2012年12月28日
SF小説
この本は、とても面白かったです。

シュレ猫がいく! ブレーンワールドへの大冒険
表紙の感じからすると、あまり真面目な感じには見えないかもしれませんが
内容は非常に刺激的です。
ジャンルとしてはSF小説なんでしょうか。
著者自身は謙遜して「サイエンス・ファンタジー」と呼んでいるようですけれど。
(SFは「サイエンス・フィクション」なので)
まず読み物としても面白いんです。
あまり小説を読まない僕がワクワクしながら読み進めました。
そして各章末についてくる素粒子物理や宇宙の話が好奇心をそそります。
サイエンス・ライターだからこそ、という感じの
難しい物理の話を分かりやすく説明してくれる部分が、
本文の小説と見事に対応しているんです。
「サイエンス・ファンタジー」ですから、現実には分かっていないことばかりで
空想上の話として物語が進みながらも、おそらく
そのような方向性が未来の科学として最も説得力があるんだろうと感じさせてくれる。
例えば、タイムマシンやワープなんかの話も
なんだか本当にあり得そうな雰囲気がしてきます。
タイムマシンについて良く言われる
「タイムマシンが未来に開発されているとしたら
誰かが未来からやって来ていても不思議ではない。
でも誰も未来から来ていないのだから、
それはこの先もずっとタイムマシンは生まれない、という意味だ」
といった話にも、矛盾なく物語が作られています。
もちろん、それは
「タイムマシンで過去にやってきて誰かと接触すると
未来が変わってしまう可能性がある。
だから、未来から来ている人達は、コッソリと観察しているだけなんだ。」
というストーリーではありません。
この本では
「タイムマシンは、タイムマシンが作られた時期までしか
過去に戻ることができない」
という設定で進みます。
僕は物理に関して素人なので感心させられっぱなしでしたが
もしかしたら少しでも知識があれば当たり前のことなのかもしれません。
ですが、「あり得そうかどうか」を現在の物理の知識と照らし合わせて
その上で、もっともらしい空想の物語を作るのは、
専門知識のある人が素人に情報を伝える上で
とても有効なアプローチだと思います。
あくまでファンタジー(フィクション)だという体裁をとっていますから
「それは、現時点では言い過ぎじゃないか?」という専門家の指摘も受けにくい。
それでいて、正確さに固執するあまり面白みがないという事態も避けられます。
「もしかしたら、未来はこんな風になるのかも…」
と遊び心から興味を広げられるんだと思います。
分からないことは「分からない」としてファンタジーにする。
誠実な姿勢だと感じます。
何も信じる必要がないわけですから。

シュレ猫がいく! ブレーンワールドへの大冒険
表紙の感じからすると、あまり真面目な感じには見えないかもしれませんが
内容は非常に刺激的です。
ジャンルとしてはSF小説なんでしょうか。
著者自身は謙遜して「サイエンス・ファンタジー」と呼んでいるようですけれど。
(SFは「サイエンス・フィクション」なので)
まず読み物としても面白いんです。
あまり小説を読まない僕がワクワクしながら読み進めました。
そして各章末についてくる素粒子物理や宇宙の話が好奇心をそそります。
サイエンス・ライターだからこそ、という感じの
難しい物理の話を分かりやすく説明してくれる部分が、
本文の小説と見事に対応しているんです。
「サイエンス・ファンタジー」ですから、現実には分かっていないことばかりで
空想上の話として物語が進みながらも、おそらく
そのような方向性が未来の科学として最も説得力があるんだろうと感じさせてくれる。
例えば、タイムマシンやワープなんかの話も
なんだか本当にあり得そうな雰囲気がしてきます。
タイムマシンについて良く言われる
「タイムマシンが未来に開発されているとしたら
誰かが未来からやって来ていても不思議ではない。
でも誰も未来から来ていないのだから、
それはこの先もずっとタイムマシンは生まれない、という意味だ」
といった話にも、矛盾なく物語が作られています。
もちろん、それは
「タイムマシンで過去にやってきて誰かと接触すると
未来が変わってしまう可能性がある。
だから、未来から来ている人達は、コッソリと観察しているだけなんだ。」
というストーリーではありません。
この本では
「タイムマシンは、タイムマシンが作られた時期までしか
過去に戻ることができない」
という設定で進みます。
僕は物理に関して素人なので感心させられっぱなしでしたが
もしかしたら少しでも知識があれば当たり前のことなのかもしれません。
ですが、「あり得そうかどうか」を現在の物理の知識と照らし合わせて
その上で、もっともらしい空想の物語を作るのは、
専門知識のある人が素人に情報を伝える上で
とても有効なアプローチだと思います。
あくまでファンタジー(フィクション)だという体裁をとっていますから
「それは、現時点では言い過ぎじゃないか?」という専門家の指摘も受けにくい。
それでいて、正確さに固執するあまり面白みがないという事態も避けられます。
「もしかしたら、未来はこんな風になるのかも…」
と遊び心から興味を広げられるんだと思います。
分からないことは「分からない」としてファンタジーにする。
誠実な姿勢だと感じます。
何も信じる必要がないわけですから。