2011年07月12日

推測を続けて

先日、バスに乗ろうとバス停で待っていたところ
2台のバスが続けてやってきました。

僕が乗る予定だったのは、後のほう。

バス停で並んでいた人たちは、それぞれ乗るほうのバスへ向かいます。

列の前のほうにいたお婆さんは、僕と同じバスに乗るようで
列の前から後ろのバスのほうへと歩いてきました。

背中にはパンパンなリュックサック。
歩き方はせっかちに足を動かそうとしながらも
自分が期待した通りには体が動かないといった印象です。

後ろのバスへ乗る人たちの多くは、
そのゆっくりと歩くお婆さんを追い越してバスへ先に乗り込みます。

僕は、お婆さんが先にバスを待っていたことも意識していましたが、
何よりもバスに乗るときに苦労しそうなことを予測していたので
お婆さんの後ろを歩いてバスの乗降口に来ました。

お婆さんはバスに乗ろうとして手すりに右手でつかまりました。
荷物の重さと足腰の筋力不足でしょう。
バスのステップを昇りきれません。

バスの扉が大きいので、左手でつかめるものもなく
バランスを崩しかけたとき、後ろにいた僕の腕を掴みました。

そして両手の力も使いながら、なんとか階段の一段目に昇り、
両手を手すりにかけることができたようです。

僕は、僕の手を支えに使ったということから、
「この人は自分から助けを求めた」と判断して
残りの階段を上がるときにも背中を押すことにしました。


このお婆さんが手助けを必要としていたかは分かりません。
親切心で手伝ったつもりが、余計なお世話になることもあります。

他人に対して何かをするというのは難しいものだと思います。

ただ、そのお婆さんがバスに乗るときに苦労しそうなことは
歩き方を見ていれば予測はできると思うんです。

分かろうとしているかどうかじゃないでしょうか。

他人のことは分からないものです。

今回だって、本当にそのお婆さんが
手伝って欲しかったのかは分かりません。
もしかしたら、自分で何とかしようとトレーニング中だったかもしれない。

だからといって、「人のことは分からない」と
分かろうとすることをあきらめたら
そこで終わってしまいます。

一方で、「分かっている」つもりになるのも
分かろうとしているとは言えないでしょう。

自分の理解は違っているかもしれないんです。

例えば「お年寄りだから親切にするものだ」などと考えて
色々としようとしたことが迷惑になる場合だってあるはずです。

「本当は、この人はどう考えているのか?」と疑問を持ち続けながら
自分の想像に対して疑いを持ち、判断の根拠を自覚して
どれくらいの確信度を持って結論を想像しているのかを意識する。

「分かっている」も「分からない」も
「白」か「黒」になっている意味で極端すぎると思います。

前提は分からないのほうにありますから
100%の確信度で「分かっている」にはなりませんが、
想像力をかきたてれば0%ということもないでしょう。

どのくらいのグレーゾーンにいるのかを自覚しながら
少しでも確信を持てるようにしていく作業が
「分かろうとする」ことじゃないかと思うんです。


もちろん、注意が向いていなければ
分かろうとすることはできません。

バスに乗ろうとするお婆さんが目に入っていなければ
分かろうとすることも難しいわけです。

分かろうとするためには、その人に気持ちを向ける必要がある。

その意識を持って人と関わりたいと感じます。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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