2011年06月23日

体の声を聞く

人の気持ちというのは複雑なものです。

何も当たり前の話をしたいわけではなく、
ある瞬間に起きている気持ちというものが
複雑に入り組んだものになっている、ということなんです。

楽しいとか、嬉しいとか、悲しいとか、腹立たしいとか、
そういった感情がシンプルに1つだけ存在するわけではない。

様々な状態が混じり合って存在しているんです。
それに名前を付けて呼んでいるだけ。

感情や気持ちとは、
 体の中に起きている反応を自覚して、
 その状態に対して特定の呼び名で説明したもの
と言えます。

複雑な身体反応の組み合わせを感じ分けて
自分の感情や気持ちなどの状態を意識している、と。


脳科学の立場から、心を脳の働きとして説明しようとする人がいますが
感情や気持ちを理解するには脳だけでは不可能なはずです。

体からのフィードバックを感情として捉えるわけですから。

身体感覚とか体感覚、体性感覚など、色々な呼ばれ方をする感覚です。
英語でいう「ガッツ・フィーリング」(内臓感覚)が一番近い気がします。
その体の中の反応が、感情や気持ちには不可欠だということです。

言ってみれば、体というのは
「感情が描かれるキャンバス」のようなものです。

ある人が著書の中で、
「人間がこの先、科学を発展させていって
 体の部品を全て機械などで置き換えられるようになったとき
 『自分』とは何を言うのか?」
というような話をしていました。

場合によっては、脳の中に入っている機能を
コンピューターに移し替えられれば、意識はそこにあるんじゃないか?
そんなような話だったと思います。

まぁ、話の主題は「自分とは何か?」の部分にあって
その考え方を補足するための仮説だったんだろうとは思いますが、
その人の、その人らしさには、体の働きも重要なはずなんです。

どういう風な体の反応の仕方をするかという特徴が
例えば、エネルギッシュだったり、落ち着いていたり、
感情表現が豊かだったり、怒りっぽかったり、
様々な特徴と結び付くわけです。

体からのフィードバックがなくなるような機械の体では
感情の動きが無くなってしまいますから、
まさに「ロボットのような人」と言われるような性格になるでしょう。

「自分とは何か?」のような話から、「体を置き換える」設定に
話を進めていくのであれば、脳に対してフィードバックできる機能まで
完璧に再現しながらやっていくことが必要そうです。


これは、仮に再生医療が進んで、臓器や体の一部を
自分のコピーと置き換えられるようになる未来が来たとしても
そこで予測されることは同様です。

例えば、心臓が弱ってきたときに、自分の細胞を元にして
心臓を再生して、新しい心臓と置き換える…ことをしたとします。

すると心臓の機能だけが若いころに戻るわけです。

心拍数も心筋の収縮力も変わる可能性があります。
精神状態によって心拍数が変化する度合いも変わるかもしれません。
おそらく血流にも影響が出るでしょう。

血流中のホルモンの動きも変わったとしたら、
同じ状況で体の中に起こる反応のも変化が出る可能性があります。

心臓を若いものに取り換えたときに、感情のパターンにも
違いが出るかもしれないわけです。

つまり、性格が変わるかもしれない。

それぐらいに、人の心は体の反応にダイレクトだと考えられます。

奇跡的なエピソードの中には、
 臓器移植を受けた人が、ドナーの記憶を受け取る
ような話があります。

鮮明な記憶が移るかどうかは分かりませんが、
例えば、食べ物の好みが変わるとか、
性格が変わるとかいうレベルであれば、
その臓器が置き換わることで、体中の生理反応のバランスが変わり
今までと違う気分や感情が起こるようになるのは
不思議なことではないと思います。

体の機能が変われば、内面にも影響が出るのは当然とも言えます。

その意味では、スポーツで心を育むというのは、
特に、セルフコントロールを高める目的にとって
理にかなった発想でもあるのかもしれません。

イチロー選手の落ち着きには、そうした
体のマネジメント能力の高さも関係している気がします。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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