2013年12月14日

チーズは動くか?

以前に『チーズはどこへ消えた?』という本が流行りました。

原題は『 Who Moved My Cheese? 』だそうです。
直訳するなら「私のチーズを誰が動かした?」。

英語のタイトルには
「誰かが自分のチーズを、どこかへやってしまった。
 いったい誰がやったんだ?」
というニュアンスがあるように感じられます。

言語的に英語のほうが主語を明確にするとかいった話以外にも、
「状況を説明する際に、どこに注目するか」に違いがあるんでしょう。

自分のチーズを置いておいた。
気づいたら、その場所にチーズがない。
…この状況に対して、どういう感想を持つか?ということです。


日本人の場合、
「あれ、チーズがな無くなっている。どこへ行ったんだ?」
とチーズに焦点を当てて、状況を述べやすい。

「あ、チーズがない。誰が取ったんだ?」と
取ったであろう誰かの責任を思い浮かべる人は少ないんじゃないでしょうか。

もちろん、冷蔵庫の中のプリンが無くなっていて
同居している家族がいるのであれば
「あ、取られた!」と考えるかもしれませんが、
それでも「あれ、どこに置いたかな?」と
自分の記憶を疑う人も多いと思われます。

一方、英語(もしくはアメリカ)の場合、
「あれ、チーズが無くなっている。誰がやったんだ?」
という発想が出やすいのでしょう。

「誰が取った?」と考えるか、
「誰が別の場所に動かしたんだ?」と考えるかは
個人差がありそうですが、それでも人に注意が向くようです。

そっちの発想のほうが一般的だから、
「誰が私のチーズを動かしたんだ?」
というタイトルにしたと想像されます。

『 Where has my cheese gone? 』ではないんです。
これだとチーズが自分で勝手に動いていったイメージなんでしょう。

チーズがなくなるには誰かが関わっている。
その人に注意が向くという話です。

それが日本の場合、
「あれ、チーズはどこにいったんだ?」
とチーズに注意が向く。

英語のほうが言語的に
 動作の主体と、その主体がどのような影響を及ぼすか
へ注目しやすい特徴もあると考えられます。

おそらく、例えば「会社の業績が上がった」といった話でも
日本語なら「山田さんが社長になってから業績が上がった」と言い、
英語だと「新しく社長になった山田さんが業績を上げた」と
言いやすいんじゃないかと推測されます。

英語の他動詞は、まさにそういう影響を説明する単語だといえます。
勝手に何かが変わるのではなく、何かが変えているという発想。

言い換えると、日本人のほうが状況全体を捉えるのに対して、
英語圏の人のほうが影響の方向性を捉えやすい、となります。

実際、写真を見せたときにも英語圏の人のほうが
その中で目立つ、動く(はずの)モノに注目して、
日本人のほうが全体を眺めるという心理学の実験があります。

言語と関係した注意の向け方の違いが責任の所在意識に関連して、
それが本のタイトルのニュアンスにも関係したということなんでしょう。


ちなみに、人の責任をハッキリさせる傾向も
アメリカのほうが強そうな印象がありますが
(裁判の多さ、議論やケンカの傾向などを含めて)、
そちらは必ずしも言語とばかり関係していないようにも思えます。

失敗に対しては、日本人も相当に責任意識が強いようですから。

仮に花瓶を落っことして割ってしまったとしたら
「すみません。私が割りました。」
と言うのは自然だと思います。

ロシア人のステレオタイプでは
「花瓶が落ちて割れました。」
と表現するんだとか。

こちらは文化的な影響が関係していそうです。

cozyharada at 20:14│Comments(0)TrackBack(0)clip!心理学 | NLP

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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