2015年06月25日

教養がない

どの程度までを一般教養と呼ぶのかを分かりませんが、
僕は学生時代に、いわゆる理系の方向に進んだこともあって
勉強した内容がかなり偏っているんだと思われます。

僕は応用化学科だったんですが、大学の1年生から既に
化学に関する科目が沢山あって、化学以外の科目は
基礎実験と物理、数学、それと語学、
あとは各期に2科目の一般教養だけでした。

理系の中でも相当に化学に限定されていて
物理を少しやるぐらいを除けば、同じ理工学部でも
他の学科の人とは相当に専門化された勉強をしていたみたいです。

実際、時間割の大部分は「〜化学」とか「〜実験」という名前でした。

ですから、僕が一般教養としてとった科目は
「科学とデザイン」、「環境と文化」、「心と機械」、
「精神分析」、「心理療法」、「流通システム」とか
それぐらいだったような記憶があります。

こうして見ても、半分ぐらいは理系の一般論ですから、
他の学部の人が勉強するような科目はゼロに等しいとさえ言えそうです。


一方、アメリカの大学では「 Major (メジャー)」と呼ばれる専攻もありながら
専攻以外の科目もかなりの数をとるようで、例えば
 心理学専攻でありながら、政治や経済、法律などの授業も取る
なんてことは結構あるようです。

しかもアメリカの大学システムだと120単位を取れば卒業可能なので
4年で卒業するとしたら1年あたり30単位。
3年で卒業したければ1年に40単位とればいいわけです。

大体の場合、1科目で一週あたり3時間の授業があって(90分×2、60分×3)
計算上は1科目が3単位に相当するのが一般的。

そのため、4年で卒業するために1年で30単位とるなら、
(春学期、秋学期に加えて夏学期も取るとしたら)
春と秋に4科目ずつ、夏に3科目(夏は期間が短いので進みが早く厳しめ)
を取っていく計算になります。

一学期に4科目しかないんです。
月〜金曜日に分配すると、1日あたり2コマが平均。

期末テストも4つで済みます。

「日本の大学は入るのが大変で、卒業するのは簡単。
 アメリカの大学は入るのが簡単だけど、卒業するのが大変。」
なんていう評判を目にすることがありますが、
この話だけだと、そうでもないように見えるかもしれません。

ただしアメリカの大学は、この週に4科目が結構みっちり。
予習の求められる量、出される課題の量が違うんです。

毎日、次の日の科目の予習と、宿題をやっている感じでしょう。
勉強する量は確かに多いようです。

特にアメリカ国内では全寮制のことが多いそうで
一日中、図書館や自習室など、キャンパス内で過ごすんだとか。

少ない科目をしっかりと勉強し、
読み書きのトレーニングを繰り返して卒業する。
そういうスタイルのようです。


それと比べると、僕の学生時代は、1日3コマぐらいが標準で
実験の日は大体が朝から夕方まで続いていました。
期末テストは10個ぐらい受けていたと思います。

4年生になったら研究室で実験をするばかりで
授業やテストはほとんどない。
とにかく3年生までに必要な単位数を先取りしておくようなスタイルでした。

本当は予習することになっていますが、どちらかというと
レポートに追われる感じで、授業のほうは出ているだけだった気がします。

好きな科目は一生懸命に聞いて、授業時間で理解を深め
テストで記憶に定着させていくような流れがありましたが、
嫌いな科目(嫌いな教授)の場合は、睡眠時間にあてるか
他の科目の課題を終わらせるのに使っていたものです。

ですから、継続的に知識を積み重ねていったという印象はありません。

専門科目の中でも好きなもの…、つまり最終的に研究分野として選んだものは
その周辺も丁寧に勉強していた記憶があるものの、
いくらかの科目は完全に「捨てて」いたともいえそうです。

とにかく期末テストの前に対策だけ練って、あとは放ったらかし。

自分の中で重要度をハッキリと分けてしまっていたんです。

まぁ、そうでもしないと、ついていけなかったとも言えますが。
毎週実験があって、毎週レポートを書くんです。
2年生からは週に2回実験があって、レポートも週に2回。

僕の勉強机には使いきったボールペンが大量に残っていました。

そのほかにも、別の科目で課題が出ていましたから、
いかにレポートをこなしていくかが日常で
知識を蓄えるための勉強はテスト前に集中するような感じでした。

ということで、机に向かう時間そのものは
僕の通っていた大学の、その学科では、それなりの量が求められていて
ただしその内容が、限りなく専門性に向けられていた、と。

ギュウギュウに詰め込んだスケジュールで
早めに専門家を育て上げるようなプログラムということでしょう。

そのため、一般教養は無視されていたに等しかったようです。


アメリカの大学だと、専門的なトレーニングは大学院から
という趣旨があるみたいで、そのあたりの違いも大きいんだと思われます。

修士課程の2年間が、日本の大学の3,4年生に相当する感じでしょうか。
博士課程は、日本だと3年のところ、アメリカは5年から。

日本の大学院なんて、修士課程も博士課程も、研究一色です。
必要な専門性の土台を学部時代に身につけさせて、あとは
専門家として研究実績を積ませるのが日本の大学のスタイル。

アメリカは、大学の間に一般教養を広く丁寧に身につけさせ、
知識だけでなく、論理的な思考力や文章力をトレーニングする。
専攻科目として知識の基礎を身につけつつ興味の対象を探してもらう。
そして見つけた専門分野についての大学院に入って、それから
詳しい知識を身につけつつ研究活動を始めていく。

教育にかける丁寧さが違うんだと感じられます。

それはもちろん、働き方にも表れるんだろうと思います。


で、僕は改めて振りかえってみて、つくづく教養がないことを実感しています。

化学まわりばっかりです。

大学を卒業してからの経緯で身につけてきた専門知識もあるとは思いますが
一般教養がない。

政治、経済、法律、文学、歴史…。
そういったものに疎いんです。

お金のしくみなんてチンプンカンプンです。

好景気と不景気とか、景気と貿易との関係とか、物価の話とか、
それらに対する政治の関わり方とか、よく分かりません。

バブル経済がはじけて、急に不景気になるなんて
一体、何が起きているのかと理解に苦しみます。

歴史の授業で習った「大恐慌」なんて、
 昨日まで好景気だと浮かれて、お金を沢山使えていた人達が
 一週間程度で急に生活苦に陥る
という不思議な話としか感じられません。

その状況は推測できます。
気持ちも想像します。

が、どういう仕組みで、そんな急激な変化が起こるのかが分かりません。
お金の総量は、一気に変わるわけではないはずでしょうけれど
景気だけが急激に悪化する、ということが理解できていません。

そしてそれに対するニューディール政策。

とにかく知らないんでしょう。

一般教養として勉強していれば違ったのかもしれませんが。

その一方で、政治、経済、法律、歴史のあたりは
その相互の関わりの複雑さがうかがえます。

どれか1つだけを理解することはできないという気がするんです。

複雑に絡み合ったシステムを全体像として理解するには
個別のしっかりした理解が求められると思います。

もう手に負えない予感がしてしまいます。

もし勉強していたら、大変なことになっていたんじゃないか?
なんていう思いが沸くほどに。

どれぐらいまで興味を持てるのか、
どれぐらい理解ができるのか、
底知れないものを感じています。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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