2013年08月31日

言葉遣いに気をつけて

僕は”無意識”という言葉を安易に使わないようにしています。

それは世間一般で使われる”無意識”という単語が
指し示しているものが非常に曖昧だからです。

”潜在意識”といった場合には、さらに曖昧さが上がる気もします。

”無意識”が曖昧なんですから、当然、”意識”という言葉もいい加減。
心理学では”意識”と”注意”と”知覚”は明確に定義されていますが
一般的に使われる”意識”という単語は、遥かに幅広い意味のようです。

ただ、そうは言っても心理学では、そもそもの”心”の定義に限界がある。

一方、僕は催眠もやったとはいえ、
安易に”無意識”という便利な機能に逃げるのが嫌だったので
NLPが提唱する”プログラム”という発想を重視してきました。

まぁ実際には、NLPでも平気で”無意識”という言葉を使って説明して
細かい心の内側のプロセスを誤魔化すケースは多いようなんですが。

それに対して、徹底的に”プログラム”の観点で心の仕組みを捉えると
”無意識”という一言でひっくるめて示されている内容にも
明確な違いがあることが見えてきます。

実際に何が起きているか、といったプロセスは
”無意識”と呼ばれている範疇でも様々なんです。

それは説明の仕方としても、理解の仕方としても曖昧だと思います。

テレビのデジタル放送とアナログ放送の両方をひっくるめて
”テレビの電波”と呼んでしまっている感じ。

別に支障はないと思うかもしれませんが、世間には、喩えていうなら
「テレビは電波を受信すれば見れますから、アンテナを立てて下さい」
と言いながら、地デジアンテナとアナログ放送用のアンテナを
本人も違いを理解しないまま、無作為に売っているような人もいるんです。

それでアナログ用のアンテナを買ってしまった人から
「すみません、テレビ映らないんですけど」
と言われたら
「あぁ、人は皆違います。上手くいかないこともあります。
 大事なのは、”上手くいかなかったら、違うやり方をすることです。
 こちらのアンテナを試してみましょう。」
なんていって、また無作為に別のアンテナを試したりする。

それで運よく地デジ用のアンテナが相手の手に渡ったとき
「ほら、テレビは結局、電波を受信するかどうかなんです」
なんて結論に達して。

そんな感じの現実的な不都合が起きている可能性があるわけです。
色々なことを全て”無意識”の一言で片づけることによって。

もちろん、細かく考えるのが嫌いな人もいますし、
「何回か試してみて、上手くいくまでやり直せばいい」
といった発想を受け入れる人もいるでしょう。

ただの好き好きの問題として、僕はそういうスタンスが嫌なんです。
ちゃんと区別して理解したい。

実際に心の中で起きているプロセスが違っているのに
色々な物をまとめて1つの呼び方にしてしまうのは
理解しているように感じられないんです。

専門家って、そういうものじゃないでしょうか?
分かっているほど、細かな違いを気にするように思います。

リンゴ農家の人なら、リンゴの種類の違いを気にするでしょう。
僕は心を専門に見たいので、心の仕組みの違いが気になるんです。

ということで、僕は”無意識”という言葉を使わない形で
心の仕組みを説明するように気をつけてきました。

その結果、反対のプロセスとして”意識”が理解できてくる。

世間一般の常識だと
 ”意識”のほうが身近で、良く知ったもので
 ”無意識”は不思議で良く分からないもの
といった印象があるかもしれません。

セミナーをやっていて
「無意識って何なんでしょうね?」
といった質問は受けたことがありますが
「意識って何なんでしょうね?」
と聞かれたことはありませんから。

多くの人は、”意識”を当たり前のことと勘違いしています。

一般的な”無意識”という用語がザックリと言い表しているものを
「何が起きているか」という観点から見ていくと、
むしろ”無意識”のほうが標準であるように思えてきます。

つまり”意識”のほうが特殊な状態であって、
”意識”を説明するほうが、はるかに大変だ、と。

それでも、プログラムの観点をベースに
プログラムでは説明できない『人の内面に起こる現象』を眺めると
世間一般で”意識”と呼んでいるものも、
ある程度は区別できるようになってきます。

”無意識”の中身と”意識”の中身の両方が
徐々に見えてくるわけです。

そうして、おぼろげな全体像が浮かび上がってくる。

その全体像は、僕が以前に”心”として捉えていたものとは
全くの別物でした。

衝撃的なぐらい違っていました。

僕は割りと世間の常識的な発想にも注意を向けているつもりですから
一般常識として共有されている”心”の定義も
なんとなく把握していると思っています。

そして、その常識的な”心”の定義は、
僕の以前のイメージと大差ないと思います。

ですから、徹底的に”心”とは何かをプログラムの観点で見ていったら
かなり非常識な結論が導かれてしまったということです。

ただ、僕個人の中では、その理解の仕方はかなり説得力があるようです。

ふとした瞬間に、自分がこんなにも
その捉え方を評価しているのかと気づいたりします。

それは自分の書く文章や話の中で
説明に使う言葉の選び方に表れていました。

”無意識”や”意識”という言葉を安易に使わないようにしてきたのと同様に、
それ以前から僕は、”心”という単語を安易に使わないようにしていました。

自分の中で納得いくほど分かっていませんでしたから。
”心”っていう単語が指し示すものが分かっていない以上、
安易に”心”という言葉を使わないようにしようとしていたんです。

ところが最近、知らないうちに自分の中から
”心”という単語が出てきていることに気づきます。

自分の中で、「”心”とは何か」が整理されてきているんでしょう。

これはチョットした驚きでした。

cozyharada at 23:11│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | 心理学

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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