2015年03月31日

早口に対応する

英会話教室や英語教材などでは「レベル分け」のようなものがなされます。

その中に決まってといっていいほど登場するのが
「日常会話レベル」という単語でしょう。

難しい内容の議論はできないけれど
日常会話ぐらいだったら大丈夫ですよ
…といったニュアンスだと考えられます。

しかし僕の実感としては、一番大変なのが
むしろこの「日常会話」だと思うんです。

たしかにボキャブラリーとして単語だけに注目すれば
日常会話で使われる単語の種類は限定されます。
対応するのに必要な単語数は少なめでしょう。

しかしながら、日常に近いからこそ
微妙なニュアンスの違いを表現することも多いようです。

中学校で習うような単語ではあるけれど
組み合わせ方によってニュアンスの違いが生まれるわけです。

そのあたりが句動詞やイディオムに表れる。
よく使われる動詞と、前置詞などの他の単語を組み合わせることで
意味を多様にしていくんです。

ですから結局のところ、一単語としてのボキャブラリーは要求されなくても
単語を組み合わせた表現を1つの意味のまとまりとして捉えれば、
熟語表現のような形で、表現のバリエーションは知っておく必要があります。

でないと、
 単語は全部知っているのに、組み合わせた表現のニュアンスが分からない
といったことが起きます。

英語の本や雑誌などで「たった○○単語で話せる」みたいなアピールがありますが
それはこうした組み合わせのパターンを数に入れていません。

語学として身につけることを考えた場合、複数の単語を組み合わせた表現を
1つの単語のようなつもりで覚えることが求められるでしょうから、
日常会話だって覚えておくべき表現は沢山あるはずなんです。

むしろ一単語でニュアンスの違いを表現できるように
ボキャブラリーを増やしてしまったほうが、
文章の形としてはシンプルに作れるようになるような印象もあります。

1つの単語を1つの部品として文章の中で交換できますから。

熟語の形になってくると、まとまった量を丸覚えすることになるので
組み合わせを変えて自分の考えを言葉にするというよりも、
知っている言い回しをそのまま使うケースが増えそうにも感じます。

日常会話で使われる表現を、細かなニュアンスの違いに注意しながら
使いこなしていくというのは、なかなか大変だという話です。


さらに、日常会話では発話のスピードが速いのも特徴です。

そもそものリズムが速い。
スピーチや講義と比べるとテンポが速いんです。

また、早く言い終われるように、音が省略されたり繋がったりすることがあります。
複数の単語を繋げて、1つの決まった言い方に変えてしまう感じでしょうか。

日本語でいうなら
「ちわー」という音は「こんにちは」のつもり、
「っしゃっせー」なら「いらっしゃいませ」のつもり、
「あざーす」なら「ありがとうございます」のつもり…
といった具合。

速く言うために弱い音を誤魔化しながら繋げてしまうことが多く、
それゆえに1分間当たりの発話単語数が大きく上がるんです。

しかしこの発話速度は単なる早口ではありません。
渇舌の良いスピーチを二倍速で聞くのと
日常会話の早さを聞きとるのとでは、
仮に1分間当たりの発話単語数が同じでも
求められる聞き方が違います。

日常会話では、省略されたり繋がってしまったりする弱い音を
典型的な省略のパターンを利用しながら
「多分こういっているはずだ」という推測で補う必要があるようです。

これが大変なところだと感じます。
パターンとして知っていないと対処できない。
「こういう音の感じは、こうやって言っているはず」
と思いつけるようになるまで、ストックを増やし
パターン認識力を上げる練習が重要だろうと考えられます。

一方、スピーチや講義の話し方はテンポもゆっくり目ですし
渇舌を良くして、聞き取りやすく、分かりやすく話されるのが一般的です。

ボキャブラリーを増やしてしまえば、むしろこちらのほうが聞きやすいと感じます。
次から次へやってくる情報量の多さに対処するのは単なるリスニングではなく
理解力の要素が含まれますが、それを除いて聞きとりだけに注目すれば
スピーチや講義のほうが音としては聞きやすいのではないでしょうか。


ですから
・ボキャブラリーの代わりに熟語表現のバリエーションが求められる
・音が省略されて話速が上がった言い方を聞きとる必要がある
といった点で、
日常会話のやり取りをシッカリと行うほうが
専門性の高い議論よりも遥かに大変だろう
という話です。

おぼろげに聞けた単語を元に、相手の言わんとすることを想像して
なんとか最低限の意思疎通を行える…ということを
「日常会話レベル」と呼んでいるのかもしれませんが、
ネイティブの日常会話を高度に理解するとなると
それは語学をやる人にとって最もハードルの高いところのような気もします。

そういう意味では
 ネイティブ同士の日常会話のやり取りを題材にして
 リスニングのトレーニングをしつつ、表現のストックを増やしていく
方法は、現実的で効果的ではないかと思えます。

最近、そのための教材としてこんなのを見つけました。



題材としては個人的に刑事モノとかのほうが好みでしたが
恋愛ドラマのほうが日常表現が多く含まれるのかもしれません。

ちょっと取り組んでみようかと思っています。

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
おしらせ
 ◆ セミナー情報 

New!

《コミュニケーション講座》
 〜人を育てる指導力〜

【日時】 
  2019年6月16日(日)
   10:00〜16:30


【場所】 
  北とぴあ 601会議室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《瞑想講座》

【日時】 
  2019年6月22日(土)

  午後の部 13:30〜16:30
  夜間の部 18:00〜21:00

【場所】 
  北とぴあ 第2和室

   JR王子駅より2分
   南北線王子駅直結

詳細はこちら>>


《怒りの取り扱いマニュアル》
 〜期待の手放し方と
  ゆるしの技法〜


【日時】 
  2019年7月6日(土)
     7月7日(日)
   10:00〜18:30


【場所】 
  滝野川会館

   JR上中里駅より7分
   JR駒込駅より10分
   南北線西ヶ原駅より7分

詳細はこちら>>
次回未定


 ◆ 過去の講座 

《新カウンセリング講座》
 〜まとめと実践〜


当時の内容はこちら>>


《勉強会》 

【テーマ】 変化の流れを考える

当時の内容はこちら>>
次回は未定



 ◆ お問い合わせ 
  技術向上、
  コンサルティング、
  スーパーバイズ、
  執筆・講演…

  諸々のお問い合わせはこちらへ>>



ホームページ
バナー1


プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
Archives
最近のコメント
QRコード
QRコード