2016年01月15日

絵の味わい方

開催期間が残りわずかになっていますが
今年も独立書展に出品してあります。

ちょうど打ち合わせで都心部に出る用事があったので
その後、六本木に出かけて鑑賞してきました。

独立書展は国立新美術館。
乃木坂駅直結で東京ミッドタウンに近いところです。

そして少し歩くと六本木ヒルズもあって
そちらには森アーツセンターギャラリーもあります。

ということで美術館をハシゴすることにしました。


1月14日から始まった「フェルメールとレンブラント」展があったので
これを見てきたんです。

ルネッサンスや印象派も好きですが
17世紀オランダぐらいの絵画も好きなので、
絵画と書道という2通りの表現方法を堪能できた感じがします。

フェルメール、レンブラントともに光を表すのが特徴のようで
当時のオランダの画風では、光に焦点を当てたものが多い印象。

静物画や肖像画なんかは物の質感を表現するのに力を入れていて
光そのものといった感じとは違うのかもしれないものの、
「光に照らされたもの」の様子を反射光として描いているのは
当時の流行だったのかなぁと想像するところです。

印象派まで行くと、空気中の光の散乱を描いたものや
内的表象として強調されたサブモダリティとしての光が見てとれて、
そちらと比較すると写実的に光を描こうとしているように思えます。

写真にしたらペタッと潰れてしまう物体の質感が
絵画だからこそ手触りを想像できるようなリアリティを強調しつつ
描き表わすことができるんでしょう。

ジョセフ・スワンが電球を発明し、エジソンが白熱電球を実用化したのが
1800年台中ごろ以降ですから、当時のオランダには電灯はありません。

多くの絵画が薄暗いのは、単純に暗い室内で描かれたこともあるはずです。

その中で、オランダの画家は薄く長く差し込む光を描くことが多い気がします。
西日のような、冬の陽射しのような、そんな光の差し込み方。
オランダの緯度が関係しているのかもしれませんが。

そして光の反射の性質に注目した絵が多い分、
ハッキリと光が当たっているものが強調された印象になります。

特にフェルメールなんかは焦点距離からも奥行きが見てとれますから
ピントが合って光の反射が強く表れるところに注目ポイントがある。

実際、
 絵の中で光の差し込む角度、
 強調された光の反射が統一されて見える角度(絵に対して)
 水平方向の画角(見上げている目線か、見下ろしている目線か)、
 視野に入る絵のサイズ、
 視野の中でピントの合い方が一致する距離…
あたりを合わせるようにして絵を眺めると、
その絵の世界の中にいるような気分を味わえます。

光の温かみや当時の空気感のリアリティが引き出されるわけです。

いわば画家の目線になって絵を見るということ。
画家が見ていた世界をそのまま見たいんです。

それで初めて画家の心の中を垣間見れる。
ペーシングです。


そのためには絵を見る位置が大事なんです。
右側から斜めに見るのか、正面からか、左側からか。
下から見上げる感じなのか、少し見下ろす感じなのか。
どのぐらい離れた位置から見るのか。

そういった絵を見る場所が重要。
そこからどの部分に視野の中心を置いて、
どれぐらい視野を絞りながら見るかを調節します。

ところが美術館で置かれる絵の位置は、大体同じ高さで決まっています。
だから少しかがんだり、背伸びしたりしないといけない。

「これ以上近づかないでください」という柵があったりはしますが、
その距離で見たら近すぎることが多いように感じます。

画家の目線の立ち位置とは無関係な展示になっているのが
僕にはチョット不満です。

そして見る位置を調整しようとしていると
当然のように僕の前に入ってきて絵を見る人がいます。

「そんなに近くから見たら…」という距離。
なんなら柵から身を乗り出して見る人や
双眼鏡を使ってアップにして見ている人までいます。

確かに「どうやって描いているのか」に注目するなら
近くで見たい気持ちは分からなくはありません。
絵を描く人の視点なんでしょうか。

映画館で最前列に座って、双眼鏡を使って見る人はいませんから
その世界の中に感情移入しようと思ったら
あまりアップにすることはないんじゃないかとも思います。

まぁ映画にしても、ストーリーより台詞まわしとかカット割りとか
グラフィックとか特殊効果とかに興味がある人もいるわけなので
楽しみ方は人それぞれといったところなんでしょうが…。

僕としては、
 画家が絵に表現したかったものを感じ取りたい
という狙いが強いんです。

その人が絵を通して表現したかったものでしょうから。
心の訴えであって、生きた証のようなものにも思えるんです。

人の笑顔や涙に表れた気持ちを感じ取ろうとするのと似ています。
そこに人生が表れます。

笑顔を見て、シワの角度や本数を数えたりはしませんし、
涙の量を測定したり、涙の成分を分析したりもしません。

僕にとって絵画鑑賞は画家とのコミュニケーションのようなものなんでしょう。

そのために最適な場所から絵を見ようとしている。
なのに途中で目の前に人が入り込んでくるわけですから…。

カウンセリングの最中に、突然やってきた人たちが
好き勝手にワイワイ騒ぎ始めるようなものに感じられてしまいます。

美術館を借り切るか、好きな絵を買うか
最終的にはそれぐらいしかないのかもしれません。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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