2015年11月10日

正義と思いやり

いつの間にか、僕の中からは正義感が薄れてしまったようです。

念のため「薄れた」という単語を選びましたが
最近は、正義を意識することがありません。

むしろ正義のために裁かれる『悪』を見たときに、なんとも
いたたまれない感じがしてしまいます。

ニュースでは当然、犯罪が紹介されますし
いろいろな制裁や刑罰が与えられる話も耳にします。

そこには犠牲者がいる場合も多いですし、
その人たちの立場を考えれば罰する必要性もあるんでしょう。

とはいえ、犠牲者を気の毒に感じるのと同時に
犯罪者としてニュースで報道される人たちに対しても
なんだか気の毒な気持ちが沸いてしまうんです。


たしかに本人の意志があるとして、本人に責任を求めるのは
社会として効果的な方法だと思います。

現実的には、そこしか罰することができないのかもしれません。

その一方で、学習や発達の観点からすると、
「意志の力」と呼ばれる自分の行動をコントロールする能力もまた
経験を通じて身につけられるものだとも考えられます。

ある程度は遺伝的な要因で気質が決まっているところもあるでしょうし、
行動や衝動をコントロールする能力を身につけるための学習も
どういった環境で、どんな経験をしてくるのかによって決まるわけです。

どれだけの「意志の力」が身につくのかは
かなりの部分、偶然の要因によっているということです。

どんな遺伝子を持って生まれるかや、どんな環境で生まれ育つかは
本人の意志で選択したといえるのでしょうか?

いろいろな偶然が重なって、結果的に
社会が認めていない行動をする事態にまで至ったとも解釈できます。

いったいどこまでが本人の責任で、
どれだけ裁かれる必要があるんだろうか?
という疑問が沸いてしまうみたいです。

と同時に、マスコミで犯罪者として取り上げられることにも
可哀想な印象を抱きます。

裁判で決められた罰だけで、本来は十分だとされているはずです。
それが社会的な決めごとでしょう。

ところが今のマスコミの報道の仕方からすると
犯罪者というレッテルを過剰にアピールされて
社会から吊るし上げられているような気もしてしまいます。

世間の目にさらされて、犯罪者として非難されて、
社会からも迫害される方向で広められているようです。

その社会的制裁だって十分な罰になっています。
裁判で決まる刑罰に加えて、マスメディアの影響で
世間からも罰を受けることになる。
なんだか過剰なように感じられます。


繰り返しますが、
だからといって野放しにしていいという意見ではありません。

被害者が気の毒で、
なぜその人が犠牲にならなければならなかったのかと思うと
そちらにももちろん、いたたまれない思いがあります。

被害にあった側の感情を楽にするためにも罰は重要でしょうし、
被害を生まないようにする抑止力として罰則を用意しておくのも
社会として効果的な方法でしょう。

ただ、犯罪に至るまでのすべてのプロセスを考えると
正義だけを基準にして人を裁く様子に、引っかかるところがあるんです。

「犯罪とはいえ、その人にも気の毒な部分がある。
 しかし社会全体のことを考えると罰を受けてもらう必要がある。」
そういう同情の気持ちを出発点とすることもできるんじゃないでしょうか。

少なくとも今の僕には、ただ正義だけを基準として
人を裁くことは難しくなってきているようです。

なんだか世間に馴染みにくい感じがします。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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