2011年07月19日

名言にまつわる名言

心理系の専門寄りの本や、成功法則などの本では
洋書が翻訳されて、日本で出版されているものが多々あります。

その多くの中に、名言の引用がある。

これはチョット面白い傾向だと思いますが、
僕がTOEFLのライティングを習っていたときも、
英文のライティングでは名言や格言などの引用を使うと
評価が高くなると聞きました。

どうやら英語文化においては、引用できる表現があることが
教養を示す1つのアピールになるのかもしれません。


名言を引用するときには、自分の意見に合ったものが選ばれます。

おそらく、名言や格言、諺のようなものの中には
真逆の意味を持ったものもあると思われますが、
両方を引用することは普通あり得ないわけです。

例えば、
「二度あることは三度ある」と「三度目の正直」とでは
意味合いが真逆になっていますし、
「急いては事をし損じる」と「鉄は熱いうちに打て」では
真逆ではないにせよ、逆方向のニュアンスを受けます。

ですが、自分の意見とは真逆の意味の名言や格言があっても、
しかも、それがあることを知っていたとしても、
わざわざ反対意見の名言には言及しないものです。

誰かが名言を引用しているのを聞いたとしても、
有名人や偉人の言葉だからというだけの理由で
過度に感心して話を聞いてしまうのは注意したほうが良い気もします。

名言の引用は、論理的な説明だけでは説得しきれないときに、
主張をサポートするために使われるテクニックの側面もあるんです。


むしろ、自分自身で誰かの名言や格言を知ったときに
「何か心に響くものがないか」を吟味するほうが有効だと思います。

何かの名言が自分に響いたとき、
その言葉の奥に、自分の経験から得ていた知恵が
実感として感じられているはずです。

自分が言葉にはしないまでも、人生経験から学び、感じていたこと。
それを一言に上手くまとめて表現してくれているメッセージ。
…それが名言だと捉える事ができます。

例えば僕は、ゲーテの残した名言
『涙とともにパンを食べたものでなければ人生の味はわからない』
が心に響きますが、
それは僕の経験に照らし合わせて納得する部分が大きいからです。

自分の想いを違う言葉で言い表してくれていた感じです。

なので、僕は自分の気持ちを語るときに
ゲーテの言葉を引用したくなる可能性があります。

が、それはあくまで自分の気持ち。
そのような想いを持っていない人にとっては無関係なメッセージでしょう。

「僕は、そのように考えているんです。
 あなたが、どう考えているかは分かりませんけど。」
というスタンスであれば、ゲーテの名言を引用する必要はないはずです。

名言を引用する気持ちの奥には、もしかすると
「僕は、こう考えています。
 そして、それは正しいと思います。
 だって、あのゲーテさえ同じような言葉を残しているんですから。」
という説得力を高めたい気持ちがあるんじゃないでしょうか?


その意味でいうと、こんなフレーズが思い浮かびます。

 『名言は引用している本人にとって最も有意義である』

これが僕の考えた格言です。
あまり説得力を持たせられるネームバリューではありませんが。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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