします。
「dragon」に対応する「ドラゴン」は、トカゲの大きいような形で
羽があったり無かったりしますが、火を吹くこともあるヤツだということです。
元々、日本で言われていたであろう「龍」は東洋文化としての「龍」でしょうから、
マンガ日本昔話のオープニングに出ていたような龍が近いと思います。
で、僕が最も気になるのは、両方が似ていないというところなんです。
「龍」と「dragon」には共通点が少ないというか、別物に思えてしまいます。
仮に「龍」は東洋的な細長いヤツ、「竜」はトカゲっぽいヤツ、とでも決まっていれば、
「dragon」の訳は「竜」ということで落ち着くかもしれませんが、
どうもそうではなさそうな印象も受けます。
辞書を見る限り、「龍」を英語訳すると「dragon」なんです。
逆に、
「龍」と「竜」は、ほとんど同じで、細長いヤツ。
ただし「竜」は「恐竜」の意味で使われる場合もある。
「dragon」は日本語でも「ドラゴン」。
という説明の仕方もアリだと思います。
欧米の大聖堂にくっついている「gargoyle」は「ガーゴイル」ですし、
沖縄の屋根の上にいる「シーサー」は「シーサー」ですから。
「dragon」は「ドラゴン」でも構わないんです。
日本のカラオケは、英語でも「karaoke」ですし、
昆布の「旨味」に対応する英語も「umami」です。
なのに、誰かが「dragon」を「龍(竜)」だと訳した。
そういう人が歴史上にいたはずなんです。
概念的なイメージの中で、どこかに共通点があったんでしょうか。
僕にはピンときません。
最近、そんなことが気になりました。
そして概念は体験によって作られる。
現実に『犬』そのものに対応する生き物は存在しなくて、
『犬』という概念に当てはまる個別の「〜犬」の「ナントカ」という名前のが存在する。
『犬』という概念は、その人が見たり聞いたり触ったりしてきた
具体的で個別の犬の経験を通して、「一般的に『犬』とは、こういうものだ」と
典型的なイメージを作り上げたものだということです。
その人の中にある典型的な『犬』のイメージに対して
「イヌ」という音で、【犬】という漢字で説明される『犬』の概念があって、
それが「犬」という言葉になっているという考え方です。
そうすると、体験してくる犬の種類によって、人それぞれ
典型的な『犬』のイメージは違っていることになります。
小型犬ばかり見てきた人の頭の中にある典型的な『犬』イメージは小さいものでしょう。
日本犬のイメージは耳が立っていて、
欧米では耳が寝ているイメージが一般的かもしれません。
忠犬ハチ公は日本でも海外版「HACHI」でも耳が立った犬種ですし、
スヌーピの耳は垂れ下がっています。
…あいにく、日本版「フランダースの犬」こと「スノープリンス」では
犬種まで秋田犬に変更されていましたが(時代背景的には当然かもしれません)。
同じように「川」というものに対しても、日本人がイメージしやすい清流の小川と、
アメリカ人がイメージしやすいハドソン「river」のように大きな川と、
南米の人がイメージしやすいアマゾン川と、中国の黄河とでは、
どれも典型的な「川」イメージとしては大きな違いがあるはずです。
元々は別の生活環境で生まれた概念に対応する言葉が
その地域によって特有のイメージを作っていたとしても、
共通する意味合いが理解できれば、お互いに翻訳することは可能です。
「川」というのは、水が綺麗であろうが濁っていようが、
流れの幅が広かろうが狭かろうが、流れが急だろうが穏やかだろうが、
「海にまで繋がる淡水の流れ」であれば「川」と呼べるわけです。
だから「川」は英語なら「river」に訳すことができる、と。
「犬」が「dog」なのも、「イノシシ」が「boar」なのも同じです。
「ネズミ」が「rat」と「mouse」に分けられるのは
英語文化では大きさによって呼び分ける習慣があるからであって、
それだけ英語文化圏ではネズミの存在が重要だった時期があったからかもしれません。
英語では「牛」が「cow」「ox」「cattle」「bull」「crummy」「bovine」などと
細かく呼び分けられますが、それも牛が重要だからだと考えられます。
日本でも「米」を「うるち米」と「もち米」に分類し、
さらに「うるち米」も品種別に呼び分けますが、
それも「米」が重要だったからでしょう。
このように、別の言語であっても、共通点を見出せるものに対しては
(細かく分けるかどうかは別にして)、
同じ概念として対応する単語を探し出して、翻訳することができるわけです。
「トラ」も「ウサギ」も「ヘビ」も「馬」も「羊」も「猿」も「鶏」も
同じ動物を見て、その概念を理解できれば、特定の呼び方で呼べるようになる。
言語が違っても、対応する呼び名を考えれば、翻訳できます。
ところが。
ここまで出してきた動物は全部、干支の動物ですが、
「竜(龍)」に関しては微妙な印象を受けます。
場合によっては「竜」と「龍」で使い分けるのかもしれませんが、
元々の中国の漢字としては書体の問題で同じものを意味するんだとか。
僕は日本の神話や伝承に対して詳しくありませんから、
日本において「龍」というイメージがどれだかあったのかは知りません。
ただ、僕の中のイメージとして言語化すると、
「龍」は「ドラゴンボール」の「神龍」のような、
マンガ日本昔話のオープニングに出てくるような、
細長くてウロコがあって、ヒゲが生えているヤツになります。
日本でも「龍神」が祀られることがあるような記憶がありますし、
水の中に龍が潜んでいるような話も耳にした気がします。
鯉と龍をなぞらえるケースもあったように思います。
ただ、水の底(地底)に潜んでいた龍が空に上がっていくという一連の流れは
易でも使われる考え方だそうですから、日本における「龍」のイメージは
中国から伝わってきたものかもしれません。
ちなみに、中国ではアロワナを龍になぞらえる文化もあるようですが、
日本の鯉とともに、ヒゲとウロコ繋がりなのでしょうか。
一方、「dragon」と言った場合、「ドラゴンクエスト」に出てきた
「ドラゴン」の姿が映像として浮かんできます。
四本足で首が長くて、尻尾があって…という形。
どちらかというと「恐竜」っぽいような「トカゲ」的なイメージでしょうか。
巨大なトカゲである「コモドオオトカゲ」は「コモドドラゴン」とも呼ばれたりしますし。
羽は生えていても、生えていなくても、どっちも「dragon」な印象があります。
まぁ、多分にマンガやゲームの影響を受けているでしょうが、
そもそも、そうしたマンガやゲームの登場キャラクターとしての「ドラゴン」は
欧米の神話をベースにしているはずですので、間違ってはいない気がします。
「dragon」に対応する「ドラゴン」は、トカゲの大きいような形で
羽があったり無かったりしますが、火を吹くこともあるヤツだということです。
元々、日本で言われていたであろう「龍」は東洋文化としての「龍」でしょうから、
マンガ日本昔話のオープニングに出ていたような龍が近いと思います。
で、僕が最も気になるのは、両方が似ていないというところなんです。
「龍」と「dragon」には共通点が少ないというか、別物に思えてしまいます。
仮に「龍」は東洋的な細長いヤツ、「竜」はトカゲっぽいヤツ、とでも決まっていれば、
「dragon」の訳は「竜」ということで落ち着くかもしれませんが、
どうもそうではなさそうな印象も受けます。
辞書を見る限り、「龍」を英語訳すると「dragon」なんです。
逆に、
「龍」と「竜」は、ほとんど同じで、細長いヤツ。
ただし「竜」は「恐竜」の意味で使われる場合もある。
「dragon」は日本語でも「ドラゴン」。
という説明の仕方もアリだと思います。
欧米の大聖堂にくっついている「gargoyle」は「ガーゴイル」ですし、
沖縄の屋根の上にいる「シーサー」は「シーサー」ですから。
「dragon」は「ドラゴン」でも構わないんです。
日本のカラオケは、英語でも「karaoke」ですし、
昆布の「旨味」に対応する英語も「umami」です。
なのに、誰かが「dragon」を「龍(竜)」だと訳した。
そういう人が歴史上にいたはずなんです。
概念的なイメージの中で、どこかに共通点があったんでしょうか。
僕にはピンときません。
最近、そんなことが気になりました。