2015年06月14日

目立たない主役

どのぐらい有名か分かりませんが、ハリウッド映画に出ている俳優で
クリスチャン・ベールという人がいます。

クリストファー・ノーラン監督のバットマンシリーズ
いわゆる『ダークナイト三部作』で
主役のバットマン/ブルース・ウェイン役をやっている人です。

他にも、『ターミネーター4』で主役のジョン・コナーを演じていました。

アカデミー賞で助演男優賞を取ったり、主演男優賞にノミネートされたり
評価の高い俳優だと思われます。

演技への思い入れの強さでも有名で、
『マシニスト』という作品で、一年間寝ていない主人公の役作りとして30kgの減量、
180cm以上の身長で53kgまで減らしたそうです。

その後、『バットマンビギンズ』で主役のバットマンを演じるために
今度は半年で86kgまで体重を鍛えなおしたと言います。

かと思えば、コカイン中毒の元ボクサーを演じるために
髪の毛を抜いたり、歯並びを変えたりもするし、
肥満体の詐欺師を演じるときには見事な中年太りに変身。

徹底した役者っぷりの人物です。

何より、ダークナイトシリーズはヒット作でしょうし、
ターミネーター4も話題にはなったと思われるにもかかわらず、
どうもビジネス面としての知名度が伴わないように感じられます。

ダークナイトのシリーズは確かに面白く、
アメリカン・コミックのヒーローを単なる正義の味方ではなく
人並みに悩み苦しむ人間として描いたり、
魅力的な悪役を登場させたりと、非常に評価が高いそうです。

ところが、そこで有名になるのが監督のほう。
ダークナイトといえば、クリストファー・ノーラン監督なんです。
主役のバットマンを演じたクリスチャン・ベールではなく。

ターミネーター4にしても、むしろ目立ったのは
主役を脇で支えた準主役のようなサム・ワーシントンのほう。
その後、彼はアバターで主役をやって大ヒット。
一躍スターになった印象です。

実際、少し前に公開された映画『エクソダス 神と王』でも
主役のクリスチャン・ベールよりも監督のほうがアピールされていました。

日本国内で貼り出されていた映画のポスターには
「『グラディエイター』のリドリー・スコット監督が贈る…」
というキャッチコピーが。

確かに『グラディエイター』はアカデミー賞で作品賞を取っているらしいですし、
『エクソダス』と通じる映像の雰囲気ともいえそうなので
そういうアピールもあったのかもしれません。

権利のこととか様々な事情があるのかもしれませんが、
日本でも有名な俳優が主役だったら「○○主演!」のようなコピーもありそうです。

例えば
「ダークナイト、ターミネーター4のクリスチャン・ベール主演!」
のようなポスターだって良さそうな気もします。

でも、そうはなりませんでした。

監督リドリー・スコットと主演クリスチャン・ベール、
どちらをアピールするかとなったとき、
監督のほうが選ばれたということのようです。

仮に、「トム・クルーズ主演!」とか「ブラッド・ピット主演!」と書かれたら
それだけで映画の人気が出るようなことだってあるかもしれません。

クリスチャン・ベールでは、そうはならないみたいでした。

勝手な印象として、三部作になるほどの映画で
かつ話題をさらうようなことにもなって、
しかもそれが有名なバットマンのシリーズ…、ともなれば
もっと主役が取り上げられても良いように思えてしまいます。

同様の展開としてスパイダーマンのシリーズとか
トランスフォーマーのシリーズとかであれば、
俳優の名前までは分からなくても
「ああ、あのスパイダーマンだった人ね」
「あ、トランスフォーマーに出ていた人だ」
ぐらいには認知されているんじゃないでしょうか。

ところが、です。

クリスチャン・ベールは目立たない。

特に日本人からすると、どこにでもいそうな西洋人の顔として
区別がつきにくいのかもしれません。

それ以上に、おそらく
クリスチャン・ベールという人物として画面に映らないんだと思います。

その役の人物としてスクリーンに出る。

クリスチャン・ベールの演じるブルース・ウェイン(バットマン)ではなく、
そこにいるのは映画の世界のブルース・ウェイン。
そんな印象を与えるように感じるんです。

自分の個性を消せる、ともいいましょうか。

映画の一部に溶け込んでしまって、
映画全体の印象のほうを残してくれるのかもしれません。

だから作品が目立って、主役が目立たない。
作品を作った監督が取り上げられて、主役は目立たない。

ある意味では、スゴイ才能ともいえそうです。

cozyharada at 23:07│Comments(0)TrackBack(0)clip!全般 | NLP

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
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