2019年03月08日

ダンスと文化

日本の学校教育にダンスが取り入れられて
それなりの時間が経っているようですが、
それに伴ってダンスをやっている子供を見る機会も増えた印象です。

テレビでもダンスが映ることが良くありますし、
音楽番組に出るアーティストと呼ばれる人たちも
ただの「歌手」ではなくなってきているのかもしれません。

アイドルがグループで踊るのは、すっかりお馴染み。
男性グループにもダンサーがいるのが珍しくないようです。

先日もセミナー会場のホールで
ダンスコンクールのようなイベントをやっていました。

親が小さな子供を連れてきて、だいぶ賑やかな雰囲気。
昔はピアノの発表会とかだったのが、
今はダンスにシフトしているんでしょうか。

最近は映画でもミュージカル的なものが流行っていますし
踊りが日本文化にも浸透してきたのかもしれません。


ただ、一口にダンス・踊りと言っても
ダンスが重視する側面は文化的な背景の影響を受けそうです。

失礼な言い方に聞こえるかもしれませんが、
日本人のダンスはどんなにカッコよくてもスピーディーでも
盆踊りの延長のように見えてしまうんです。

もちろんリズムとかテンポは違います。
そうではなく、意図というか、
何を求めてやるか?の話です。

日本人のダンスは、
決まった振り付けを皆で正確に行って
一糸乱れぬ動きを「見せる」のが目的のように感じます。

見る人が想定されているか、少なくとも
お互いに揃っているのを見て
「上手くできている」のに喜びを得たり、
協調していることで「和」を感じたりする感じ。

この「和」の雰囲気は、まさに盆踊りだと思えますし、
見る人を想定するのは「周りの目」を気にする文化と
対応しているように考えられます。

見る人を想定する感じは、吹奏楽とか、
ピアノやバイオリンのお稽古、バレエに似ています。

見る人、聞く人を喜ばせるように
高いクオリティを目指していくスタンスといいますか。

ただし喜ばせる相手は、あくまで第三者であって、
同じ場で一緒に演奏したり踊ったりする仲間は
協力関係であり、喜ばせる相手ではありません。


こうした第三者への意識は、ヨーロッパの音楽やバレエ、
一部のダンスにも含まれているものですが、
ヨーロッパのダンスは趣旨が違うように見えます。

ヨーロッパの伝統では社交ダンスに代表されるように、
一緒に踊る相手とのコミュニケーション手段として
ダンスが使われてきたところがあるんじゃないでしょうか。

踊る相手は常に「You」であって、
意識される対象は第三者ではなく、目の前のパートナー。

つまり「You and I」という二人称の関係だ、と。

海外にも「社交ダンスコンテスト」はあるのかもしれませんが、
日本の社交ダンスはやっぱり、見られることを想定して
上手く踊ったりことを目標とした
コンテスト・発表会が前提の習い事のように見えます。

それに対して、ヨーロッパだと
二人称の関係での交流が前提の踊りが中心なのか、
ミュージカルの踊りでも社交の側面が強調された印象です。


これがアメリカになると、特にアフリカ系文化の影響か、
身体の表現としてのダンスという位置づけが強まります。

子供でも音楽を聞いていると勝手に身体が動く。
そんな感じ。

感情や自己の表現としてのダンスや、
音楽やムードへの「ノリ」としてのダンス。

自分という肉体の表現としてダンスをして、それで
身体を動かしていること、のっていることが楽しい、と。

ダンスが一人称なんです。

見られる第三者は気にしないし、
二人称としての他人と交流する意図もない。

皆がそれぞれ、自分が踊るのが楽しい。

そこへ同じ踊りの場を共有する人がいると、
その人たちは仲間になります。

他人と揃えなければいけないわけではなく、
相手と交流しようというわけでもなく、
ただ一緒にトランスに入って、自分勝手に踊る。

するとそこで自然な一体感が生まれます。
その一体感がたまたま作り出す相互作用が
全体としての盛り上がりを高める。

結果的に皆で踊ることはあっても、
それはジャズの即興セッションのような
一体感の中での自然な自己表現なんだと思います。

つまり「We」の意識。

一人称単数で楽しいのが、
他者と一体感を持つと一人称複数で楽しくなる。

アメリカのミュージカルには
この雰囲気が強く見てとれる気がします。

見ていて楽しそうです。

逆にこの文化が背景にあるせいか、
日本やヨーロッパでは見せる想定で演じられるものも
アメリカ人がやると、本人が楽しそうな印象になる。

フィギュアスケートなんかでも
妙にチアリーディングっぽいというか、
「身体を躍動させるのが楽しい!」みたいな選手がいます。


同じダンス・踊りでも、ルーツというか
文化的背景の影響が表れているように思えます。

日本の踊りがダメだという話ではありませんが、
どんなにアメリカのダンスや社交ダンスを表面的に真似しても
根底にある喜びの種類や意図は
いかにも日本の伝統の延長になりやすいんでしょう。

逆に、歴史的、文化的背景をふまえ
メンタリティの部分から参考にできると
もっと違った楽しみが生まれてきそうに思います。

少なくとも子供のダンス発表会は
違った雰囲気になるんじゃないでしょうか。

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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