2019年08月27日

病院の世界

ここ最近、病院で何度か検査をしてきました。
二か月ほど前に気を失ったことについての話です。

僕自身は心配していなかったんですが、家族が「どうしても」というので
知人の縁を通して大学病院に紹介状を書いてもらって診察を受けることに。

色々な検査データを見ても異常が見当たらないとのことで
結局は「何が理由か分からないから静観」と。

ちょうど時を同じくして母が手術で同じ病院に入院していたため
診察や検査に行ったときに、そのままお見舞いに行くこともできました。

まぁ、その意味では良いタイミングだったのかもしれません。


それにしても外科というのは検査データが重要なんですね。

最初に行った病院は同じ「脳神経〇〇科」でも「内科」だったので
検査データだけでなく、時間をかけて問診をされました。

どういうことが内側で起こっているか、因果関係を調べようとする感じ。
刑事とか探偵とかに近いイメージでしょうか。

それが脳神経外科となるとアプローチも異なってくるようです。
こちらのほうが器質的な問題というか、問題のある身体的部位を特定して
そこを”治療”しようという発想がベースなのかもしれません。


たとえば僕の現状が疑われていた「てんかん」についていえば
「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮によって起こる反復性発作」
と考えられていますから、
「脳細胞の過剰な電気的興奮」というのが問題だとされるわけです。

そして
「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮によって起こる反復性発作」
のように言うと、あたかも
「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮」が「反復性発作」を引き起こす
かのように見えます。

確かに時間経過を見ると、脳の電気的興奮が伝わって
意識消失や筋肉の硬直や痙攣を引き起こすまでには
微妙な時間差があるでしょうし、
脳→身体のように部位が移るところにも順序の関係は見てとれます。

その意味では
「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮」が「反復性発作」を引き起こす
のように言うことも不可能ではありません。

しかし見方を変えると、
 「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮」に引き続いて
 身体に表れる観察可能な発作が起こる
というのは、
 現象を違うレベルで説明しているだけ
とも言えそうです。


温度と分子の運動の関係のようなものです。
分子が速く振動しているときが高温。

「高温」という温度計で測定可能なデータは、
細かいレベルで起こっている現象としていうと
「分子が速く振動している」ことと一致するんです。

「分子が速く振動する」から「高温」になる
のではなく、
「分子が速く振動している状態」が「高温」に相当する
というほうが正確。

「分子が速く振動する」のは「高温」の原因ではなく、
「温度」という1つの現象を
・分子レベルで説明するか
・温度計で測定可能なデータのレベルで説明するか
の違いでしかありません。


同様に、「てんかん発作」というのも
・神経系統のレベルで説明するか
・観察可能な身体状態のレベルで説明するか
の違いだとも言えるはずなんです。

神経のレベルでいえば、
「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮が全身の神経系統にまで伝播する状態」
と表現できる。

身体状態のレベルでいえば、
「痙攣や筋肉の硬直や脱力、意識消失が発作的に起こる症状」
と表現できる。

説明している対象は同じ現象のはずなんです。
ですから「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮」というのは
てんかんの『原因』ではなく、解剖学的な『メカニズム』です。

ただし、意識消失や痙攣そのものは
「脳神経系の過剰興奮」というメカニズムで起きるとは限りません。

なので、意識消失や痙攣のような身体的発作の種類を、
どういうメカニズムで起きるのかによって分類するのは有用でしょう。

ですから、
 意識消失や痙攣のような身体的発作のうち
 「脳神経系の過剰興奮」というメカニズムで起きるものを
 『てんかん』と呼ぶ
のような説明の仕方になります。


まとめると、
 「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮」が「反復性発作」を引き起こす原因
なのではなく、
 「大脳神経細胞の過剰な電気的興奮」が起きているときに
 「身体レベルで観察される反復性発作」
のような同時性を表現する方が
言語的な定義としては正確じゃないか、ということです。


このように捉えると、てんかんが起きる『原因』は、
神経系統のレベルで捉えるなら
 「そもそも何が『大脳神経細胞の過剰な電気的興奮』を生み出しているのか?」
という部分に行きつきます。

外科は、その部分をあまり考えないのでしょうか。
メカニズムに対して外的な介入をして制御・修正する。
すると身体的に観察可能なレベルでは症状がなくなる。

そんなスタンスなのかもしれません。


『原因』と『メカニズム』は別物です。

原因は「同じ抽象度における因果関係の繋がりとして説明されるもの」です。
メカニズムは「1つの現象を別の抽象度で説明したもの」です。

この違いはあまり厳密に使い分けられていないのかもしれません。

どちらも「なぜ?」「なんで?」の質問の答えとして許容されてしまっています。

典型的なのは「なんで空は青いの?」という質問。
「なんで今日はスーパーに買い物に来たの?」も、同じ「なんで?」の質問です。

「空が青い」のに原因はありません。
強いていうと、
「今、空が青いのは、雲が通り過ぎて行ったから」
「さっきまで黒かったのに今、空が青いのは、太陽が昇ってきたから」
ぐらいでしょう。

「空気中の水によって太陽光が散乱するときに
 波長の短い青系統の光ほど良く散乱するから
 青の光が目に届きやすくなる」
のような説明は『メカニズム』の説明なんです。

「なんで今日はスーパーに買い物に来たの?」は
「冷蔵庫の中身が空っぽになってしまったから」という『原因』でも説明可能ですし、
「他の店でも買えるのに、あえてスーパーに来たのは
 一度に必要なものを全て買いそろえて時間を短縮したいから」
という『目的』でも説明可能です。

こうした説明の仕方の区別を明確にしておくと
目の前の『問題』についても様々な観点から捉えられるようになるはずです。

身体症状という問題を、原因で見るのか、メカニズムで見るのか。
医学の世界では、どれぐらい明確に区別しているのでしょう?

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プロフィール
原田 幸治
理系人材育成コンサルタント。
技術力には定評のあるバイオ系化学・製薬企業にて研究職として基礎研究から開発研究までを担当。理系特有とも言える人間関係の問題に直面して心理とコミュニケーションを学び始め、それを伝えていくことを決意して独立。
コールドリーディング®、NLP(TM)、心理療法、脳科学、サブリミナルテクニック、催眠、コーチング、コミュニケーションへ円環的にアプローチ。
根底にある信念は「追求」。

・米国NLP(TM)協会認定
 NLP(TM)トレーナー。

・コールドリーディングマスター
 講座石井道場 黒帯。
(コールドリーディング®は
有限会社オーピーアソシエイツ
http://www.sublimination.net/
の登録商標となっています)
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