2011年09月11日

日本語禁止デー

週末、丸一日の英語セミナーに参加してきました。
朝10時から、夜8時半まで。

最後の2時間ぐらいは、英語勉強法としてのセミナーになるため
日本語で講義を聞き、質疑応答も日本語でしたが、
それまでの8時間ぐらいは「日本語禁止」。

僕の一番の目的は、その英語オンリーの環境に身を置くことだったんです。


講師は一人ではなく、そのスクールの講師が交代で進めるスタイル。
ほとんどは日本人でした。

1時間だけネイティブスピーカーのレッスンがあっただけで、
あとは全て日本人の先生による指導という構成です。

当然、受講生は皆、日本人。
英語を勉強しようという人ですから、生まれも育ちも日本という日本人です。

なので、大半の時間のコミュニケーション手段として使っている言語が
英語ではあるものの、その相手は日本人だったということです。

そこで感じるのは、英語力だけの問題や発音の問題だけではなく
やはり日本人同士の会話だということでした。

表層で使われているものが、いくら英語の形をとっていても
深層部で伝えあっているものは日本人の概念だと感じられました。

同じ英語オンリーの環境に、同じ時間だけ身を置いたとしても、
それがネイティブスピーカーの場合とは大きく意味が違うでしょう。

また、日本人同士だからこそ、間違いがあっても同じような形で間違いやすく
その間違いは指摘されることもなく流れていってしまいます。

もしかすると、その環境の中でだけ通じるような奇妙な表現があったり、
他の人の間違い方が移ってしまったりするようなケースも想像できます。

可能な限り、自分がネイティブスピーカーのペースに入っていくほうが
得られるものは大きいだろうと感じました。

そもそも、英語を使う場面、英語を話す相手というのは
ネイティブスピーカーになると想像されるわけですから。

「英語だけの環境に身を置くことで、英語感覚を植え付ける」とするなら
その目的のためには、日本に来ている外国人と友達になって
家に遊びに行かせてもらうようなほうが効果は高いように思います。

日本にいながら、日本人同士で英語だけしか使わない…という方法は
英語を口から出すこと自体に抵抗がある場合に馴染む手段としてか、
他の訓練プログラムと組み合わせる形では有効でしょうが、
単純に「英語だけを使っていれば留学のような効果がある」
という程ではないのだろうと感じたわけです。

英語だけの環境で日本語を使わないかどうかが重要なのではなく、
英語を身につけるための訓練方法のほうが重要度が高いだろう、という話です。

そのスクールで得られる効果は、おそらく
・英語に対する抵抗を減らす
・トレーニングプログラムの効果で英語力を上げていく
というところが中心だろうとの印象を受けました。

どのような質の経験が、どういった効果を生むのか。
これを吟味しながら取り組んでいくのが、成果を早めるポイントだと思います。


ちなみに僕にとって最も有益だったのは、
「日本人英語とネイティブの英語の壁を乗り越えることは可能」
だということを目の前で見られた部分です。

代表を務める人は日本人ながら、英語学習の経歴と
海外留学の経験の長さから、日本人とは思えない英語でした。

このことが僕にとって非常に重要だったんです。
いかにして、日本人がネイティブ並みの英語感覚になるか。

英語を使って、日本語並みのコミュニケーションが取れるようになることと、
英語を英語として使いこなせるようになることは別物だと思うんです。

それは、逆のパターンの例で考えると、
デーブ・スペクター氏が見事な日本語を話し
日本語でのコミュニケーションを完璧にこなせるとしても、
やはり日本人の日本語と違う所があるのを感じさせるようなものです。

発音の問題ではないけれども、何か不自然。
その不自然さを超える手段があるということです。

英語であれ、日本語であれ、母国語として言語を身につけるときは
経験から一般化された「無自覚なパターン学習」が中核をなします。

なんとなく「こういう文脈だと、こういう言い回しをするなぁ」というのが
本を読んだ経験や、話を聞いた経験などから、インプットされていく。
そして使われるパターンが染みついていくわけです。

流行語が生まれて、それが浸透していくプロセスなどでは
辞書を使って意味を調べることはできません。
でも、その言葉が使われる文脈から意味を推測して、
同じような会話の流れの中で、その新しい言葉を使うことができます。

それが母国語の学び方でしょう。

しかし、それは外国語学習の中では大変です。
パターン学習ができるようになるためには、
パターンに気づけるだけの経験の量が必要です。

そして、新たなパターンを学ぶためには
どれが新しく経験しているパターンなのかを区別できなくてはいけません。

全部知らない状態では、パターンに気づきにくいわけです。

自分の中に、良く使われる言語の法則が染みついていると、
知らないフレーズや、知らない言い回しが出てきたときに
「これは新しいパターンだ」と識別できます。

だからこそ、まずは最も良く使われるパターンを染みつかせるために
複雑ではない表現に対して経験の量を増やしていくのが効果的なんでしょう。

そのためには、自分もそのパターンを使えるようにしておくのが早いはずです。
パターンが掴めてきた辺りで、自分で応用してみるんです。
それが使えれば、パターンに気づくのも早くなります。

そうして使いこなせる表現や文構造のパターンが増えてくると
知らない・分からない表現や文構造が気になるようになる。
そして、その新しいものも使えるようにしていく。

この一連の作業は、「普通に使われる」ものであることが重要です。
そうすれば「文法的には正しいけど不自然」という表現は含まれなくなります。

あくまでネイティブが使う自然な表現だけをパターンとして取り入れていく。

そのために、ネイティブの会話やスピーチを学ぶのでしょう。
そのスクールの基本的なスタンスは、名スピーチから学ぶという方法でした。


理屈で考えれば、それをしていけば母国語に近い形で
言語を習得していくことが可能だと思います。

しかも、受動的に入ってくる経験の量でカバーできない異国の環境でも
名スピーチだけなら繰り返して聞くことができます。

ただ、地道です。

地道なことをしていれば、壁は超えられる。
それを実証して見せてもらえたのは実りあることでした。

しかし、僕には、もっと効率的な方法もあるように思えます。
地道な方法が確実だとしても、それが全てではないでしょう。

スピーチから学ぶ地道な方法は、
ネイティブスピーカーが自然な生育過程で学ぶ方法と同様に、
人間が持っている自然な能力を活かしています。

経験を一般化して、法則を見出すという能力です。

そこに共通点があるのなら、それを積極的に活かした方法が
きっと使えると思うんです。

さらに効率的に学習する方法があるんじゃないだろうか、と。

しかし、それは誰も教えてくれないので
自分で試行錯誤するしかないのでしょうけれど。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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