2016年04月02日

真似るために見るのではない

NLPには『モデリング』という考え方があります。

型を抜き出す。
エッセンスを取り出すということです。

モデリングのためのアプローチの1つは
 達人のやり方を分析して形式化する
といったもの。

たとえばNLPの中にも「メタモデルの質問」や「ミルトンモデル」など
セラピストの言葉の使い方をパターンとして抽出したものがあります。
これは達人として知られていたセラピストのやり方を分析して作られたといえます。

もう1つのアプローチは、身体で真似をすることを通じて
達人が何をやっているかを感じとり、そこからエッセンスを抽出するもの。

エッセンスを取り出すための分析として真似を使います。

いずれもエッセンスを抽出する、つまり型を取り出すところでは共通しますが、
その取り出すプロセスに違いがあるわけです。

客観的に調べて分析し、エッセンスを見つけるのか。
主観的に体験して得られた気づきを元に、エッセンスを見出すのか。


それぞれに違ったメリットがあると思われますが、
真似をするほうには副次的な効果があります。

それは「よく観察できる」ということです。

真似をしようという姿勢で見本になる人を見ると
普段何気なく見ているときよりも、ずっと細かく丁寧に見るようになるんです。

とくに身体の動きを細かく真似しようとした場合、
注目の仕方がニュートラルになります。
意味のあるところだけを見るのではなく、ただ身体の動きとしてだけ注目できる。

客観的な分析をした場合には、そもそも分析者自身が重要だと思うところに
自然と目がいくようになりますから、注目の仕方がニュートラルではないんです。
分析者が重視していないところは見過ごされやすい。

ところが身体の動きとして似ているかどうかの視点で注目すると
「どこが大事か?」とか「どんな意味があるか?」といった考えとは無関係に
とにかく動きそのものを見ようとすることができます。

真似しようと思ったときに初めてニュートラルに観察ができるようになる、と。

関心を向けられる量が増えるんです。


つまり、真似をしてエッセンスを抜き出すことだけが目的ではなく、
関心を向けることそのものができるようになる効果がある、という話です。

実のところ、興味のないものに関心を向けるのは難しいんです。

関心が向かないことを「興味がない」と呼ぶほうが適切でしょうか。

人は見ているつもりで見ていないし、
多くのものに関心を向けていません。

尊敬する人、憧れる人だと思っていても
それほど関心を向けていないものです。

真似をしようと思って注目したとき、やっと
その相手に関心を向ける度合いが増える。

それだけでも真似を通じたモデリングには意義があると思われます。

「真似るために見る」のではなく、「見るために真似る」。

そういう側面もあるようです。

cozyharada at 23:06│Comments(0)TrackBack(0)clip!NLP | NLPの基本情報

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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