2015年02月27日

ちょっとズームアウト

僕の関心は細かいほうに向く傾向があります。
分解して理解していく方向性ともいえるかもしれません。

人の身体であれば、1つの人体から器官、組織、細胞、分子、電子…
という感じにズームインしながら捉える。
人の心であっても、プログラムという着眼点で捉えると
どこまでズームインしていくかを調整しながら理解しやすいんです。

そして、どの段階までズームインするかによって
「何の相互作用を理解するか」が異なってきます。

例えば、筋肉の骨格の相互作用から運動を見るのと
1つの筋肉にどのような神経伝達があって筋肉が収縮するのかと
筋肉を収縮させるアクチンとミオシンの分子レベルでの反応の仕方と
そのときの電気化学的エネルギーの収支と…
のように、それぞれのレベルで注目するものがあるわけです。

より細かいレベルの相互作用が集まって
それより大きな単位での働きを生み出しますが、
細かい仕組みだけを元にして全体を予測できるほど
現代のサイエンスは現象を深く理解できてはいません。

そして細かいものを無数に組み合わせて全体をシミュレーションするとしたら
今度は計算のほうで無理がかかってしまいます。

ですから、ある程度の要因は「大きな影響を及ぼさないだろう」として
目をつぶってしまって、それよりも大きな範囲(大まかなレベル)で考えるんです。

しかしながら、この細かい違いが全体に大きな影響を及ぼすこともあります。

つまり、大まかな範囲で理解しながらも、
細かいレベルで重要になりそうなものは考慮に入れておく
というのが、どのぐらい的確に物事を理解できているかを左右するといえます。

例えば、前述の筋肉であれば、収縮に使われるエネルギーと
エネルギー供給のための細胞レベルでの呼吸反応、
それから分子レベルでの反応と熱力学ぐらいは
異なるレベルの話ですが、まとめて視野に入れながら理解したい範囲に思えます。
そうすると、運動と疲労とコリの関係などもイメージしやすいだろう、と。


こうした発想に至ったのには、生化学をやっていた影響もありそうですが、
逆に考えると、こういう発想をしやすい傾向があったから生化学が好きになった
という風にも解釈できそうです。

振り返っても、どっちが先かは分かりません。
まあ、そういう発想の仕方がベースになっているという話です。

で、僕の関心の対象は「人間一人をズームインしていく」ほうに向きやすく、
そこから拡大しても、一人の人の周りの状況ぐらいまででした。

ある人が何かしらの反応パターンを持っているとしたら、
そのパターンが生まれるだけの環境要因があっただろう、と考えられますから
その人に影響を与えた周りの人間関係や出来事ぐらいまでは
自然と僕の頭の中で想像がめぐらされる範疇なんです。

言い換えると、「人の顔が認識できるぐらい」までの範囲。
集団として見るのは、あまり得意ではないみたいです。

細胞が集まって1つの器官を作ることについては
ただのズームインの度合いの違いとして両方に関心が向きますが、
人が集まって1つのグループを作るといった場合には
その1つのグループを「まとまった機能」として捉えにくいんです。

例えば、大阪生まれの人たちが集まったとしても
「大阪人」というグループとしては捉えられません。

大阪生まれの人たちに共通する性質について注目することはできても
その集団を一まとめにして考えるのに抵抗があるようです。
個人差があるじゃないか、と思ってしまう。

ですから、大阪に住んでいる人たち=「大阪府民」を一まとめにして
そのグループの生活を快適にするための手段やルールを考えたりするのは
僕にとって、なかなか興味が持てない範囲なんです。

どうしても「この仕組みにしたら、こういう人たちは苦しいんじゃないか」とか
一人一人の都合を考えたくなってしまって、妥協したくなくなってしまいます。

まったくもって政治家向きではないんでしょう。

また、経済のように大きな範囲でのお金の動きを理解しようとするのも
僕にとっては興味を持てない分野です。
これも扱うサイズが大き過ぎてリアリティを感じられないんです。

どうも「人の顔が認識できる範囲まで」という制約があるみたいです。


ところが、最近になって少し「顔の分からない集団単位での相互作用」にも
やっと関心が向くようになってきました。

歴史と文化です。

環境要因として個人のプログラムに影響を与えるもの。

歴史的なイベントは顔の見えない範囲でのものでしょうが
全体の流れとして多くの人々に共通の影響を与えているところがあるはずです。
そのことの重要性を実感してきたんです。

育ってきた国が違えば、通過してきた歴史が違います。

僕が歴史の授業が好きじゃなかったことを差し引いても
日本で育ってベトナム戦争をリアルな出来事として認識した人は少ない気がします。

僕がハリウッド映画で戦争ものを見るのと
アメリカ人が同じ映画を見るのとでは、受け取るものが大きく違うみたいです。

歴史的に大きな出来事がマスメディアを通じた情報伝達や教育によって
ある集団に共通したバックグラウンドを作り出すと考えられます。
そして積み重なるうちに文化に取り込まれていく。

そのように集団で共有されたものが、
その集団のメンバーがそれぞれプログラムを作っていく過程に大きく関わります。

目の前にいる、顔が見える範囲の一個人が
僕とは違うバックグラウンドで育ってきていたとしたら
こちらからでは理解どころか想像もできないことが多すぎます。

少しでも理解に近づけるように、
歴史や文化についても知りたい気持ちが高まってきたみたいです。

自分とは違ったバックグラウンドの人たちを一まとめにして捉えて
その集団との関わり方を考えるような外交活動は僕の関心の範囲外ですが、
実際に関わることになった一人の人とより深く交流できるように
歴史や文化についても知っておきたいとは感じるんです。

やがては、そうしたバックグラウンドの違いを徹底的に差し引いていった先に
全ての人に共通する本質的なものが見えてくるかもしれません。

どんなバックグラウンドの人にでも大事なことが見つかるんじゃないか、と。

バックグラウンドの違いを超えて効果的に関わる方法のヒントを掴むにも
まずはバックグラウンドそのものにも注目してみたいと思っているところです。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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