2014年09月02日
【セミナー】新・カウンセリング講座:「総集編」
ご案内: 9月15日(月・祝)開催
新・カウンセリング講座 〜まとめと実践〜
今年の4月、5月で開催していたカウンセリング講座、
その総集編です。
復習と実践練習に主眼を置きながら、
『全体の流れ』の捉え方
をトレーニングする予定です。
手法として中心になるのは
・非言語メッセージから感情を捉えて
・感情と結びついたテーマを絞り込み、
・その後の対処(ワーク)につなげる
という流れです。
感情の種類によって、ワークとして取り組む方向性が異なります。
怒りは発散する。
悲しみは感じ尽くして、リフレーミングする。
報われなさは、ねぎらう。
罪悪感は、ゆるす。
まずは、感情のわだかまりを解消するわけです。
それが済んでいないと、いくら頭で考えても
「うーん、でもやっぱり…」
といった感じで、わだかまりの部分が顔を出してきます。
その場では行動レベルの対処法や解決策が思いついても
それを日々の中で実際に行動へ移せるかとなると
そこにギャップが出てくることもあります。
考えが整理できない。
分かっているけど行動に移せない。
…いずれも、感情のわだかまりが止めているんです。
ですから、話が進まないとき、話が堂々巡りになるときの多くは
わだかまった感情を処理できていないときだといえます。
カウンセリングを着実に前へ進めるために、
まず感情のわだかまりを解消する。
それから、「その問題状況を具体的にどうしていくか」という
対処のレベルに進みます。
いわゆるアドバイスは、そうした問題状況への対処法が大半ですが、
多くの人は感情のわだかまりがあるにもかかわらず、
具体的な対処法を提案するので、受け入れてもらいにくいんです。
頭では、その対処法が役立ちそうだと分かっていても
感情として乗り気にならない。
先に感情のケアが済んでいて、わだかまりが解消されていれば
「じゃあ、実際にどうしていきましょうか?」という話し合いや
「こういう方法を試してみてはどうでしょうか?」という提案が
効果を発揮するようになるわけです。
何より、相談する動機となる「苦しさ」が解消されます。
「苦しさ」こそが、感情のわだかまりと結びついています。
感情を最優先でケアするのは、
少しでも早く楽になってもらうためでもあるんです。
今回の講座では、こうしたカウンセリングの流れを整理してから
実際の流れを想定して練習を行います。
特に、
『どの感情を解消したいのか?』
を絞り込んだ段階で、
その後の流れを予測する
という実習も取り入れるつもりです。
「こういう話題について、こんな感情があるようだから
まずは、その感情を解消します。
そうすると、きっと奥にあるこの感情が出てくるので
その感情の解消に移っていくと想像されます。
それが解消されたら、おそらくスッキリするでしょうから、
そこで具体的な話題に戻って、こんな対処法を提案します。」
といった感じ。
この作業によって、一般的に感情がどのように処理され
どうやって問題が解決されていくかを理解しやすくなります。
さらに、解消する感情を絞り込むまでの流れを振り返ることで
それぞれの発言の意味を明確にするトレーニングも行います。
例えば、「状況を具体的に聞く」というのは
カウンセリングの一般的なイメージかもしれませんが、
それを何のために行うかを自覚しているケースは少ないようです。
多くの場合、実際の状況を解決するための具体的対処を考えるのに
”カウンセラー自身”が状況を詳しく知りたいだけと見受けられます。
それが悪いわけではありません。
ただ順番の効率が良くないだけ。
まずは感情を解消する。
それから問題解決を考える。
具体的な状況をカウンセラー側が把握するのは
感情を解消した後だって構わないんです。
一方で、話を具体的にしたほうが、そのときの場面が思い出されて
わだかまりとなっている感情が強く表れる、という側面もあります。
感情は場面の記憶に結びついていますから、
その場面を思い出してもらえば、非言語メッセージに表れる
感情の度合いが強くなるわけです。
それだけ感情を捉えやすくなる。
ですから、
「感情を絞り込むために、
ハッキリと感情のわだかまりを把握したい。
そのために、話を具体的に聞いて、非言語メッセージを強め
重要な感情を確実に捉えられるようにする。」
という目的もあるんです。
状況を具体的に聞くという行為1つとっても、
何を目的にしているのかによって意味が違うものなんです。
こうしたコミュニケーションの意味を1つ1つ明確にしておくと
カウンセリングの無駄が省かれていって、
重要な部分を逃しにくくなっていくはずです。
このあたりのトレーニングとして、ビデオを使った振り返りを行います。
それから、ご参加の方の様子を見ながらになりますが、
『カウンセリングの最中に、自然な形で感情のケアを済ませる』
練習もやるかもしれません。
つまり、感情の解消を「ワーク」という形で行うのではなく、
話の流れの中で、言葉がけを通じて行う、ということです。
これができると、具体的な問題解決の対処法までが
話し合いの形だけで進められるようになります。
一般的なカウンセリングのイメージとしてありがちな
「色々と相談して、解決策を見出す」という形は、
会話の中で『感情の解消』も行われるから可能になるものなんです。
人によっては、長く話を聞いているうちに自然と感情が解消されたり、
なんとか優しい言葉をかけてあげようとしているうちに
自然と感情を解消させる一言を発していたり…、
意図せずに感情のわだかまりをケアしていることもあるようです。
この部分を意図的に行えるようになると、
話の流れの中で優先的に感情のケアをして、
非言語メッセージからスッキリした様子がうかがえてきたら
具体的な対応策のほうへ話をシフトしていく
といった流れが可能になります。
福祉系の相談援助の場合には、心理療法のようなワークをしませんから
感情のわだかまりを解消するワークは使いません。
その分、言葉を通じて、感情のケアをするわけです。
このケアが早い段階でできるほど、援助内容の話し合いがスムーズになります。
原則は常に、
『感情のわだかまりを捉えて、解消するのを最優先にする』
ことです。
その解消の手段を「ワーク」にするのか、「言葉がけ」にするのか。
ここに場面設定の違いが生まれます。
カウンセラーやセラピストであれば、ワークが使えます。
福祉の相談援助や、電話相談ではワークが使いにくい。
そういう場面設定の違いです。
ただし、これまでのトレーニングの経験上、
『感情のわだかまりを最優先で解消する』
ということの重要性を身につけてもらうには、
感情の解消をワークで行う形式に慣れてもらってからのほうが
効果的なようなんです。
ですから、まずは
・非言語メッセージから感情を絞り込み、
・わだかまった感情を解消するワークに移る
・感情がスッキリしたら、具体的な対応策を相談する
という流れを強調したわけです。
これを会話だけで行うとしたら
・非言語メッセージから感情を絞り込み、
・わだかまった感情を解消するための言葉をかける
・感情がスッキリしたら、具体的な対応策の相談にシフトする
という感じでしょうか。
ただ、この「感情がスッキリしたら」の部分が
会話だけで進めていくときには不明瞭なんです。
どうしても、感情のケアが不十分なまま、
具体的な対応策へ話を進めやすくなる。
そのために、原則をしっかりと掴めるよう
・非言語メッセージから感情を絞り込み、
・わだかまった感情を解消するワークに移る
の流れを強調しているということです。
本質的には、会話だけで全てを行うほうが高度なんです。
ワークが基礎。
言葉がけと質問が応用。
そんな前提なので、
ご参加のみなさんの様子を見ながら
会話だけでカウンセリングを行うための手法を練習するか
決めていきたいと考えています。
強いご要望があれば含めることにしますが、
一応「余裕を見ながら」ということで、ご理解ください。
援助的なコミュニケーションで最も重要なのが
感情の取り扱いだと思われます。
全ての方に必要な技術だとは考えていません。
必要だと思われる方には、是非
お役立ていただきたいと願っています。
※ 初めての方でもご参加いただけます。
その場合、ワークの進め方やフィードバックの内容などには
個人差が出ることがあります。
その点はご了承ください。
土台となるポイントを心がけて取り組んで頂ければと思います。
◆録音/録画、再生機材に関しまして
実習の模様は録画・録音を元に振り返ると学びが多いものです。
特にクライアントの非言語メッセージを見逃していないかチェックしたり、
迷いが生じた部分を吟味したりできるのは、録画の強みでしょう。
講座中にも、ビデオを使った振り返りも行う予定です。
自宅で見直したい方は、ビデオカメラをご持参ください。
こちらでも1台用意しておきます。
必須ではありませんが、ご活用をお勧めいたします。
また、講座全体の内容は、ICレコーダーやビデオなどで
記録いただいても構いませんが、あくまで
個人的なご利用の範囲でお願いいたします。
※ただし、プライベートな内容の扱いに関しましては
十分にご配慮ください。
【セミナーの詳細】
≪新・カウンセリング講座 〜まとめと実践〜≫
【日時】 9月15日(月・祝)
10:00〜16:30
※開始時間にご注意ください
※終了時間は30分程度まで前後する場合があります。
【場所】 滝野川会館 304集会室
(JR京浜東北線・上中里駅 東口より徒歩7分)
(東京メトロ南北線・西ヶ原駅より徒歩7分)
(JR山手線・駒込駅 北口より徒歩10分)
【参加費】 ・・・15,000円
当日、会場にてお支払いください。
★定員に達した場合、キャンセル待ちとして受付させていただくことになります。
ご了承ください。
終了しました
思い返せば、「人の心を理解する」といいながら
理解できている状態さえ想像できていなかったものです。
とにかく分からなかった。
だから、どうしたら良いかも分からないまま
人の心を分かるのに役立ちそうなことを色々とやりました。
「相手の気持ちを知りたいなら、相手に話してもらえばいいだろう」
そう考えて、とにかく相手が話しやすい状態を作って
深い想いを口にしてくれるまで聞き続けたこともあります。
あるいは、質問によって相手の気持ちを引き出そうとして
様々な質問法を勉強したこともありました。
しかし、人には口に出したくないこともある。
気づくタイミングではないこともある。
聴き続けたり、質問し続けたりすることで
無理やりに言葉を引き出していたこともあったと思います。
それは「気づかせる」ことを試みながら、ともすると
「傷つける」ことだったのかもしれません。
何よりも、沢山聞けば相手の気持ちがわかる、という発想には
前提として大きく抜けている部分があります。
人は自分の気持ちを自覚していない、ということです。
気づいていないことは話せません。
ほとんどの人は、自分の言動に対して無自覚なんです。
自動的に、これまでの延長で反応していることが大半なんです。
それで「無意識」とか「潜在意識」と呼ばれるものに興味を持ちました。
自覚していない部分が沢山あって、意識できないものなのだとしたら
「無意識」の仕組みを理解すれば良いんだろう、と。
催眠だとか、サブリミナル・テクニックだとか、
潜在意識を味方につける方法だとか、無意識を騙す手法だとか、
色々なものを調べました。
その大半の情報は
「無意識には、こういう性質がある」
のように傾向を説明するものでした。
そこにメカニズムはないんです。
「こういうものなんだ」という説明だけ。
経験的には、そういう説明に沿って実践してみると
確かに予想通りの結果になることはありました。
経験則としては役立つものだったかもしれません。
でも、「人の心が分かる」わけではない感じがしました。
自分も相手も分からないけれど、とにかく
こういうやり方をすると無意識に影響を与えられる。
そんな感じ。
それが役に立つかどうかと、
「人の心が分かる」ものかどうかとは無関係です。
相手を理解するのには繋がらず、むしろ
「相手の無意識がこういう風に働いているから」と
相手の心が分からない理由を探すのに使うこともあった気がします。
だから無意識を支えている仕組みを調べようとしました。
脳と心の関係についても調べました。
心理学も調べました。
すると見えてきたのは、結局、あまり分かっていないということ。
そもそも「意識」というものが分かっていないんです。
なのに「意識」を当たり前の出発点として説明を始める。
「意識」を当たり前のこととして、「無意識」を想定するわけです。
「意識」を当たり前のこととして、人の反応パターンを調べるわけです。
出発点がズレているんだと思います。
意識という当たり前のものを、心の中心として想定しない。
無意識という得体のしれないものを想定しない。
人の心を理解するのに必要なのは
一瞬一瞬で切り替わる反応だけです。
感情と思考と動作を伴った反応。
それが刻一刻と移り変わっていく。
本人が意識していようが、していなかろうが関係なく
ただ反応は次々に出てくるものなんです。
ここで重要なのが感情だったんです。
思考の中身は他者からは見えません。
でも、動作や非言語メッセージに込められた感情は見えます。
感情を区別して捉える事が、次々と移り変わっていく反応を
1つずつ着実に把握するための手段なんです。
そして感情の奥には、意図があります。
期待していることがあるんです。
人は、その期待にも無自覚になっています。
無自覚にしている期待があって、期待通りのことが起きれば
感情として喜びや嬉しさが生まれます。
期待が外れれば不満が生まれます。
感情を入り口にして、意図を探る。
それが「人の心を分かる」ために、最短の方法じゃないかと思います。
そういう理解にいきつきました。
『何を期待していて、どんな感情が起きているのか?』
それこそが「人の気持ち」の本質じゃないでしょうか。
人の心の中では、一瞬一瞬
それぞれの期待に基づいて反応している部分が
たくさん入れ替わっているようです。
「人の気持ち」は1つではない。
様々に移り変わっていくんです。
それぞれを『期待(意図)』と『感情』の2つの観点で捉える。
そうすると、本人が意識していようが、無意識のままだろうが、
相手の中にある気持ちの1つとして把握できるようになります。
「言いたくない」という気持ちだって
「まだ気づきたくない」という気持ちだって、
数ある気持ちの1つとして捉えられるようになるんです。
『期待(意図)』と『感情』です。
すごくシンプルな結論です。
そしてシンプルだからこそ、ごまかしが効かないのかもしれません。
観察力と共感力と想像力が問われます。
知識ではない。
人の心が分かるようになるために必要なのは
勉強ではなくて、トレーニングのはずです。
もちろん、完全に分かるようになるわけではありません。
しかし実際のところ、本人だって自分の気持ちに気づいていないんです。
その意味で、トレーニング次第では
本人よりも分かるようになるのだって可能でしょう。
カウンセリングのトレーニングが役に立つのは、
必ずしもカウンセリングで問題を解決しようという場合に限らないわけです。
相手の気持ちを捉えられるようにするトレーニングとして
とても実用的なものだと考えられます。
相手の感情を観察して、
背後にある意図をくみ取って、
感情をケアするように関わる。
これが何よりの助けになるものでしょう。
気持ちがスッキリしたら、それだけで前に進める人は多いようです。
だからこそ、感情レベルのサポートが効果的なんです。
お越しをお待ちしています。
新・カウンセリング講座 〜まとめと実践〜
今年の4月、5月で開催していたカウンセリング講座、
その総集編です。
復習と実践練習に主眼を置きながら、
『全体の流れ』の捉え方
をトレーニングする予定です。
手法として中心になるのは
・非言語メッセージから感情を捉えて
・感情と結びついたテーマを絞り込み、
・その後の対処(ワーク)につなげる
という流れです。
感情の種類によって、ワークとして取り組む方向性が異なります。
怒りは発散する。
悲しみは感じ尽くして、リフレーミングする。
報われなさは、ねぎらう。
罪悪感は、ゆるす。
まずは、感情のわだかまりを解消するわけです。
それが済んでいないと、いくら頭で考えても
「うーん、でもやっぱり…」
といった感じで、わだかまりの部分が顔を出してきます。
その場では行動レベルの対処法や解決策が思いついても
それを日々の中で実際に行動へ移せるかとなると
そこにギャップが出てくることもあります。
考えが整理できない。
分かっているけど行動に移せない。
…いずれも、感情のわだかまりが止めているんです。
ですから、話が進まないとき、話が堂々巡りになるときの多くは
わだかまった感情を処理できていないときだといえます。
カウンセリングを着実に前へ進めるために、
まず感情のわだかまりを解消する。
それから、「その問題状況を具体的にどうしていくか」という
対処のレベルに進みます。
いわゆるアドバイスは、そうした問題状況への対処法が大半ですが、
多くの人は感情のわだかまりがあるにもかかわらず、
具体的な対処法を提案するので、受け入れてもらいにくいんです。
頭では、その対処法が役立ちそうだと分かっていても
感情として乗り気にならない。
先に感情のケアが済んでいて、わだかまりが解消されていれば
「じゃあ、実際にどうしていきましょうか?」という話し合いや
「こういう方法を試してみてはどうでしょうか?」という提案が
効果を発揮するようになるわけです。
何より、相談する動機となる「苦しさ」が解消されます。
「苦しさ」こそが、感情のわだかまりと結びついています。
感情を最優先でケアするのは、
少しでも早く楽になってもらうためでもあるんです。
今回の講座では、こうしたカウンセリングの流れを整理してから
実際の流れを想定して練習を行います。
特に、
『どの感情を解消したいのか?』
を絞り込んだ段階で、
その後の流れを予測する
という実習も取り入れるつもりです。
「こういう話題について、こんな感情があるようだから
まずは、その感情を解消します。
そうすると、きっと奥にあるこの感情が出てくるので
その感情の解消に移っていくと想像されます。
それが解消されたら、おそらくスッキリするでしょうから、
そこで具体的な話題に戻って、こんな対処法を提案します。」
といった感じ。
この作業によって、一般的に感情がどのように処理され
どうやって問題が解決されていくかを理解しやすくなります。
さらに、解消する感情を絞り込むまでの流れを振り返ることで
それぞれの発言の意味を明確にするトレーニングも行います。
例えば、「状況を具体的に聞く」というのは
カウンセリングの一般的なイメージかもしれませんが、
それを何のために行うかを自覚しているケースは少ないようです。
多くの場合、実際の状況を解決するための具体的対処を考えるのに
”カウンセラー自身”が状況を詳しく知りたいだけと見受けられます。
それが悪いわけではありません。
ただ順番の効率が良くないだけ。
まずは感情を解消する。
それから問題解決を考える。
具体的な状況をカウンセラー側が把握するのは
感情を解消した後だって構わないんです。
一方で、話を具体的にしたほうが、そのときの場面が思い出されて
わだかまりとなっている感情が強く表れる、という側面もあります。
感情は場面の記憶に結びついていますから、
その場面を思い出してもらえば、非言語メッセージに表れる
感情の度合いが強くなるわけです。
それだけ感情を捉えやすくなる。
ですから、
「感情を絞り込むために、
ハッキリと感情のわだかまりを把握したい。
そのために、話を具体的に聞いて、非言語メッセージを強め
重要な感情を確実に捉えられるようにする。」
という目的もあるんです。
状況を具体的に聞くという行為1つとっても、
何を目的にしているのかによって意味が違うものなんです。
こうしたコミュニケーションの意味を1つ1つ明確にしておくと
カウンセリングの無駄が省かれていって、
重要な部分を逃しにくくなっていくはずです。
このあたりのトレーニングとして、ビデオを使った振り返りを行います。
それから、ご参加の方の様子を見ながらになりますが、
『カウンセリングの最中に、自然な形で感情のケアを済ませる』
練習もやるかもしれません。
つまり、感情の解消を「ワーク」という形で行うのではなく、
話の流れの中で、言葉がけを通じて行う、ということです。
これができると、具体的な問題解決の対処法までが
話し合いの形だけで進められるようになります。
一般的なカウンセリングのイメージとしてありがちな
「色々と相談して、解決策を見出す」という形は、
会話の中で『感情の解消』も行われるから可能になるものなんです。
人によっては、長く話を聞いているうちに自然と感情が解消されたり、
なんとか優しい言葉をかけてあげようとしているうちに
自然と感情を解消させる一言を発していたり…、
意図せずに感情のわだかまりをケアしていることもあるようです。
この部分を意図的に行えるようになると、
話の流れの中で優先的に感情のケアをして、
非言語メッセージからスッキリした様子がうかがえてきたら
具体的な対応策のほうへ話をシフトしていく
といった流れが可能になります。
福祉系の相談援助の場合には、心理療法のようなワークをしませんから
感情のわだかまりを解消するワークは使いません。
その分、言葉を通じて、感情のケアをするわけです。
このケアが早い段階でできるほど、援助内容の話し合いがスムーズになります。
原則は常に、
『感情のわだかまりを捉えて、解消するのを最優先にする』
ことです。
その解消の手段を「ワーク」にするのか、「言葉がけ」にするのか。
ここに場面設定の違いが生まれます。
カウンセラーやセラピストであれば、ワークが使えます。
福祉の相談援助や、電話相談ではワークが使いにくい。
そういう場面設定の違いです。
ただし、これまでのトレーニングの経験上、
『感情のわだかまりを最優先で解消する』
ということの重要性を身につけてもらうには、
感情の解消をワークで行う形式に慣れてもらってからのほうが
効果的なようなんです。
ですから、まずは
・非言語メッセージから感情を絞り込み、
・わだかまった感情を解消するワークに移る
・感情がスッキリしたら、具体的な対応策を相談する
という流れを強調したわけです。
これを会話だけで行うとしたら
・非言語メッセージから感情を絞り込み、
・わだかまった感情を解消するための言葉をかける
・感情がスッキリしたら、具体的な対応策の相談にシフトする
という感じでしょうか。
ただ、この「感情がスッキリしたら」の部分が
会話だけで進めていくときには不明瞭なんです。
どうしても、感情のケアが不十分なまま、
具体的な対応策へ話を進めやすくなる。
そのために、原則をしっかりと掴めるよう
・非言語メッセージから感情を絞り込み、
・わだかまった感情を解消するワークに移る
の流れを強調しているということです。
本質的には、会話だけで全てを行うほうが高度なんです。
ワークが基礎。
言葉がけと質問が応用。
そんな前提なので、
ご参加のみなさんの様子を見ながら
会話だけでカウンセリングを行うための手法を練習するか
決めていきたいと考えています。
強いご要望があれば含めることにしますが、
一応「余裕を見ながら」ということで、ご理解ください。
援助的なコミュニケーションで最も重要なのが
感情の取り扱いだと思われます。
全ての方に必要な技術だとは考えていません。
必要だと思われる方には、是非
お役立ていただきたいと願っています。
※ 初めての方でもご参加いただけます。
その場合、ワークの進め方やフィードバックの内容などには
個人差が出ることがあります。
その点はご了承ください。
土台となるポイントを心がけて取り組んで頂ければと思います。
◆録音/録画、再生機材に関しまして
実習の模様は録画・録音を元に振り返ると学びが多いものです。
特にクライアントの非言語メッセージを見逃していないかチェックしたり、
迷いが生じた部分を吟味したりできるのは、録画の強みでしょう。
講座中にも、ビデオを使った振り返りも行う予定です。
自宅で見直したい方は、ビデオカメラをご持参ください。
こちらでも1台用意しておきます。
必須ではありませんが、ご活用をお勧めいたします。
また、講座全体の内容は、ICレコーダーやビデオなどで
記録いただいても構いませんが、あくまで
個人的なご利用の範囲でお願いいたします。
※ただし、プライベートな内容の扱いに関しましては
十分にご配慮ください。
【セミナーの詳細】
≪新・カウンセリング講座 〜まとめと実践〜≫
【日時】 9月15日(月・祝)
10:00〜16:30
※開始時間にご注意ください
※終了時間は30分程度まで前後する場合があります。
【場所】 滝野川会館 304集会室
(JR京浜東北線・上中里駅 東口より徒歩7分)
(東京メトロ南北線・西ヶ原駅より徒歩7分)
(JR山手線・駒込駅 北口より徒歩10分)
【参加費】 ・・・15,000円
当日、会場にてお支払いください。
★定員に達した場合、キャンセル待ちとして受付させていただくことになります。
ご了承ください。
終了しました
思い返せば、「人の心を理解する」といいながら
理解できている状態さえ想像できていなかったものです。
とにかく分からなかった。
だから、どうしたら良いかも分からないまま
人の心を分かるのに役立ちそうなことを色々とやりました。
「相手の気持ちを知りたいなら、相手に話してもらえばいいだろう」
そう考えて、とにかく相手が話しやすい状態を作って
深い想いを口にしてくれるまで聞き続けたこともあります。
あるいは、質問によって相手の気持ちを引き出そうとして
様々な質問法を勉強したこともありました。
しかし、人には口に出したくないこともある。
気づくタイミングではないこともある。
聴き続けたり、質問し続けたりすることで
無理やりに言葉を引き出していたこともあったと思います。
それは「気づかせる」ことを試みながら、ともすると
「傷つける」ことだったのかもしれません。
何よりも、沢山聞けば相手の気持ちがわかる、という発想には
前提として大きく抜けている部分があります。
人は自分の気持ちを自覚していない、ということです。
気づいていないことは話せません。
ほとんどの人は、自分の言動に対して無自覚なんです。
自動的に、これまでの延長で反応していることが大半なんです。
それで「無意識」とか「潜在意識」と呼ばれるものに興味を持ちました。
自覚していない部分が沢山あって、意識できないものなのだとしたら
「無意識」の仕組みを理解すれば良いんだろう、と。
催眠だとか、サブリミナル・テクニックだとか、
潜在意識を味方につける方法だとか、無意識を騙す手法だとか、
色々なものを調べました。
その大半の情報は
「無意識には、こういう性質がある」
のように傾向を説明するものでした。
そこにメカニズムはないんです。
「こういうものなんだ」という説明だけ。
経験的には、そういう説明に沿って実践してみると
確かに予想通りの結果になることはありました。
経験則としては役立つものだったかもしれません。
でも、「人の心が分かる」わけではない感じがしました。
自分も相手も分からないけれど、とにかく
こういうやり方をすると無意識に影響を与えられる。
そんな感じ。
それが役に立つかどうかと、
「人の心が分かる」ものかどうかとは無関係です。
相手を理解するのには繋がらず、むしろ
「相手の無意識がこういう風に働いているから」と
相手の心が分からない理由を探すのに使うこともあった気がします。
だから無意識を支えている仕組みを調べようとしました。
脳と心の関係についても調べました。
心理学も調べました。
すると見えてきたのは、結局、あまり分かっていないということ。
そもそも「意識」というものが分かっていないんです。
なのに「意識」を当たり前の出発点として説明を始める。
「意識」を当たり前のこととして、「無意識」を想定するわけです。
「意識」を当たり前のこととして、人の反応パターンを調べるわけです。
出発点がズレているんだと思います。
意識という当たり前のものを、心の中心として想定しない。
無意識という得体のしれないものを想定しない。
人の心を理解するのに必要なのは
一瞬一瞬で切り替わる反応だけです。
感情と思考と動作を伴った反応。
それが刻一刻と移り変わっていく。
本人が意識していようが、していなかろうが関係なく
ただ反応は次々に出てくるものなんです。
ここで重要なのが感情だったんです。
思考の中身は他者からは見えません。
でも、動作や非言語メッセージに込められた感情は見えます。
感情を区別して捉える事が、次々と移り変わっていく反応を
1つずつ着実に把握するための手段なんです。
そして感情の奥には、意図があります。
期待していることがあるんです。
人は、その期待にも無自覚になっています。
無自覚にしている期待があって、期待通りのことが起きれば
感情として喜びや嬉しさが生まれます。
期待が外れれば不満が生まれます。
感情を入り口にして、意図を探る。
それが「人の心を分かる」ために、最短の方法じゃないかと思います。
そういう理解にいきつきました。
『何を期待していて、どんな感情が起きているのか?』
それこそが「人の気持ち」の本質じゃないでしょうか。
人の心の中では、一瞬一瞬
それぞれの期待に基づいて反応している部分が
たくさん入れ替わっているようです。
「人の気持ち」は1つではない。
様々に移り変わっていくんです。
それぞれを『期待(意図)』と『感情』の2つの観点で捉える。
そうすると、本人が意識していようが、無意識のままだろうが、
相手の中にある気持ちの1つとして把握できるようになります。
「言いたくない」という気持ちだって
「まだ気づきたくない」という気持ちだって、
数ある気持ちの1つとして捉えられるようになるんです。
『期待(意図)』と『感情』です。
すごくシンプルな結論です。
そしてシンプルだからこそ、ごまかしが効かないのかもしれません。
観察力と共感力と想像力が問われます。
知識ではない。
人の心が分かるようになるために必要なのは
勉強ではなくて、トレーニングのはずです。
もちろん、完全に分かるようになるわけではありません。
しかし実際のところ、本人だって自分の気持ちに気づいていないんです。
その意味で、トレーニング次第では
本人よりも分かるようになるのだって可能でしょう。
カウンセリングのトレーニングが役に立つのは、
必ずしもカウンセリングで問題を解決しようという場合に限らないわけです。
相手の気持ちを捉えられるようにするトレーニングとして
とても実用的なものだと考えられます。
相手の感情を観察して、
背後にある意図をくみ取って、
感情をケアするように関わる。
これが何よりの助けになるものでしょう。
気持ちがスッキリしたら、それだけで前に進める人は多いようです。
だからこそ、感情レベルのサポートが効果的なんです。
お越しをお待ちしています。