2015年02月28日
発声の教え方
インターネットを使っていると、勝手に広告が表示されます。
僕が訪ねたサイトの履歴とかを参考に提示するんでしょう。
もちろん心理系やカウンセリング、コーチングなどの広告が多く、
そのほかにも英会話スクールや英語教材なんかも良く見かけます。
そしてなぜか最近、発声のトレーニング教材の広告も表示されました。
歌を歌うことが前提になった発声トレーニングのようなんですが、
広い音域で歌えるようにするための練習法の教材のようでした。
その広告のために、その発声トレーニング理論の開発者(おじさん)が
理論の解説をしている動画にもリンクが貼られていたんです。
試しに…と思って見てみると、
この解説動画の理論的な説明がなんとも分かりやすい。
理屈としてシッカリしている感じでした。
主に発声のための筋トレのようなニュアンスが含まれていて
日々のトレーニングを通じて、発声法そのものを上達させつつ
必要な筋肉も鍛えようということのようです。
主に「表声」、「裏声」、「ミックスボイス」の使い分けをするみたいなんですが
ここの解説がスッキリしていたんです。
人間の声帯を調節する筋肉は二通りあって、
声帯を引き伸ばす輪状甲状筋と
声門を閉じる閉鎖筋グループとで
別々にコントロールされている。
一般的な表声のときには主に閉鎖筋グループが収縮して
輪状甲状筋はリラックスしているのに対し、
裏声になると輪状甲状筋を優先に収縮させることになるんだそうです。
で、この2つの筋肉を両方同時に収縮させると
表声と裏声が混ざった感じの声になって
これをミックスボイスと呼ぶらしいんです。
表声の筋肉を使う度合いと、裏声の筋肉を使う度合いを調節して
表声を裏声を混ぜ合わせていく感じにして、
裏声ではない声で高音を出せるようにする、と。
色に喩えるなら、二色を一気に切り替える感じが
「表声で高音が出せなくなったら、そこから急に裏声に切り替える」
ようなもので、
二色をバランスよく混ぜ合わせてグラデーションを作る感じが
「表声から切れ目なく自然と高音を出し続ける」
ようなものなんだとか。
またトレーニング法に関しては、
大部分の人が輪状甲状筋(裏声用の筋肉)をあまり使っていない
という前提に立って
あえて裏声を中心に発声練習をする
手法をとっているとのことでした。
よくやるような低音から高音に向かって徐々に音階を上げていく方法ではない
というトレーニング方法の独自性についても、
ちゃんと必然性を説明してくれていたわけです。
ということで、「おっ、これは理にかなった方法のようだ」と感じた僕は
引き続き、その動画のシリーズを色々と見てみることにしました。
その中の1つに、デモレッスンの模様が含まれていたんです。
開発者の先生が実際にピアノの前に座って、一部は教材も使いながら
「教材を使ってこのような練習をしてください」という感じの動画です。
動画には、一人のモデルにトレーニング内容の発声をやってもらい、
それに対して先生がコメントをして指導をするところまで含まれていました。
「今のはこういう感じだから、もっとこういう風にやってください」と指示を出す。
おそらく、教材を元に練習するだけでは、
自分が上手くトレーニングできているか不明瞭になるため
「こういうポイントを注意しながらやってみましょう」という趣旨で
解説動画を追加していたんだろうと思われます。
しかしながら残念なことに、その先生の指示のコメントが
デモに協力している人に伝わらないんです。
確かに先生の見本は分かりやすい。
モデルの人の真似もやって、
「こうなってしまっているから、もっとこんな感じで」
と見本となるパターンも見せてくれます。
そこはハッキリと違いが分かります。
でも言葉の選び方として、デモの協力者には伝わらない。
なかなか改善されていかないんです。
良くなっていくときは指示内容が明確に伝わった結果というよりも、
モデルの人が半ばランダムな試行錯誤をやってみて
たまたま上手くいったときに先生からOKの合図が出る
といった形になっているようでした。
理論の説明は明確で、トレーニング法もキッチリと理論に基づいていて
おそらくそれで効果も出るらしい。
しかも先生の見本は、良い例と悪い例を区別して見せてくれる。
…ただ、
マンツーマンの指導の際のコメントは伝わりにくかったみたいです。
きっとそのマンツーマン指導で指示内容を理解できる人もいるんでしょう。
それは相性の問題です。
先生あるいはトレーニング法の開発者という立場は
自分の中にあるものをアウトプットして他者に伝える
という自分主体のコミュニケーションをしているといえます。
一方、マンツーマンの指導で生徒に伝わる言葉で表現するのは
目の前の相手を理解して、その人に合わせる
他者を中心としたコミュニケーション。
「発声」という現象を本人の中で理解して、それを理論化し
さらにトレーニング法に発展させて、理にかなった説明をする。
ここには他者が介在しません。
アウトプットの受け取り手として対象とされているのは不特定多数でしょう。
それに対してマンツーマンの指導では
目の前の人の発声を見て、何が起きているかを分析し、
「その人が内面として何を心がけてやっているのか?」を想像する
というプロセスが求められます。
ただの客観的な理解ではなく、相手の主観的な体験を感じとる必要がある。
そこを元にして、相手が納得しやすそうな説明の仕方を選ぶわけです。
目の前にいる特定された人物に注目するということです。
自分の理論に注目するのとは違うんです。
別にマンツーマンの指導が伝わりにくいのが問題だという話ではありません。
「教える」という行為は、大きく分けると2つの要素を含んでいる。
そこがポイントです。
この発声トレーニングの開発者は
自分の中の理論を整理してアウトプットするのが得意なんでしょう。
そちら側が優位だということです。
もしかしたら、実際のマンツーマンレッスンを担当するのは
その先生の弟子で、相手に合わせた説明が得意な人かもしれません。
教え方にも強みが分かれている。
トレーニング法の説明が分かりやすかっただけに
教え方の強みの違いが際立って見えたんだと思われます。
自分が培ってきたものをアウトプットする際には
このあたりの強みの違いを気にしてみるのも役に立つのではないでしょうか。
僕が訪ねたサイトの履歴とかを参考に提示するんでしょう。
もちろん心理系やカウンセリング、コーチングなどの広告が多く、
そのほかにも英会話スクールや英語教材なんかも良く見かけます。
そしてなぜか最近、発声のトレーニング教材の広告も表示されました。
歌を歌うことが前提になった発声トレーニングのようなんですが、
広い音域で歌えるようにするための練習法の教材のようでした。
その広告のために、その発声トレーニング理論の開発者(おじさん)が
理論の解説をしている動画にもリンクが貼られていたんです。
試しに…と思って見てみると、
この解説動画の理論的な説明がなんとも分かりやすい。
理屈としてシッカリしている感じでした。
主に発声のための筋トレのようなニュアンスが含まれていて
日々のトレーニングを通じて、発声法そのものを上達させつつ
必要な筋肉も鍛えようということのようです。
主に「表声」、「裏声」、「ミックスボイス」の使い分けをするみたいなんですが
ここの解説がスッキリしていたんです。
人間の声帯を調節する筋肉は二通りあって、
声帯を引き伸ばす輪状甲状筋と
声門を閉じる閉鎖筋グループとで
別々にコントロールされている。
一般的な表声のときには主に閉鎖筋グループが収縮して
輪状甲状筋はリラックスしているのに対し、
裏声になると輪状甲状筋を優先に収縮させることになるんだそうです。
で、この2つの筋肉を両方同時に収縮させると
表声と裏声が混ざった感じの声になって
これをミックスボイスと呼ぶらしいんです。
表声の筋肉を使う度合いと、裏声の筋肉を使う度合いを調節して
表声を裏声を混ぜ合わせていく感じにして、
裏声ではない声で高音を出せるようにする、と。
色に喩えるなら、二色を一気に切り替える感じが
「表声で高音が出せなくなったら、そこから急に裏声に切り替える」
ようなもので、
二色をバランスよく混ぜ合わせてグラデーションを作る感じが
「表声から切れ目なく自然と高音を出し続ける」
ようなものなんだとか。
またトレーニング法に関しては、
大部分の人が輪状甲状筋(裏声用の筋肉)をあまり使っていない
という前提に立って
あえて裏声を中心に発声練習をする
手法をとっているとのことでした。
よくやるような低音から高音に向かって徐々に音階を上げていく方法ではない
というトレーニング方法の独自性についても、
ちゃんと必然性を説明してくれていたわけです。
ということで、「おっ、これは理にかなった方法のようだ」と感じた僕は
引き続き、その動画のシリーズを色々と見てみることにしました。
その中の1つに、デモレッスンの模様が含まれていたんです。
開発者の先生が実際にピアノの前に座って、一部は教材も使いながら
「教材を使ってこのような練習をしてください」という感じの動画です。
動画には、一人のモデルにトレーニング内容の発声をやってもらい、
それに対して先生がコメントをして指導をするところまで含まれていました。
「今のはこういう感じだから、もっとこういう風にやってください」と指示を出す。
おそらく、教材を元に練習するだけでは、
自分が上手くトレーニングできているか不明瞭になるため
「こういうポイントを注意しながらやってみましょう」という趣旨で
解説動画を追加していたんだろうと思われます。
しかしながら残念なことに、その先生の指示のコメントが
デモに協力している人に伝わらないんです。
確かに先生の見本は分かりやすい。
モデルの人の真似もやって、
「こうなってしまっているから、もっとこんな感じで」
と見本となるパターンも見せてくれます。
そこはハッキリと違いが分かります。
でも言葉の選び方として、デモの協力者には伝わらない。
なかなか改善されていかないんです。
良くなっていくときは指示内容が明確に伝わった結果というよりも、
モデルの人が半ばランダムな試行錯誤をやってみて
たまたま上手くいったときに先生からOKの合図が出る
といった形になっているようでした。
理論の説明は明確で、トレーニング法もキッチリと理論に基づいていて
おそらくそれで効果も出るらしい。
しかも先生の見本は、良い例と悪い例を区別して見せてくれる。
…ただ、
マンツーマンの指導の際のコメントは伝わりにくかったみたいです。
きっとそのマンツーマン指導で指示内容を理解できる人もいるんでしょう。
それは相性の問題です。
先生あるいはトレーニング法の開発者という立場は
自分の中にあるものをアウトプットして他者に伝える
という自分主体のコミュニケーションをしているといえます。
一方、マンツーマンの指導で生徒に伝わる言葉で表現するのは
目の前の相手を理解して、その人に合わせる
他者を中心としたコミュニケーション。
「発声」という現象を本人の中で理解して、それを理論化し
さらにトレーニング法に発展させて、理にかなった説明をする。
ここには他者が介在しません。
アウトプットの受け取り手として対象とされているのは不特定多数でしょう。
それに対してマンツーマンの指導では
目の前の人の発声を見て、何が起きているかを分析し、
「その人が内面として何を心がけてやっているのか?」を想像する
というプロセスが求められます。
ただの客観的な理解ではなく、相手の主観的な体験を感じとる必要がある。
そこを元にして、相手が納得しやすそうな説明の仕方を選ぶわけです。
目の前にいる特定された人物に注目するということです。
自分の理論に注目するのとは違うんです。
別にマンツーマンの指導が伝わりにくいのが問題だという話ではありません。
「教える」という行為は、大きく分けると2つの要素を含んでいる。
そこがポイントです。
この発声トレーニングの開発者は
自分の中の理論を整理してアウトプットするのが得意なんでしょう。
そちら側が優位だということです。
もしかしたら、実際のマンツーマンレッスンを担当するのは
その先生の弟子で、相手に合わせた説明が得意な人かもしれません。
教え方にも強みが分かれている。
トレーニング法の説明が分かりやすかっただけに
教え方の強みの違いが際立って見えたんだと思われます。
自分が培ってきたものをアウトプットする際には
このあたりの強みの違いを気にしてみるのも役に立つのではないでしょうか。