2011年12月25日
水回りの汚れを落とす
年末、大掃除のシーズンのようです。
近所のドラッグストアの棚から掃除関連グッズが激減しています。
そして僕も水回りの大掃除をしました。
カルキ汚れや石鹸カス、石のように固まっている水汚れなど
日頃の掃除では、普通の洗剤で擦っても落ちなかったものを
なんとかして落としてやりました。
それなりに効果があったのは、お酢とクエン酸。
どちらも、頑固な汚れ部分にキッチンペーパーを貼りつけ、
溶液を染み込ませて放置する形で対応しました。
乾かないようにラップで覆って一晩。
それでも頑固な部分は落ちませんでしたが、綺麗になる範囲は広かった。
特に、石鹸カスはアルカリ成分なので、酸で簡単に溶けます。
KINCHOの「ティンクル」は石鹸カスに対して強力です。
クエン酸は、酸として石のようになったカルシウムを溶かすのと同時に
そのキレート作用でカルシウムイオンを捉えますから
原理的には効果があると言える類の成分です。
なのでポットの洗浄剤などで、カルキ汚れを溶かすのにも使われます。
学生時代は、研究室の大掃除のとき、実験室からクエン酸の試薬を取ってきて
オフィス側のポットの中にドバドバ入れてポットを洗浄したものです。
しかし、これは思いのほか落ちません。
頑固にこびりついた石のようなカルシウム化合物は固いんです。
一般に、カルシウムを含んだ化合物は非常に水に溶けにくい。
石膏は「硫酸カルシウム」のことですが、もう化学的には処分が困難なレベルです。
処理費用を考えると埋めるのが現実的だと聞いたことがあります。
同様に、「〜カルシウム」と呼ばれるような化合物は溶けにくいものが多いんです。
すでにカルシウムイオンとして水に溶けているときには
そこにクエン酸を加えることでキレート作用によって
カルシウムが結晶化するのを防ぐことができます。
※キレート作用というのは、イオンを他の分子が取り囲むことです。
結果として他の分子と反応しにくくなることがあります。
しかし、一度、結晶として石のように固まってしまったカルシウム化合物は
もう水に溶けていませんから、イオンの形をしていないので
キレート作用で溶けることは期待しにくいんです。
つまり、
クエン酸を入れておくと、カルシウムは結晶化しにくくなる。
が、すでに結晶化したカルシウムに対しては効果が弱い。
ということです。
とはいえ、常にクエン酸を水に溶かしておくと
ハイターやカビキラーを使ったときに「混ぜるな、危険!」を冒すので
それも難しい。
クエン酸は手軽に、手に入る酸の中で『安全』という点で重要ですが、
その洗浄効果に関しては、決して高い部類ではないわけです。
その点、カルシウム化合物の中では比較的、
塩化カルシウムが溶けやすい部類に入ります。
微生物の培養で、カルシウムイオンを加えるときには
塩化カルシウムとして試薬を加えるぐらい。
ということは、「塩化物イオン」を加えてやると固まったカルシウムの類も
「塩化カルシウム」として溶かしだすことができることになります。
で、「塩化物イオン」そのものを使った酸が「塩酸」なので、
塩酸をかけてやれば、カルシウム化合物の石のような結晶も
それなりに溶かしてやることができる、ということです。
おなじみの「サンポール」は、その塩酸を使った製品。
塩酸濃度は9.5%だそうです。
一般的な試薬として使われる塩酸濃度が35%ぐらいなので
大体1/3ぐらいの濃さ。
経験的に言えば、まあまあの効果でカルシウム化合物を溶かせる濃度でしょう。
微生物の培養をするときにカルシウムを入れます。
最初は塩化カルシウムで入れますから溶けた状態。
でも他にも、硫酸アンモニウムや、硫酸マグネシウム、リン酸カリウムなど
色々なものを追加します。
培養が進むにつれてアンモニアが使われ、硫酸イオンが残るせいで
硫酸カルシウムを中心とした石のような結晶が出てくるんです。
なので、ガラスの三角フラスコや培養装置の壁面には
どうしても白い石のような結晶が残ってしまいやすい。
これを洗浄するために、僕は塩酸を使っていました。
急ぐ時は、ほぼ原液のままドバドバ入れるんです。
塩酸の原液は煙が出て、目や鼻がツーンとしみるほどですが
まぁ、気にしない。
で、ものの数分も置けば、カルシウム化合物の結晶も柔らかくなり
ちょっと擦っただけで簡単に落ちてくれました。
サンポールの濃度は、その塩酸濃度の1/3ですが
原液を紙に染み込ませて放置すれば効果は期待できると思います。
ただし、金属は腐食する可能性のある濃度なので
配管やシンクでは避けたほうが無難でしょう。
ステンレスの種類によっては強いものもありますが、
光沢を出しているタイプのものは白っぽくなる可能性があります。
ということで、理論的にも経験的にも
石状に固まったカルシウム化合物の頑固な汚れには
サンポールは有効だろうというわけです。
が、そんなのは当たり前の話。
古くから使われている製品でしょうし。
実は、僕が一番ラクをしたいときに使っていたのは塩酸じゃないんです。
『乳酸』。
乳酸カルシウムの溶解度は非常に高い。
水によく溶けます。
なので、石のようにカチカチに固まった大きなカルシウム化合物でも
乳酸の試薬を、チョットかけるだけで溶けてしまいます。
シュワシュワと泡を出しながら、みるみる溶けていくんです。
こすらなくても良いぐらい。
ただ、乳酸のほうが高額ですし、洗い物のために使う試薬ではないので
そんなに使っていたわけではありませんが。
それにしても乳酸のカルシウム溶解力は非常に高い。
なので、乳酸を配合した洗浄剤を使えば掃除もラクチンだろうと思っていました。
しかし業者用というのを見ても乳酸は入っていませんでした。
…と思っていたら、あったんです。
KINCHOの「サピカ サンポールスプレー」!
これは薄いですが、主成分は乳酸と中性洗剤。
理論的には効果が高いはずです。
まぁ、濃度が薄いので長時間染み込ませるか、繰り返し使うか、
別の工夫が必要だとは思いますが。
個人的には興味津津の製品です。
残念なのは、サピカの存在を知る前に、全てのトイレ掃除を
力技で終えてしまったということ。
目の細かい耐水サンドペーパー(1500番)で擦り落としました。
傷をつけずに綺麗サッパリ。
新品同然にピカピカに輝いていますから、乳酸入り洗浄剤の効果を試せるのは
また随分と先の話になりそうです。
近所のドラッグストアの棚から掃除関連グッズが激減しています。
そして僕も水回りの大掃除をしました。
カルキ汚れや石鹸カス、石のように固まっている水汚れなど
日頃の掃除では、普通の洗剤で擦っても落ちなかったものを
なんとかして落としてやりました。
それなりに効果があったのは、お酢とクエン酸。
どちらも、頑固な汚れ部分にキッチンペーパーを貼りつけ、
溶液を染み込ませて放置する形で対応しました。
乾かないようにラップで覆って一晩。
それでも頑固な部分は落ちませんでしたが、綺麗になる範囲は広かった。
特に、石鹸カスはアルカリ成分なので、酸で簡単に溶けます。
KINCHOの「ティンクル」は石鹸カスに対して強力です。
クエン酸は、酸として石のようになったカルシウムを溶かすのと同時に
そのキレート作用でカルシウムイオンを捉えますから
原理的には効果があると言える類の成分です。
なのでポットの洗浄剤などで、カルキ汚れを溶かすのにも使われます。
学生時代は、研究室の大掃除のとき、実験室からクエン酸の試薬を取ってきて
オフィス側のポットの中にドバドバ入れてポットを洗浄したものです。
しかし、これは思いのほか落ちません。
頑固にこびりついた石のようなカルシウム化合物は固いんです。
一般に、カルシウムを含んだ化合物は非常に水に溶けにくい。
石膏は「硫酸カルシウム」のことですが、もう化学的には処分が困難なレベルです。
処理費用を考えると埋めるのが現実的だと聞いたことがあります。
同様に、「〜カルシウム」と呼ばれるような化合物は溶けにくいものが多いんです。
すでにカルシウムイオンとして水に溶けているときには
そこにクエン酸を加えることでキレート作用によって
カルシウムが結晶化するのを防ぐことができます。
※キレート作用というのは、イオンを他の分子が取り囲むことです。
結果として他の分子と反応しにくくなることがあります。
しかし、一度、結晶として石のように固まってしまったカルシウム化合物は
もう水に溶けていませんから、イオンの形をしていないので
キレート作用で溶けることは期待しにくいんです。
つまり、
クエン酸を入れておくと、カルシウムは結晶化しにくくなる。
が、すでに結晶化したカルシウムに対しては効果が弱い。
ということです。
とはいえ、常にクエン酸を水に溶かしておくと
ハイターやカビキラーを使ったときに「混ぜるな、危険!」を冒すので
それも難しい。
クエン酸は手軽に、手に入る酸の中で『安全』という点で重要ですが、
その洗浄効果に関しては、決して高い部類ではないわけです。
その点、カルシウム化合物の中では比較的、
塩化カルシウムが溶けやすい部類に入ります。
微生物の培養で、カルシウムイオンを加えるときには
塩化カルシウムとして試薬を加えるぐらい。
ということは、「塩化物イオン」を加えてやると固まったカルシウムの類も
「塩化カルシウム」として溶かしだすことができることになります。
で、「塩化物イオン」そのものを使った酸が「塩酸」なので、
塩酸をかけてやれば、カルシウム化合物の石のような結晶も
それなりに溶かしてやることができる、ということです。
おなじみの「サンポール」は、その塩酸を使った製品。
塩酸濃度は9.5%だそうです。
一般的な試薬として使われる塩酸濃度が35%ぐらいなので
大体1/3ぐらいの濃さ。
経験的に言えば、まあまあの効果でカルシウム化合物を溶かせる濃度でしょう。
微生物の培養をするときにカルシウムを入れます。
最初は塩化カルシウムで入れますから溶けた状態。
でも他にも、硫酸アンモニウムや、硫酸マグネシウム、リン酸カリウムなど
色々なものを追加します。
培養が進むにつれてアンモニアが使われ、硫酸イオンが残るせいで
硫酸カルシウムを中心とした石のような結晶が出てくるんです。
なので、ガラスの三角フラスコや培養装置の壁面には
どうしても白い石のような結晶が残ってしまいやすい。
これを洗浄するために、僕は塩酸を使っていました。
急ぐ時は、ほぼ原液のままドバドバ入れるんです。
塩酸の原液は煙が出て、目や鼻がツーンとしみるほどですが
まぁ、気にしない。
で、ものの数分も置けば、カルシウム化合物の結晶も柔らかくなり
ちょっと擦っただけで簡単に落ちてくれました。
サンポールの濃度は、その塩酸濃度の1/3ですが
原液を紙に染み込ませて放置すれば効果は期待できると思います。
ただし、金属は腐食する可能性のある濃度なので
配管やシンクでは避けたほうが無難でしょう。
ステンレスの種類によっては強いものもありますが、
光沢を出しているタイプのものは白っぽくなる可能性があります。
ということで、理論的にも経験的にも
石状に固まったカルシウム化合物の頑固な汚れには
サンポールは有効だろうというわけです。
が、そんなのは当たり前の話。
古くから使われている製品でしょうし。
実は、僕が一番ラクをしたいときに使っていたのは塩酸じゃないんです。
『乳酸』。
乳酸カルシウムの溶解度は非常に高い。
水によく溶けます。
なので、石のようにカチカチに固まった大きなカルシウム化合物でも
乳酸の試薬を、チョットかけるだけで溶けてしまいます。
シュワシュワと泡を出しながら、みるみる溶けていくんです。
こすらなくても良いぐらい。
ただ、乳酸のほうが高額ですし、洗い物のために使う試薬ではないので
そんなに使っていたわけではありませんが。
それにしても乳酸のカルシウム溶解力は非常に高い。
なので、乳酸を配合した洗浄剤を使えば掃除もラクチンだろうと思っていました。
しかし業者用というのを見ても乳酸は入っていませんでした。
…と思っていたら、あったんです。
KINCHOの「サピカ サンポールスプレー」!
これは薄いですが、主成分は乳酸と中性洗剤。
理論的には効果が高いはずです。
まぁ、濃度が薄いので長時間染み込ませるか、繰り返し使うか、
別の工夫が必要だとは思いますが。
個人的には興味津津の製品です。
残念なのは、サピカの存在を知る前に、全てのトイレ掃除を
力技で終えてしまったということ。
目の細かい耐水サンドペーパー(1500番)で擦り落としました。
傷をつけずに綺麗サッパリ。
新品同然にピカピカに輝いていますから、乳酸入り洗浄剤の効果を試せるのは
また随分と先の話になりそうです。
この記事へのコメント
1. Posted by 中沢 2014年12月19日 19:19
急ぎでお願いします、
昨日、泡キッチンハイターで
三角コーナーとまな板を泡をかけ
30秒で
まず、三角コーナーを洗いながすと
白い煙?の様なものが湧いて
あわてて
水道水を流し通しました、
まな板はそんな事なかったのです。
匂いがきつく1時間ほどきえませんでしたが、
大丈夫でしゅうか?
食器洗いが花王のジョイ
クエン酸入りですが
一緒に混ぜたわけでもないです。
昨日、泡キッチンハイターで
三角コーナーとまな板を泡をかけ
30秒で
まず、三角コーナーを洗いながすと
白い煙?の様なものが湧いて
あわてて
水道水を流し通しました、
まな板はそんな事なかったのです。
匂いがきつく1時間ほどきえませんでしたが、
大丈夫でしゅうか?
食器洗いが花王のジョイ
クエン酸入りですが
一緒に混ぜたわけでもないです。
2. Posted by 原田 2014年12月20日 01:21
中沢さま
それはビックリされたことでしょうね。
ハイターを使って煙のようなものが出たとすると塩素ガスの可能性が思いつきます。何か酸性のものが残っていて、それと反応したのかもしれません(クエン酸入りがどの程度かは分かりませんが…)。他にも、固形物にかけたときにも白い泡が出ることがありますが、これについては詳しく調べようがありませんので、すみませんが分かりかねます。
いずれにせよ、サンポールやお酢、クエン酸などと直接混ぜない限りは、それほど激しいことにはならないと思います。特に、三角コーナーなどにこびりついたものや、トイレの尿石にかけたときなど、多少の泡が出ることはあるような印象をもっています。充分に換気をしていれば問題のない範囲ではないでしょうか。
それはビックリされたことでしょうね。
ハイターを使って煙のようなものが出たとすると塩素ガスの可能性が思いつきます。何か酸性のものが残っていて、それと反応したのかもしれません(クエン酸入りがどの程度かは分かりませんが…)。他にも、固形物にかけたときにも白い泡が出ることがありますが、これについては詳しく調べようがありませんので、すみませんが分かりかねます。
いずれにせよ、サンポールやお酢、クエン酸などと直接混ぜない限りは、それほど激しいことにはならないと思います。特に、三角コーナーなどにこびりついたものや、トイレの尿石にかけたときなど、多少の泡が出ることはあるような印象をもっています。充分に換気をしていれば問題のない範囲ではないでしょうか。