2015年02月13日

名探偵

『名探偵コナン』というマンガがあります。
アニメや映画にもなっていて有名かと思います。

主人公の置かれた不運な境遇には
個人的に感情移入するところもあるんですが、
ちょっと視野を広げてしまうと
それは大した不運ではなさそうに感じられてしまいます。


念のため、このマンガの主人公について補足しておくと、
その人物は高校生でありながら名探偵として知られていました。

それがある事件に巻き込まれ、変な薬を飲まされて
目が覚めた時には体が小学生になってしまっていた、というストーリーです。

高校二年生が小学校一年生になってしまうんですが
頭の中は高校生名探偵のままですから、事件の犯人は推理できてしまいます。

しかし小学生の姿では誰も話を聞いてくれないし
事件に首を突っ込むことさえ許してもらえません。

そのため仕方なく小学生のフリをしながら、間接的に事件解決へ協力します。
上手く周りの大人を動かしたり、時にはボイスチェンジャーを使って
大人が話しているように見せかけたりして、犯人を追いつめるわけです。

この小学生の体をした大人の頭脳の持ち主が
上手いこと子供のフリをしながら事件を解決する様が見どころなんでしょう。

一方、この主人公には恋心を寄せる幼馴染の女の子がいます。
こちらも高校二年生。

高校生名探偵であるはずの主人公は捜査で旅に出たっきりで、
目の前にいる小学生がその主人公だとは思わずに、彼の帰りを待っている。

主人公のほうは、自分が小学生になってしまったことは隠して
高校生の身体に戻れる方法を探し続けている。

そんな側面もあるんです。

つまり主人公としては、おそらく
小学一年生のフリをしながら生活をするのは苦痛であって
なんとか大人(高校生)に戻りたいと願っている、ということです。


高校二年生が小学一年生のクラスに転校することになるようなものですから
その生活がどんなものなのかを想像すると、日々の不満は多そうに思えます。

同級生を友達とみなせるか、一緒に遊ぶことができるか、
授業の時間をどのように過ごすか…。
「なんでこんなことを」と思いながら毎日を過ごしそうな気がします。

ただ主人公の場合は、運が良いのか悪いのか、
頻繁に事件へ巻き込まれますから、探偵としての活動は続けられていて
その意味では全く退屈になってしまったわけではないのでしょう。

しかし目の前にいる幼馴染のことを思っても
やはり早く元の姿に戻りたいとは切に感じるところだろうと想像されます。


しかし、です。

このマンガが好きな人には申し訳ないですが、
高校二年生と小学校一年生の差は10歳しかありません。

もちろん、高校二年生にとっての10年は長いでしょう。
でも10年なんて、大人になれば意外と短く感じられるもの。

10年たてば、問題は大したことではなくなるんじゃないでしょうか。
あと10年我慢するだけで、元通り高校生名探偵に戻れます。
(実際、マンガでは年を重ねることがないので無理なんですが)

精神年齢からすると高校生と友達になることは難しいとしても
学校の勉強は高校二年生で追いつくわけですから、
普通の高校生活・大学生活を送るようになるはずです。

元から高校生名探偵は社会人に受け入れられていましたし、
再び高校生に戻った頃(実際には26年ぐらい生きた頃)
探偵として関わる人たちとも年齢は近くなっていることでしょう。

さらに年を重ね、30ぐらいになれば(実際は40年生きた頃)
「体は30歳、頭脳と心は40歳」という状態ですから、
そのギャップは大したものではないと思うんです。

それぐらいの人は沢山います。
どうみても20代にしか見えない40代女性…なんていうのが
取り上げられるぐらいですから。

確かに一回目に高校生だったときの同級生とは疎遠になりがちでしょうが、
僕だって高校の同級生とは卒業以来、ほとんど会っていません。

体が30歳の頃(実際は40年生きた頃)に、社会人として40歳の人と出会えば
その人とは元々同じ世代だったことになります。
それぐらいの時期になれば、10歳の差をどれぐらい意識するものでしょうか。

そこで友人になるかどうかは、実際に同年齢であるかどうかよりも
もっと個人的な事情のほうが重要でしょう。

体が30歳のころに実際に30歳の人と出会って、
その人と打ち解けて友人になったとしたら、そこには
10歳の精神年齢の差は感じられていないと思います。

年を重ねるほどに、体の年齢の差は意味を減らしていくもの。
徐々に問題はなくなっていくと思えてしまうんです。


幼馴染の彼女だって、いなくなっていたはずの高校生名探偵へと
徐々に姿が「似てくる」様子を見ていれば
「ひょっとして?」と気づくときがあるんじゃないかと思えます。

そもそも幼馴染なんですから、小学生の頃の姿だって知っているはずで
「子供の頃の姿によく似ているな」ぐらいの感想は持っても良さそうなもの。
体が小学生になるなんて普通は信じられませんから
「よく似た子供」ぐらいに思っていても最初は当然のことかもしれません。

とはいえ、段々と幼馴染の姿にソックリになってくる様子を見続ければ
疑い始める可能性はあるんじゃないか、と。

そして最終的には、10年若返ってしまった幼馴染が
再び高校二年生になるタイミングを迎えます。

その頃、幼馴染の彼女は26歳。
そこで関係がどうなるかは分かりません。
ずっと一緒にいたんだという事実をどのように受け止めるかも分かりません。

しかし、見た目の10歳の年の差が、どれだけ重要になるんでしょうか。
実際に生きた長さは同じぐらいなんです。
主人公が子供のフリをやめれば、心の成熟度は同じ程度でしょう。

そこからさらに年を重ねると
主人公20歳のとき、幼馴染30歳、
主人公25歳のとき、幼馴染35歳…。

年の差10歳の夫婦なんて、世の中には沢山います。

しかもただの見た目です。
若く見える35歳もあれば、大人びて見える25歳もいます。

ずっと二人の関係が続いたとしたら、主人公の10歳の若返りは
いつか何でもないことになるんじゃないかと思えてしまいます。


高校生が小学生に戻ってしまったら、
再び高校背に戻るまでの間か、長くても社会人になるぐらいまでの間は
心と体のギャップに苦しむだろうとは想像できます。

しかしその後は、見た目の年齢なんて関係なくなるんじゃないかと思ったんです。

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この記事へのコメント

1. Posted by 高橋   2015年02月18日 17:00
先日は、セミナーでお世話になりました。大変勉強になりました。是非参加させていただきたいと思います。

コナン君のビネー式IQを年齢だけに基づいて計算すると、17/7×100=243となります。超天才児の選抜クラスに選ばれて英才教育を受けることも可能です。たとえ高校時代のIQが平均的だったとしても(もっと高いと思われますが…)、小学生になった主人公が天才小学生として英才教育を受ければ本当に天才になれますね。

また、個体発生を、特定の発生段階まで(-10歳)逆行させるのは、発生・再生生物学の究極の目標です。私が例の「黒の組織」のトップだったら、小学生を追っかけるよりも、この薬を大金持ちに高く売って大もうけしますね。
2. Posted by 原田   2015年02月19日 04:32
アメリカの話などでは幼くして大学に入るようなケースがあるようですが、その後、大人になったその人たちがどれだけの業績を残したのかは気になるところです。数学者は30代ぐらいまでに結果が出なかったら厳しいというような話も聞きますし、発達の速さと到達点とは別物として捉えても良いのではないかと思っています。高校生名探偵ではなく、普通の高校生が小学背に戻って英才教育を受けたとしたら、将来はどうなるんでしょうね。気になるところです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
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